
2010年度の活動予定・活動目標
オークションは公共工事の入札などで利用される非常に重要な商取引形態の一つであり、最適な財の割り当ての問題、談合や共謀の阻止の問題など数多くの重要かつ現実的な問題を含んでいる。
P(1) 組み合わせオークションの研究:複数財オークションの経済実験を行い、入札者の行動を観察し、その成果を制度設計に応用することを目的とする。本年度は複雑なオークション制度をどのように認識し、それに対処するのかを明らかにする。楊再福の最近の理論的研究成果を下に、さまざまなメカニズムの比較の経済実験の準備を進めており、本年度中にプレ実験と本実験を行う。
P(2) スポンサーリンクオークションの研究:Google, Yahoo! などの検索エンジンの主たる収入源である検索結果連動型オークションは,近年研究者や実務家からの幅広い関心を集めている。本プロジェクトでは,当該オークションについて知られている理論的結果を踏まえつつ,それを被験者実験によって検証することを目的とする。今年度は,昨年度から引き続き行っている実験を前期に実施し,この結果を拡張する実験を後期に実施する予定である。
P(3)参加業者の共謀に関し、参加者たちがどのように他の参加者の行動を予想し,共謀を形成してその利益を分配するかという点について協力ゲームを用いた理論的考察を行う。協力ゲームのひとつのクラスであるring gameによって表現される,買い手の共謀を許したオークションモデルにおいて,オークションから得られる余剰の分配方法に関する理論的分析を継続する。
P(4)オークションなどの制度設計において、 抽象的な言葉情報を具体的な映像情報に落とし込む,いわゆる視覚化において,そのレイアウトデザインが,被験者の形成する期待に及ぼす影響は重要である。そのメカニズムを解明するために,人間の視覚機能を考慮したモデル化とアイトラッカーを用いた実験による検証を、昨年度に引き続き取り組む.
メンバーは相互に連絡を取りつつ研究を進めるが、主として、P(1)は竹内幹、楊、上條、船木、竹内あい、宇都、Veszteg、二本杉、P(2)は福田、船木、舛井、上條、竹内あい、P(3)は楊、戸田、荒木、船木、久保、近郷、P(4)は清水、船木、竹内、二本杉が担当予定である。