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開かれた政治経済制度の構築
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国際シンポジウム・会議
第7回GLOPEシンポジウム
社会的正義の政治経済学を目指して ――政治学・経済学・法学・社会学の対話――(2007 年 2 月 17 日)

社会的正義の一般理論の体系化を図ると同時に、社会的正義実現を目標とした「政策学としての政治経済学」を構想し、政策課題に対する明確な指針の提供を目指すことがこのシンポジウムの目的である。

 今日、経済学者の政策関与が増大し、政策科学としての経済学に対する期待は高まっている。確かに、現実の経済問題を解明し、実行可能な政策を立案する上で、経済学は必要不可欠である。しかし、いかなる経済政策・公共政策・社会政策であれ、その実施について考え、評価を下す際には、個々の政策とは異なる水準にある「理念」および「制度」という二つの側面からの検討が欠かせない。例えば、多くの政策は、所得と富の分配・再分配にかかわる。これらの政策の公正・正義(理念的側面)は、政策決定・実施の各場面(制度的側面)で問われなければならない。ところが、政策の現場では、こうした問題に指針を与えることができる体系的な規範理論もないし、それを模索する動きもほとんど見られない。他方、規範理論的研究は、現実の政策問題に対してあまりにナイーブな議論に終始してきた。言い換えると、問題解決の可能性を制約し決定する制度の分析を軽視し、政策目標としての社会的正義理念の具体化を回避してきたように思われる。例えば、規範理論の見地からすると、国家形成理念としての正義概念に基づいて憲法が制定され、憲法に依拠してさまざまな基本法が制定され、それに基づいて各種の法律が施行され、そして具体的な施策が実施されることになる。しかし、これらの各段階において、現実にいかなるタイプの社会的正義を具体的に設定し、吟味するのかについては、従来の規範理論的研究は十分には意識してこなかった。

 「新しい政治経済学」と呼ばれるアプローチの興隆とともに、わが国においても、経済学研究に政治的要素を取り込み、経済現象を広い観点から分析する試みも増加してきた。しかしながら、経済問題の解決に当たっては、現実の経済現象、およびその経済現象とかかわりの深い政治現象をも同時に考慮すべきであるとの理解が進んだにもかかわらず、そうした理解に依拠した経済問題の解決策を政治学、経済学、さらには新しい政治経済学が提示してきたとはいえない。昨今、政治と経済の相即不離の関係が強く意識されるようになったけれども、現実問題の解決策は効率一辺倒の基準に従うか、公正を掲げて自己利益の擁護を求めるという政治的闘争の中で形成された折衷案である。

 このシンポジウムでは、経済学、政治学、法学、社会学の研究者が一同に会し、正義・公正という社会科学の重要な問題に取り組む。そして、各人の専門領域の知見を生かし、社会的正義の政治経済学の一般理論構築を目指す。また、それによって社会的正義実現のための望ましい制度とその設計の過程についての洞察を得る。

プログラム

日時: 2007 年 2 月 17 日 ( 土曜日 ) 10 : 00 〜 18 : 00

場所: 早稲田大学 西早稲田キャンパス  26 号館(大隈タワー) 302 号室

 

セッション 1   「正義論の使い方」

司会  清水和巳(早稲田大学)

10:00 〜 10 : 40  報告者 宇田川大輔(早稲田大学)

10:40 〜 11 : 20  報告者 小林誉明 ( 国際協力銀行開発金融研究所 )

11:20 〜 12 : 00  報告者 瀧川裕貴(東京大学)

セッション 2   「正義論のゆくえ:『リベラリズムとは何か』をめぐって」

司会  齋藤純一(早稲田大学)

13:30 〜 14 : 10  基調講演 盛山和夫(東京大学)

14:10 〜 14 : 40  討論者 若松良樹(成城大学)

14:40 〜 15 : 10  討論者 山岡龍一(放送大学)

15:10 〜 15 : 40  討論者 須賀晃一(早稲田大学)

15:40 〜 16 : 10  討論者 土場学 (東京工業大学)

16:10 〜 16 : 30  コーヒー・ブレイク

16:30 〜 18 : 00  討論

18:30 〜 20 : 30  懇親会

 

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