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開かれた政治経済制度の構築
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【 講義概要 】

 

1 .建国から現在までの中国経済史概要

 経済力の乏しい状態での 1949 年の建国から、 disaster と呼ぶにふさわしい 60-76 年の文化大革命、 1980 年に経済特区ができるまでの中央主導の計画経済から市場経済への体制変換、そして 1991 年以降 2005 年にいたるまでの平均GDP成長率 9 %という急速な成長までを概観した。

 

2.現在の中国経済論要約

1979-83 年 変革の開始期、 84-88 年 企業の自由度の向上、 89-91 年 zipsags と統合、 92-97 年 急速な市場化、 98-01 年 市場の深化の変遷を経て、「3つの変革(市場化,都市化,工業化)」が推進され、 WTO には 2001 年に加入したことが紹介された。輸出品については機械製品が増加していることが述べられたとともに、一方で貧富の格差や環境の悪化が深刻な問題となっていることが紹介された。

 

3.国際経済における中国(貿易について)

 輸入代替から輸出指向型への移行とともに経済発展が促進されたことが紹介された。

また、輸出輸入量の増加率が年平均 10 %というデータからもわかるように、国際経済との関係が中国経済にとって重要な意味を持ってきたことが報告された。

 

4.今後の中国経済の課題

○ キーワード

「バランスのとれた発展:

(1) 対外競争力の育成、

(2) 国際経済への貢献、 ( 3 ) 失業と格差の問題の解消、

(4) 国営企業( State owned enterprises )の削減・民営化、

(5) 産業構造の合理化、 (6) 均整の取れた地域発展計画の推進」

< 出席者感想 >

 中国経済の歩みを実際に中国で見てこられた于氏の中国経済に関する講義は、興味深く、説得力のある内容であった。中国経済が現在までどのような経過を辿り急速に経済発展をとげてきたのかについて、短期間でありながら詳細な説明を受けた。発展に伴う問題やこれまでの経済発展がどのような改革によって達せされたと考えられるかについて、データを用いた解説(先生の考察もまじえ)が行われたので、中国経済の現状とを結びつけて捉えることが可能であった。

中国経済と聞けば、環境問題、格差の問題、国際金融体制との確執、データの不備といった負のイメージと、急速に発展を遂げており、世界の注目の的となっているという正のイメージが混在している。本講義により、このような曖昧で偏った理解が是正され、今後の中国経済のよりよい発展を考えていくことができた。

 特に,中国経済の成長過程を振り返る際には,かつての中央統制的な経済色は薄まり,中国は今後の世界経済のリーダーシップをとっていくのだという気概が講義においても伝わってきた.実際,工業化の進捗や貿易額の大きさ,自由化の展開について丁寧な解説があり,年次を追っていくことで, 90 年から急速に経済発展を進み始めたプロセスの描写は非常に臨場感あふれるものだった.ただし,貧富及び機会の格差や環境問題については,時間の制約のためか,十分な講義されなかった点が悔やまれる.

 私が特に関心を抱いたのは,今後の中国経済の課題に関する講義であった.「バランスのとれた発展」ということで 6 つの論点が挙げられた.これらはメディアを始めとした様々な場面で中国経済に要請されている事項であり,一朝一夕になんとかなるものではない.しかし,確かにこれらを推し進められるのではないかと,期待されているのが中国なのである.このことに感銘を受け,今後の中国経済のたゆまぬ洗練化と,日中の経済交流の深化に関心を抱いた.

 

 

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