Waseda Weekly早稲田ウィークリー

早稲田の学問

「カラリパヤット」 インド発祥の武術を学ぶ

「アジアのフィジカルエクササイズ基礎」
【グローバルエデュケーションセンター設置科目】

国際教養学部 4年 花水 聡美(はなみず・さとみ)

手前が筆者

高橋京子先生(グローバルエデュケーションセンター非常勤講師)によるこの授業は、インド・ケーララ州発祥の格闘術「カラリパヤット」を基にしたエクササイズを学ぶ体育科目です。カラリパヤットとは、単に体を鍛えるトレーニングではなく、インドの伝統医学や信仰などの要素も含んだ武術であるため、これを習得すれば、インドの文化についても学べることが特徴と言えます。

練習の成果は舞台で披露

授業をとっている学生。練習の成果は舞台で披露する

高橋講師は実際にケーララ州に行き、インド人の師匠の下で修行された経験もあり、インドでの話や、ビデオ鑑賞を交えながら楽しく学ぶことができます。授業の前半では、「アマルチャ」と呼ばれる祈りのポーズ、脚のエクササイズなど基礎的な動きを練習します。後半になるとグループワークになり、猫のポーズ、クジャクのポーズなど、さまざまな動きを連続で行う「プータラトラル」と呼ばれるレベルの高いエクササイズに挑戦します。最後には公開発表が行われ、舞台の上で今までの練習成果を披露します。

男女・国籍問わずさまざまな学生が履修していることもあり、課題の1つである「カラリパヤットを紹介する媒体の作成」では、個性豊かな作品がたくさん発表されました。例えば、粘土でひとつのポーズを表現したものや、一連のポージングを描いた漫画、動画、ポスターなど、さまざまな作品が数多く提出されていました。

私が感じた、この授業ならではの魅力を2つ紹介します。1つは、周りの学生との交流が図れることです。従来の体育授業というと、おのおのの体力差、能力差に応じて、一人で自らの体と向き合うことが多い印象ですが、カラリパヤットは全員が初心者で、ほとんど差のない状況からスタートします。また、授業の後半では4人グループで共に練習をしていくことで、連帯意識が生まれ、自分一人ではなく全員ができるようになろうという意識を持つことにつながりました。運動が得意、不得意の差を越えて、お互いに分からないところを教え合い、舞台発表という大きなゴールへ、全員で向かっていけることが他の授業では体験できない、カラリパヤットの魅力であるように思います。

2つ目は、授業が芸術的な側面を持っていることです。先生の「間違えても笑わない、泣かない。舞台のルールだから」とい う言葉によく表されていると思います。授業のゴールは、脚のエクササイズとプータラトラルを覚えることではありません。グループ4人でそれを作品として完 成させ、舞台で見せられるレベルに到達することです。例えば、脚のエクササイズ一つにしても、ただ脚が高く上がればいいのではなく、リズムに合わせ、なお かつつま先を伸ばした状態がベストなのです。私自身も、練習のときは簡単と思っていた方向転換が、舞台に上がった途端にあやふやになり、かかとの先まで意 識して動けていたか自信がありません。逆に、動作が複雑で自信がなく、直前まで練習を繰り返していたプータラトラルはきれいにできたという印象を持ちまし た。舞台発表をすることで本当の実力が現れるのです。

衣装や「ビンディー」という額飾りを身に着けることができたのも他ではない経験でした。異文化のものに触れることは純粋に心が躍りますが、パフォーマンス当日にビンディーを着けた瞬間は、その文化に生きる人になりきらなければならないと、身の引き締まる思いがしました。

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