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研究活動

研究プロジェクト

バイオ燃料のための冷水藻類-新しい代替エネルギー源

計画書

研究代表者
(所属)
筑波大学生命環境系 教授 Peter Wilson(ピーター・ウィルソン)
研究関係者
(所属)
カリフォルニア大学サンディエゴ校 Tony Haymet(トニー・ヘイメット)
研究期間 2013年6月~2014年12月
研究概要

 カリフォルニア大学サンディエゴ校(以下、UCSD)と筑波大学では、冷水藻類を地球のバイオ燃料のために使うためのさらなる研究に用いることができる世界水準の技術を有している。バイオ燃料研究は現在、未来のエネルギー生産の要求に、スピード的に応えていない。単細胞藻類に少し栄養分を付加すると、CO2を取り込みながら非常に増えるという、エネルギー生産の代替案に注目が集まっている。大豆やヤシなどの穀類に比べると、藻類は1エーカー当たり30倍もの油を生産できる。藻類の分子・遺伝子的研究を通して、社会は、経済的に持続可能なバイオ燃料の開発を直ちに進める必要がある。
 サンディエゴ藻類バイオテクノロジーセンター(と、特にUSCDのMayfield研究室)、そして筑波大学の生命環境系の渡邉研究室は、ほぼ間違いなく微細藻類の科学やその産業への応用技術において、世界の先駆者である。両研究室では微細藻類やバイオマス生産での長い研究の成功の歴史があるが、優先する焦点については、それぞれ異なる。それぞれの研究室では様々な学術組織(文部科学省、全米科学財団、米国エネルギー省)より補助を受けている。しかし、両研究室も現在、冷水藻類に着眼していない。最近の高緯度での青粉を見ると、天候の変化により、きれいな冷たい水での大規模な藻類の栽培に適した環境にあるのがわかる。
 両研究室では様々な極地の藻類の単一栽培を行っており、集中ワークショップのような研究協力により、急速な発展が望めるだろう。筑波大学のウィルソン・渡邉研究グループでは、様々な藻類の氷の結合能や珪藻分析を行っている。また、ドイツのアルフレッド・ウェゲナー研究所やオタワ大学のBen研究室などのいくつかの海外の機関と協同している。日本やアメリカが共同してバイオ燃料科学やバイオ燃料生産の最先端にあるには、大規模栽培に適した品種や環境の確認が必要であり、そのためには協同して研究する必要がある。

報告書

研究代表者
(所属)
筑波大学生命環境系 教授 Peter Wilson(ピーター・ウィルソン)
研究関係者
(所属)
カリフォルニア大学サンディエゴ校 Tony Haymet(トニー・ヘイメット)
研究期間 2013年6月~2014年12月
実績概要

これまでの期間は、研究に用いるための冷水藻類(低温下でも早い増殖速度を示す藻類)を世界中から収集し、アンチフリーズ活性や氷と結合するたんぱく質を検索することに多くの時間を費やした。本研究に必要な藻類は、高緯度地域におけるバイオ燃料生産に必要な特性として、繰り返しの凍結―融解サイクルに耐えうる性質を有することが必要である。

1.アルフレッド・ウエーゲナー研究所(ドイツ)は、海洋性珪藻から耐凍性および耐塩性を有するタンパク質を取得して研究を続けている。それによれば、極域で採取された海洋珪藻(Fragilariopsis属)は、氷結環境下や高塩濃度でも細胞分裂が可能であることを発見した。彼らは、その性質が遺伝子の3塩基の変化により起こることを見出し、特許を申請中である。Peter Wilson博士は、M. Bayer-Giraldi博士と共に共同して研究にあたり、専門書においてそれらを含む内容で1章分を分担執筆した。

2. オーストラリアのタスマニアにあるCSIRO 藻類カルチャーコレクション(ANACC) は950株以上の株を有する豪州最大の研究施設である。Peter Wilson博士とToney Haymet博士は、この施設の代表であるSusan Blackburn博士とそれらの保存株を用いて共同研究を開始した。

3. タスマニア大学は、海洋における一次生産の30-50%を担う、海氷が存在する環境における微生物コミュニティについて研究している。南極のMcMurdo Soundから単離された塩水性藻類を異なる炭酸濃度条件下で培養し、海水中のCO2分圧の上昇がそれらの藻類には影響しないことを明らかにした。Peter Wilson博士はAndrew McMinn博士同じ研究所で研究をしており、共同研究を始めている。

Peter Wilson博士とToney Haymet博士は、共同研究を継続しており、数か月に1度のミーティングを持ち続けている。
筑波大学の白岩善博博士は、これまで代表を務めてきたPeter Wilsonに代わって、本プロジェクトの代表者として研究を継続する

活動内容・
研究成果

1.著書(分担執筆):Book chapter in press; Bayer-Giraldi, M., Jin, E. S. and P. W. Wilson. 2014. Characterization of ice binding proteins from sea ice algae. In Methods in Molecular Biology (Humana Press), D. K. Hincha, and Ellen Zuther Editors. 17 pp,

2.国際学会発表:Haymet 博士とWilson博士は、2014年8月に札幌で開催されるthe 2nd Ice Binding protein conferenceで3件の発表を行う. また、Bayer-Giraldi 博士も研究発表を行う。

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