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早大初の子どものための芸術教育を探究する大泉ゼミ=「造形教育ゼミ(通称AEゼミ)」

ゼミ紹介

早大初の子どものための芸術教育を探究する大泉ゼミ=「造形教育ゼミ(通称AEゼミ)」

公開日:2021/07/09

 唯一の正解が無いとされる現代においては,Art ThinkingやDesign Thinking,STEAM教育が注目されるなど,Artを通した子どもの創造性開発の重要性が叫ばれています。そうした中で,本ゼミでは芸術教育,とりわけ視覚芸術に関する教育(造形教育)のあり方について,文献の講読からワークショップイベントの企画・開発・実践まで,理論と実践の両面からゼミメンバーで<創造的>に研究しています。

研究室DATA

大泉義一
(教育学部 教育学科初等教育学専攻)
初等教育学演習Ⅰ・ⅡE
早稲田キャンパス16号館7階

http://www7b.biglobe.ne.jp/~oizumi-labo/

教育における子どもの造形表現の意味を考える

 学校教育において,図画工作・美術科をはじめ芸術教科が位置付いていることには,どのような意味があるのでしょうか。
 造形教育において重要となるのは,作品をつくること以上に,形や色などで表現するプロセスを通して子どもが自分なりの意味や価値をつくりだしていくこと,すなわち創造性を働かせることです。さらに必然的に友人という他者の表現と出あい,それを味わうことで,自他の違いを認識し,自身の個性を発見する喜びにもつながります。
 本ゼミで,子どもたちが芸術を通して他者や社会と関わりながら自分を表現する喜びを味わうことのできるような教育のあり方を,一緒に考えていきませんか?

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越境する芸術体験ワークショップ

 社会が大きく変容する今,教育は従来のように学校の中だけで完結するものから地域や社会と連携することによって行われるものへと変化が求められています。私の専門である芸術教育もそれは同じで,教育の機会は学校内にとどまりません。最近では,子どもの芸術体験に対する親や地域の求めに応じて,学校に限定しないオルタナティブな芸術教育への期待が高まっています。
 本ゼミでは,ワークショップ論に基づき学校や地域といった場,あるいは親子といった関係を越境する子どもの芸術体験の意義について,アートワークショップイベントの企画・開発・実践を通して実証的に探究しています。例えば,オンラインワークショップ『らくがき美術館』の開催,宮崎国民文化祭「アートフェスティバル」への出張ワークショップ『アートツール・キャラバン』などに取り組んできました。また,教育系企業である株式会社Kids Smile Holdingsとの教育プログラムの共同開発にも着手しています。

オンラインワークショップ『らくがき美術館』(2021年2月7日開催)

自身の感性を磨こう

 芸術を通した子どものための教育について考え実践するためには,自身が芸術に対する関心を持つとともに,物事に対する感性が豊かである必要があります。本ゼミでは「美術館鑑賞ツアー」と称して,さまざまなアートの現場に赴き,ゼミメンバー同士の感じたこと,考えたことなどを交流し,互いの感性を高め合っています。また学芸員の方に特別にレクチャーの機会をつくっていただくことやサポーターとして参加することもあります。これまでに,大学から徒歩で行くことのできる草間彌生美術館をはじめ,少し足をのばして神奈川県立近代美術館や岡本太郎美術館に赴いています。

草間彌生美術館にて(2021年2月)

先生からのメッセージ

 教育学を学ぶということは人間を深く理解することにほかならず,その学びを活かして卒業生は教育分野に限らずビジネスの第一線でも広く活躍しています。
 一方で,私自身は教育学部の教員として,これからの学校を創造し変革していく熱意や力量を持つ若者を現場に送り出したいと強く思っています。皆さんの中には,教師になることに関心を持ちながらも,メディアで見聞きする学校教育のネガティブな話題に不安を募らせている人も少なからずいることでしょう。そうした人にこそ,ぜひ早稲田の教育学部で学び,多様な専門性を持つ教員やゲスト講師との対話交流,実習・演習などの機会を通して,教育現場の今を自分自身で確かめ,より良い未来を考えてほしいと思います。
 またこれからの社会では,深い人間理解に基づいた未来に向けた思索(Speculation)や,Design Thinkingのように「実際に手掛けてみること」を通した問題解決力,さらにはArt Thinkingの提唱に見られるようなイノベーションを起こす力が期待されています。本ゼミは,芸術教育や子どもの表現を対象にしながら物事を創造的に「つくりだす」現場であることを目指しています。                                                                                   
 教師であれ,ビジネス人であれ,学校や社会が直面するさまざまな課題の解決に挑むには,自らの信念を持つと同時に,周りの人と協働して粘り強く取り組むタフさや,ものごとを面白がる知的好奇心も大切になります。早稲田の自由闊達な学生文化や多様な学びの選択肢も,皆さんがそれらの力を手に入れる大きな助けとなるはずです。

先輩からのメッセージ

 私が所属する造形教育ゼミは2020年度に発足したゼミで,昨年度は6名のメンバーで子ども向けオンラインワークショップを開催しました。実際に自分たちで試行しながら題材研究を行い,いかにして子どもの感性を輝かせることができるのかを考えながら開発に取り組みました。
 2年目に入り,新たに9名の3年生を迎え,総勢15名で子どものための造形教育のあり方や子どもの個性を生かすための指導について協議しながら,密度の濃い時間を過ごしています。学年の壁を越えて,互いに尊敬し合い,高め合うことができる環境が早稲田大学にはあります。
 ぜひ,早稲田大学で魅力的な仲間や先輩と素敵な出会いをしてください。

村井日向子 4年生

先輩からのメッセージ

 私は,本ゼミに所属して半年になります。ゼミの活動としては,大きく「子どもの表現教育について学ぶ」ことと「造形ワークショップを開発・実践する」ことが挙げられます。現在は,教育系企業と協働してワークショップ・プログラムを開発するプロジェクトが進行中です。
 ゼミでは,「教育」に関することはもちろん,加えてこれからの「社会」に活かせることもしっかり学べるのが特徴です。このように「教育学部だから先生になるための勉強をする」ということにとどまらない学びの機会があります。
 大学の学部については,我がゼミのように想像とは異なることもあります。それぞれのゼミの活動についてよく調べてみることで,自分に合った学びを見つけだすことをぜひお勧めします。

網干雄己 3年生

このゼミを目指すキミに先生オススメの本

芸術による教育』ハーバート・リード(著),宮脇理他(訳) フィルムアート社

 原著は1943年に刊行されました。書名にもなっている「Education through Art」という考え方は,美術の表現活動を自己表現,伝達行為と捉え,そこから多様な価値観を許容する民主的な人間形成と平和のための教育としての美術教育の意義を提唱するものです。この考え方は,我国の美術教育の根本理念として,今も脈々と受け継がれています。

教育を支えるもの』O.F.ボルノウ(著),森昭,岡田渥美(訳) 黎明書房

 ボルノウは「教育的雰囲気」という概念を提唱し,それまで教師から子どもへの一方通行であった関係性を相互的な関係へと転換することで教育が成立する前提を見つめた教育哲学者です。例えば,「信用」と「信頼」は異なるものだとして,子どもに向かう教師の姿勢について説いています。子どもの表現と向きあう際に大切にしたいことがたくさん述べられているのでお勧めです。

ぼくを探しに』シェル・シルヴァスタイン(著),倉橋由美子(訳) 講談社

 自分にぴったり合う形を探してカケラが冒険するという絵本です。おそらく,どこかで目にしたことがあるのではないでしょうか(懐かしいでしょう)?シンプルな描線による絵とロールプレイのように進んでいく物語は,日本の絵巻物を彷彿とさせます。いろんな人(カタチ)やさまざまな事象との出あいと別れの中で自己がつくられていく様子は,教育の大切な側面を示してくれていると思います。