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世界に通用する研究者を目指せ! 精神発達を科学する「発達心理学研究室」

ゼミ紹介

世界に通用する研究者を目指せ! 精神発達を科学する「発達心理学研究室」

公開日:2009/04/01

子どもの認知発達をテーマにしています。子どもの認知は不思議と感動の宝庫です。たとえば、空高く飛ぶ飛行機を見上げて「ちっちゃい飛行機だね。お母さんには乗れないね」と言う2歳児のつぶやきから、子どもの認知という神秘な世界を垣間見ることができます。院生はこの不思議な世界を読み解くべくそれぞれの切り口から研究しているので、このゼミではそれを理論的・実証的に支援すべく研究指導しています。

研究室DATA

中垣 啓 教授
発達心理学研究室(教育学研究科 学校教育専攻)
所在地:早稲田キャンパス14号館

http://www.f.waseda.jp/nakagaki/

子どもはエイリアン?

 このゼミで扱っているのは「子どもの認知発達」。「子どもの精神構造は、常識的に考えるよりはるかに大人とは違う」と中垣先生は言います。「学生にはよく、子どもは地上性エイリアンだと言う」のだとか・・・。どれくらい違うのかというと、たとえば今、院生の永盛善博さんが取り組んでいるのは、ペットボトルに浮かべた魚(調味料入れ)を使った実験。「沈め!」と言いながらペットボトルを握ると、魚は沈んでいきます。それを見た子に「どうして沈んだの?」と聞くと、小さい子はよく「魚が言うことをきいた!」と答えるのだそう。確かに、大人にはない回答ですね。
 子どもはどんな認知のしかたをしているのか、それが年齢があがるにつれてどう変化するのか。さらには「なぜそういう発達をするのか」というメカニズムに迫ろうというのが、このゼミのテーマです。

 「ペットボトルの魚」の他にも、「ビデオ映像の中の人は画面から出てこられると思うか」「サイコロの目の出る確率についての考え方は、子どもと大人でどう違うか」など、それぞれの方法で、子どもの認知発達にアプローチしているゼミ生たち。研究内容は違っても、実際に子どもたちを対象に調査するときには、他のメンバーも協力します。「100人の小学生に聞きたいと思っても、ひとりでは時間もかかるし、小学校にも迷惑ですよね。このゼミはみんなが協力してくれるので助かります(松本 久美子さん)」。助け合うという意味だけでなく、調査者として多くの研究にかかわることが、自分の勉強にもなるのだそう。中垣先生は「個々の院生の研究調査、たとえば児童面談室における予備調査、保育園、幼稚園、小学校における本調査などを研究室全体で行なうのは、ゼミ以上に研究指導に役だっている」と言います。

 そして修士1年の新地 文子さんは「私はゼミで一番下ですけど、先輩たちは何でも相談できる存在。とてもアットホームです!」。院生だけでなく卒業生も参加するゼミは、学年も年齢も関係なく話し合い、協力しあえる場のよう。ついでながら、ゼミには毎回、お茶とお菓子が出るそうですよ。

永盛 善博さん(助手)
「このペットボトルの中の魚が浮き沈みします。どうしてでしょう?」

修士2年・松本 久美子さん

修士1年・新地 文子さん

世界に認められる研究を!

 大学院のゼミは、週2回のうち1回がゼミ生の研究発表、もう1回は英文の文献講読です。「心理学の研究はまだ欧米が主流。ある領域を研究したいと思ったら、まずその領域の代表的研究を知ることから始めなくては。それにはどうしても英語の文献を読みこなす必要があります」と中垣先生。ゼミ生が海外の学会で発表することも推奨し、博士3年の伊藤さんは、すでにドイツ、カナダ、アメリカで学会発表を経験。他にも6~7人の学生が、海外進出(?)を果たしているとか。「日本人にしか認められない研究では意味がない。世界的レベルで活躍できる研究室にしたい」と先生は言います。

 もうひとつこだわっているのが「基礎の基礎を研究すること」。「私はいつも、役に立たない研究をしろと言っている」のだそうです。すぐに役に立つ(ように見える)研究は、狭い範囲でしか使えない。基礎的な研究は役に立たないように見えて、その成果は大きな影響力を持ち、応用範囲ははかりしれない・・・そう先生は強調します。

 そんな先生を、ゼミ生はどう見ているのでしょう?「びっくりするほど知識豊富なので、研究テーマも偏りがない。本当に勉強になります(王 暁曦さん)」。学生への要求もなかなか高そうですが?「そうですね。英文の訳がおかしいとすぐツッコミがはいるし(笑)、海外に発表に行けと言われるなど、指導熱心で厳しいです(大浦 賢治さん)」。
 それでも「人生をかけて研究するとはこういうことだと思わせられる先生です!」という卒業生の柿原さんの言葉に、全員がうなずいていました。

毎年12月に開催される「フランスパンの会」。長いフランスパンに、各自が持ち寄った具を自由にはさんで食べます。ちょっとおしゃれな闇鍋パーティー?
この他、4月には「花見の会」、8月にはセミナーハウスでの夏合宿があります。

博士3年・伊藤 朋子さん

博士2年・王 暁曦さん

この日のゼミに参加していた卒業生のおふたり。
左:柿原 直美さん  右:三國 隆子さん

先生からのメッセージ

 早稲田大学は「実学の早稲田」と言われていますが、このゼミではあくまでも「アカデミズムの早稲田」を志向しています。(日本に留まらず)世界的なアカデミズムの世界で活躍できる研究者の養成を目指しています。

先輩からのメッセージ

 以前は哲学を専攻していましたが、論理や思考はどのように形作られるのかということから、子どもの認知発達に興味を持つようになりました。このゼミは別の専攻から来る人も多く、修士・博士・留学生・卒業生入り混じって、どんなことでも遠慮なくディスカッションできる雰囲気。とてもオープンなゼミです!

博士2年・大浦 賢治さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

 この大学院ゼミに参加したいと考えている大学院受験生の第一の必読書として次の本をお勧めします。

ピアジェに学ぶ認知発達の科学』J. ピアジェ著(北大路書房)

 この本は“Piaget's Theory”という論文の翻訳とその解説に、小論「認知発達の科学のために」を添えたものです。J.ピアジェは20世紀の最大の発達心理学者ですが、難解なため予備知識のない者は大抵投げ出してしまいます。しかし、この本は学生でも途中で投げ出さずに読み通せるように本文の用語や趣旨をふんだんに解説しており、ピアジェ理論の教科書として使えます。さらに、教科書として学べるピアジェ理論の本といってもそれを学びたいと思う動機づけがなければ読み通すことができないので、認知発達研究を志す人に対してピアジェ理論を学ぶことの今日的意義を説いた小論も添えられています。