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「child」の複数形が「childs」でないのはなぜ? 1000年前の英語から現在の英語に迫る小島ゼミ

ゼミ紹介

「child」の複数形が「childs」でないのはなぜ? 1000年前の英語から現在の英語に迫る小島ゼミ

公開日:2010/04/01

このゼミでは、英語の歴史の中でも最も古い時代(今から1000年以上前)に使われていた英語を調べ、なぜ現代の英語が今あるような形をしているのかを解明します。わかりやすくいうと、高校までの「child の複数形は children、不定詞には普通は to がつきます。だからそのまま覚えなさい」というのではなく、なぜこんな形をしているのかを探求するわけです。

研究室DATA

小島 謙一 教授
英米文学語学演習(教育学部 英語英文学科)
所在地:早稲田キャンパス16号館

古英語を見れば、現代の英語がよくわかる

 「古英語」。受験勉強真っ最中のみなさんは、「現代の英語や日本の古文にも苦労しているのに大昔の英語!?」という気持ちになるかもしれませんね。小島先生が、古英語を研究する醍醐味を教えてくれました。「昔を勉強すると現代がわかるんです。現代に至る間、歴史的な背景が必ずある。それを知ると世界が広がる。言語の歴史は世界史の一部なんですね」。「この単語はなぜこんな形をしているのか」がわかると、「今」がわかるのがおもしろいところだとのこと。

 ゼミ出身者の中には英語の先生になる人も少なくないそうですが、英語を習い始めたばかりの中学生の「なんで“Wednesday”には読まない“d”が入っているの?」などという純粋な疑問に答えてあげられる、尊敬される先生になるそうです! 「そういうもんなんだ、黙って覚えろ!」なんて答えでは、英語への興味を失わせてしまいますよね。「たとえ教育の場でしゃべることはなくても、知ってるか知らないかでその人の厚みは変わってきます」。これが、「教養」というものなのでしょう。

 ゼミでは今、『ベオウルフ』という有名な古い詩を原文で読んでいます。「英語」とはいえ現代英語とはずいぶん異なる「古英語」。3年でゼミに入った当初はみんなゼロからの出発ですが、まず4年生に基本的なことを教わり、「不思議にだんだん読めるようになる」(小島先生)のだそうです。すごい! 「最初の2、3週間で活用を覚えなきゃいけないのがキツイです。ただ、ひとりで覚えるのは大変ですが、先輩に教わりながらみんなで一斉に覚えるんです。『スターン、スターン』とか呪文のようにひたすら唱えて。みんなでわいわいやるので、意外と苦痛じゃないですよ」と、4年生の齋藤洸太郎さん。2、3週間で覚えきるんですか!

これが「古英語」。発音記号のような文字が並んでいます。

こじんまりとした雰囲気の中、1000年前のことばをひもとく

 高校までは単に丸暗記していた英単語の成り立ち、由来がわかるところがおもしろい、そんなマニアックな(?)分野を追求する小島ゼミ。ゼミは、文献を分担して読んでいくという形を取っていて、原文を音読して現代英語に訳し、解釈について議論する(もちろん、現代英語で!)という流れです。

 教室ではなく先生の研究室でこじんまりと行われる小島ゼミでは、お互いをニックネームで呼び合うのが慣例で、「黙々と文献を読む」などというありがちなイメージとは程遠い、和気あいあいとした雰囲気。「小島先生は独特な雰囲気で、女子に人気があるんですよ!」と、女子のゼミ生が口をそろえます。一見、気難しそうな風貌ですが(すみません!)、質問に対して優しく解説してくれるところがポイントだそうです。

 すぐに実社会に役立つようには見えない古英語の世界は、ちょっと浮世離れした学問に思えるかもしれません。けれど「学ぶことそのものの楽しさ」に満ちあふれた小島ゼミでは、人類の豊かな文化の発展に役立つ勉強をしているのですね。

 ちなみに、「child」の複数形のナゾについては右の写真の説明文をご覧ください。小中学生の弟・妹に教えてあげたら、ちょっと尊敬されるかもしれませんよ。

「child」の複数形については、木津怜さん(4年)と齋藤洸太郎さんが説明してくれました。もともと複数形には「s」のほかに「u」「ru」「an(en)」などがあり、「childru」という複数形に、別の複数を表す「en」が足されてしまって「children」になったとのこと。「『チャイ』ルド」がなぜ「『チ』ルドレン」になるかはまた別の話・・・。

先生が古英語で書いた、卒業生へのメッセージ。「元気でな。君に幸せがありますように」という意味。かっこいいですね!

先生からのメッセージ

 大学は高校までとは違って、自分が興味を持ったことを自分で勉強するところです。単位のためにただ授業に出ているだけではほとんど何も身につきません。大学に来たら、好きな分野を伸び伸びとそして積極的に探求してほしいと思っています。

先輩からのメッセージ

 大学では授業も自分で選べ、やろうと思えばいくらでもやりたいことができる反面、ぼーっと過ごすとあっという間に終わってしまうので、なるべく早いうちに目標を持ってほしい!と、高校時代の自分に言いたいです(笑)。みなさん、先人の言うことは聞いといたほうがいいですよ(笑)

4年・齋藤 洸太郎さん

先輩からのメッセージ

 このゼミでは、予習などは大変でしたが、普通に生きていたら触れることのできない分野をこの大学、このゼミだからこそ勉強できる点がよかったと思います。初めの方は予習ひとつとっても大変だったんですけど、お互い協力し合うなど、みんなといるとがんばれるので、そこまで苦労ではありませんよ。

4年・後藤 万実さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

英語の歴史』渡部 昇一著(大修館書店)

 英語英文学科では、どの分野でもイギリスを含むヨーロッパの歴史に関する知識が基本となるので、これに関する本をぜひ読んでおいていただきたいと思います。さらに私のゼミで扱っているような事柄に興味がある人は「英語の歴史」とか「英語史入門」のようなタイトルの本であればどんなものでもかまわないので読んでみてください。