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みなさん、英語の勉強大変ですか?「第二言語の習得」について研究する人たちがいます

ゼミ紹介

みなさん、英語の勉強大変ですか?「第二言語の習得」について研究する人たちがいます

公開日:2009/04/01

「英語学習はどんなふうに行われるのか」「英語が使えるようになるには、何を知らなくてはならないのか」「外国語ではどうして母語ほどの能力が習得できず、個人差が生じるのか」...外国語の学習の不思議な点を実験、調査、観察などによって解明し、実際の外国語教育に応用することを目標としている。

研究室DATA

原田 哲男 教授(応用言語学)
原田研究室(教育学研究科 英語教育専攻)
所在地:早稲田キャンパス16号館

http://www.f.waseda.jp/tharada/

「どうやったら英語ができるようになる?」と思っている人、研究しましょう!

 「第二言語」とは、母語を習得してから学習する言語のこと。読者のみなさんは日本語が母語で第二言語として英語を学習中、という人がほとんどだと思います。「単語を覚えても読解力はなかなか上がらない!」「英語の成績はそこそこなのに、全然しゃべれない。受験英語って意味あるの?」「ミラクルな勉強方法を求めて、新しい教材ばっかり買ってしまう!」...こんなふうに悩みながらも、日々頑張っている人も多いのでは?

 大学院教育学研究科には英語教育専攻のゼミが3つあり、そのひとつの原田ゼミでは、「第二言語習得」の研究が行われています。外国語がいかに習得されるか、効果的な方法はどんなものかなどと幅広く研究して明らかにすることで、今後の英語教育が進化していくのです。

 「『第二言語習得』は比較的新しい学問なんですよ。解明されていないことだらけなので、知的好奇心をくすぐる分野だと思いますよ!」。「先生自身が知的好奇心の塊だ」と学生のみなさんが口を揃える原田先生が楽しそうに語ってくれます。先生、昔は「6年間も勉強するのに使えるようにならない」と学校英語が批判されていましたが、今は変わったんでしょうか? 「確実に改善されてきてはいますが、根本的な課題は変わっていないと思いますよ。今受験勉強をしているみなさんが、『こんな勉強法でいいのかな?』と疑問に思っている、その感覚は研究者も同じように持っているんです。それを実際に研究して、今後の語学教育に活かそうとするのがこの研究室です。あ、センター試験の英語ぐらいはわからないと英語ができるようにはならないので、しっかりがんばってください(笑)」

先生はにこやかに、身振り手振り大きく、そしてスルドくツッコミます!

読んでいるのはもちろん英語の文献です。分厚い!

修士課程のゼミはどんな雰囲気?

 修士課程のゼミは、文献を読んでディスカッションすることを中心に進められます。発音、文法、語彙の習得から学習する人の心理まで幅広い側面を網羅的に把握し、それから個人の研究テーマを絞っていくため、相当ハードな学業生活を送っているそうです。やっぱり大学院への進学は、三度の飯よりも英語の勉強が好きな人じゃないと務まらないのでしょうか!?

 「いや、学部の頃はそんなに勉強してなかったんですよ(笑)」(修士1年・野上 哲生さん)。「私も留学後は教師になろうと思ってたし、最初から『絶対進学』だったわけではないですね」(修士1年・鈴木 紗希子さん)。「私は中学校の英語教師なんですが、休職して勉強しに来ました。英語は...中学・高校時代は特別好きだったわけではないですね」(修士1年・梶ヶ谷 朋恵さん)と、意外にみなさん一直線ではない感じ。英語教育専攻は、とくにいろんなバックグラウンドの人が多いそう(ちなみに原田先生も、子どもの頃は航空関係志望!)。梶ヶ谷さんは「中学で教えるうちに、どうやったら生徒たちの身につく教え方ができるかを理論的に考えたい気持ちが強くなった」ことから、野上さんは「元々興味のあった発音についてしっかり勉強した、というのを残したかった」ことから進学を決意したということです。研究したい、勉強を続けたいという気持ちはいつ生まれても大丈夫なんですね。

 そして、文系の大学院だからといって「文献とにらめっこ」が研究の中心ではありません。被験者を募って実験や調査、アンケート、インタビュー、いろんな方法を駆使して取ったデータをもとに研究します。たとえば、「課題を決めてどう教えたら効果があるか作戦を立てて被験者に指導、指導の効果を見るとともに、指導している自分たちのことも客観的に分析する」などがその一例。人の生の反応に触れながら、自分たちの論を確立していくアクティブな研究は刺激的ですね!

修士1年 野上 哲生さん

先生からのメッセージ

 21世紀になり科学が進んで、何でも解明されているかのように錯覚しますが、実は世の中わからないことのほうが多いのです。たとえば、どうして子どもは短期間で母語を習得できるのか、そのメカニズムの解明すらできません。ましてや誰にも効果的な英語の学習法なんて、あり得ないと思います。実は、みなさんが疑問に思っていることが、大学や大学院での研究分野そのものなんです。

先輩からのメッセージ

 原田先生は緻密で、興味の幅が広くて、偉大です! 専門分野が決まっている先生も多いですが、原田先生は門戸が広くて、専門外の分野でも一緒に勉強してくれてアンテナを立ててくれます。研究者としてだけでなく、教える人としてもすごいので勉強になります。ここで学んだことを、中学校に持って帰って活かしたいと思っています。

修士1年・梶ヶ谷 朋恵さん

先輩からのメッセージ

 一人で勉強したときと二人で勉強したときとで効果がどう異なるか、ペア学習の有効性ということを研究テーマにしています。学部を卒業したら就職する人が大部分な中での大学院入試になりますが、合格すれば自分のやりたい研究ができるので、苦ではありませんでしたよ。

修士1年・鈴木 紗希子さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

外国語学習に成功する人、しない人――第二言語習得論への招待』白井 恭弘著(岩波科学ライブラリー)

 この本は、外国語学習に影響する要因をいろいろな観点から紹介していて、とても読みやすい本です。自分の英語の学習を振り返るには最適だと思います。

外国語学習の科学――第二言語習得論とは何か』白井 恭弘著(岩波新書)

 この本は、母語以外の言語習得について、どんなふうに研究が行われているかを、様々な観点から紹介しているとてもわかりやすい本です。