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みんなが納得する方法をとことん議論し、考え抜く「秋山ゼミ」

ゼミ紹介

みんなが納得する方法をとことん議論し、考え抜く「秋山ゼミ」

公開日:2011/12/09

民法とは、物を買う契約を結んだのにその物を渡してもらえない、お金を借りる契約を結んだのに借主がお金を返さない、交通事故で負傷させられたなど、人と人との法律関係の基本的なルールを定めた法律です。ゼミでは、実際の事件(裁判)を素材にして、民法がどのようなルールを定めているのか(実は法律に書かれていないルールもあります)、これらのルールをどのように使えばトラブルを上手に解決することができるのか、などを勉強します。法律の世界には一つの正解などありませんので、複数考えられる解答のいずれに説得力があるのかを議論することになります。自分の考えを他人にぶつける、他人の考えに触れて自分の考えを見直す、そして、いろいろな考えがあることを知る...こういうプロセスをゼミでは大切にしています。

研究室DATA

秋山 靖浩 教授
秋山ゼミ(法学部 主専攻法学演習(民法)B)
所在地:早稲田キャンパス8号館

http://www.f.waseda.jp/akisan/

「極限まで考えること」を教えてくれるゼミ

 木曜5限。法学部・秋山ゼミが始まります。取材時、教室の後部には見学の2年生がずらり。導入教育のゼミ、2年生向けのゼミで学んできた法学部生が、いよいよ主専攻を決めるために各ゼミを回っているのです。ゼミを決めるポイントはどこにあるのでしょう?

 2年生のときにすでに2年次向け秋山ゼミに入っていた品川奈音さん(3年)は、「毎週、ひとつの判決の地裁での一審から最高裁まで全部の判例を読み込んで発表するというスタイルのおかげで判例を読む力がつきました。あとの2年間も秋山先生の元で学びたいと思って」主専攻に選んだそうです。

 ほかのゼミに比べて読み込む量が多いという秋山ゼミ。「読み込む」とは、もちろんただ字面を追って「こういう判決が出ました」で終わるのではなく、複雑な事実関係を把握し、どんな法律的判断が下されたかを検討し、関連する判例と比較し、自分の考えをまとめるということ。それって相当ハードですよね、と3年生の大日方史野さんに聞くと、「ゼミでは先生に突っ込まれてどんどんベールがはがされて、『この問題に、君はどこまで向き合えたか』ということが問われるので、準備の段階で自分がどこまで深く考え抜けるかが勝負です」と、緊張感が伝わってくる答え。大量の資料を読み込み、その知識を元に自分の考えをアウトプットする、そして、ほかのゼミ生や先生からの質問に一生懸命答える。この循環により、どんどんゼミ生に力がついていきます!

 「法律の世界にはひとつの正解があるのではありません。いろんな考え方が成り立つ中で、どの考え方を取るとみんなが納得してくれるかという学問なんです」と先生は語ります。どの考え方が適切かを議論すること、それが法の勉強そのものなのです。

この日のテーマは「抵当権侵害における物権的請求権」。第三者が抵当不動産を不法に占有する場合、抵当権者は抵当権侵害としての明け渡し請求が認められるか、について判例や学説、法令等の変遷から検討します。

先生も交えての、知のバトルロイヤルに参戦せよ!

 ゼミのテーマは「最近出た裁判所の判決、あるいは最近よく議論されているテーマ」とのことで、民法の過去の使われ方ではなく「今、実際にどう使われているか」を重視しているのも秋山ゼミの特徴です。ゼミでは発表者の40分ほどの報告の後、議論開始。質問をするのは先生がメインというわけではなく、秋山先生曰く「最初はみんなに自由にやってもらって、だんだん進んでくると、自分も勉強したいから自分も質問したり意見言ったりして、そうなるとみんなでバトルロイヤル(笑)」とのこと。本来なら5限は18時までなのですが、気がつくと19時を回っていることがほとんど、と熱気にあふれています。

 品川さんも、的外れなことを言ってしまうのではという不安と闘いながらがんばって発言していているとのことですが、すべてのゼミ生が議論大好き!というタイプではありません。「静かな学生でも鍛えていくうちに積極的に質問するようになっていきます。ゼミは、お互い疑問や別の考え方をぶつけたりする場。そのための手助けをするのが教員の役割です」と、先生のバックアップも万全。ゼミで大事にしているのは、リーダーシップがあるでも、酒が強いでも何でもいい、いろんな個性を持った人が来て、それを刺激にして成長していく場であってほしいということだそうです。さまざまなタイプのメンバーが100%考え抜いた考え方をぶつけあい、最も適切な選択を模索する。これによってゼミ生は磨かれ、力をつけていくのです。

 ゼミ終盤のバトルロイヤルの核となる先生は、普段はどんな人柄なのでしょう? 「先生は『にぎやか担当』ですね。『負けたやつ罰ゲームな! 俺勝ったけど罰ゲームやるわ!』とか言って、罰ゲームの意味がわからない」「合宿中は先生であることを忘れるくらい学生と同じテンション」と、ゼミ生は笑いをこらえられません。「遊ぶときは徹底的に遊ぶ」と公言する秋山先生。ゼミ中に自分も意見を言いたくなってしまう、という部分に共通して、常に100%の意欲で臨む熱い先生なのです! みなさんも一緒に、100%の力を出し切ってみませんか?

ゼミ中は考え込んだり、質問に来た学生ににこにこと応えたり、先生自身がこの場を楽しんでいる様子が伝わり、ゼミ生も生き生きとしています。

見学の2年生のために作られた、ゼミを紹介するフライヤー。年間スケジュールの中に「バレーボール」と2か所にわたって明記されているのが気になります!

先生からのメッセージ

 「法律の勉強って条文を覚えるだけでは」というイメージは捨てましょう。法律は、人に関するルールを定めていますから、まさに人々が引き起こすさまざまな出来事を扱います。人が繰り広げるさまざまなドラマを、法律という道具で切り取って、社会を円滑に運営しようという学問です。無味乾燥に見えて、実はとても人間臭い法律学の世界に、みなさんもぜひ飛び込んでください。

先輩からのメッセージ

 大学では、やろうと思ったことは何でもできて、学生ということで100%の責任は求められないので思い切って行動ができます。受験勉強がしんどくなったときは、大学入ったら何しようかなと妄想をして、また勉強に戻るという行き気をして、ぜひ早稲田に入ってほしいなと思います。

3年・品川 奈音さん

先輩からのメッセージ

 大学では自分が学びたいことを学ぶ。学ぶ対象がまだ誰も足を踏み入れていない分野なら、自分が先陣を切らなければならない。そういう世界にチャレンジできるのが大学の魅力なので、受験勉強で勉強を嫌いにならないでほしい。得たいもののために努力する力はのちのち生きてきます。

3年・大日方 史野さん

このゼミを目指すキミに先生おすすめの本

父と娘の法入門』大村敦志・著(岩波ジュニア新書)

身近な話題を手がかりにして、なぜ法が必要なのか、法がどのようにして社会を支えているのかなどを学ぶことができます。

火車』宮部みゆき(新潮文庫)

あまり法律っぽいのは嫌だ...という人は、小説から入るのも手です。例えば、『火車』は、借金に苦しむ債務者の姿をリアルに描いた傑作です(ある弁護士がこの作品に協力しています。皆さんはご存知でしょうか?)。私も、法学部2年生の授業で、この本を読むことを法学部生に推奨しています。

自分で考えるちょっと違った法学入門』道垣内正人・著(有斐閣)

逆に、もっと法律っぽいのを読みたい人は、『自分で考えるちょっと違った法学入門』にチャレンジするとよいでしょう。法学部1年生向けの本ですが、幅広いテーマ(ケーキの分け方なんてものから、交通事故の損害賠償まであります)を取り上げて、法的なものの考え方を体得することができます。