ぴーぷる

新理論でトレーニングの常識を覆した 
世界が注目するトレーナー
小山 裕史さん


小山 裕史さん
こやま・やすし
1956年鳥取県生まれ。人間科学研究科修士課程1年、鈴木秀次研究室所属。81年トレーニング施設「ワールドウイング」を鳥取県に設立。日本陸上競技連盟等のフィットネス・コーチを歴任。94年「初動負荷理論」を発表。イチロー、藤田俊哉、杉山愛等、数多くのトップアスリートに支持される。著書に『「奇跡」のトレーニング』(講談社)など。

 小山さんが創案した「初動負荷理論」は、多くのアスリートのパフォーマンスを向上させ、彼らの“限界”の記録を塗り替えてきた。神経筋制御、つまり神経と筋肉の機能を発達させるこの理論は、同時に故障の予防や疾病の改善に驚異的な効果を果たし、「理論も方法論もなかった闇の歴史に光を照らした」と医師の注目も熱い。「内臓も血管も神経の命令で活動する筋肉なんです。本質を見ればアスリートも老人も区別できないんです」

 懸命に練習した選手や子どもたちが故障に泣く事例を嫌というほど見てきた。「人体は、重力・荷重・歪みなどで、常に緊張にさらされています。それに本来、筋肉は縮もうと動くもの。ですから、動作バランスを考えず、ただ筋肉を痛めつけるトレーニングや動作は、筋肉や神経を一層緊張させ、故障や内臓への負担に繋がってしまうんです」。適度な負荷によって筋肉の伸長を連鎖させていく難しい動作を、誰もが取り組めるマシンの開発に成功。「初めてマシンを利用したイチロー君が『力を出し続けたのに体が柔らかくなっている!』と言った時の赤ちゃんのような笑顔は忘れられません」

 発表当時は、従来のトレーニング理論を楯に強烈な批判を浴びた。しかし、選手の活躍だけでなく、麻痺改善、骨折、靭帯損傷等の従来の何倍も早い回復効果の臨床例を続々とあげた。「トレーニングによって、今までできなかったことができた時の感動は、選手も、老人も、子どももみんな一緒。生きる喜びを見いだした表情を見せてくれるんです」。ワールドウイング内は、全国から集まった多彩な参加者の笑い声に満ち溢れている。

 さらに臨床例を検証し、理論をまとめるために今春、大学院に入学。「驚いたことに学生が私のことをよく知っていて、興味を持って話しかけてくれるんです。『小山さんの生き方って在野の精神そのものですね』ってよく言われるんですよ(笑)」。そう語る小山さんの笑顔と目の輝きには、一片の翳りも見当たらない。

(2004年10月7日掲載)

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First drafted 2004 October 7.