山本研究室
早稲田大学・政治経済学部
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©2002 The Institute of
20th Century Media
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マス・コミュニケーションの知識を基礎に、謀略とメディアとの関係を探る
研究テーマ
研究テーマ
マス・コミュニケーション、メディア史、情報史
学部 政治経済学部
学科 政治学科
教員名 山本 武利(やまもと たけとし)
第二次世界大戦で日本が敗戦したことは周知のことだが、そこにはメディアを利用したアメリカの謀略があったといわれている。マス・コミュニケーションの歴史を振り返りながら、戦争における諜報活動などについて研究する

研究概要
 

20世紀の日本のマス・コミュニケーションについて研究
マス・コミュニケーションと聞くと、テレビやラジオ、新聞や雑誌などの媒体を思い浮かべる人がほとんどだろう。山本ゼミでは、こうした新聞を中心とした活字メディア、ラジオ、テレビ、さらには最近のニューメディアなどについて研究を行っている。特に、日露戦争から大正デモクラシー、ファシズム期、占領期、戦後期に分けてマス・コミュニケーションの歴史を振り返り、さらにポスターや紙芝居などのミニ・メディアも視野に入れて、各時期のメディアの構造や機能について学ぶ。そして、これらの知識を基礎として、日本の内外でのプロパガンダやインテリジェンスの問題を取り上げ、各時期の事例を挙げてメディアとの関連について研究する。

国際的謀略家の養成をめざす!?
マス・メディアは、20世紀以降、政治・経済の面で大きなウエイトを占めてきた。これは21世紀になっても変わらないが、20世紀を中心としたマス・メディアの動きを知ることが、現代ならびに将来への展望に役立つのである。そして、活字メディアとニューメディアとの相互共存をめざしていくのである。山本教授は、マーケティングやジャーナリズムなどの知識だけでなく、プロパガンダやインテリジェンスなどの最近の研究成果も学生に提供している。例えば、第二次世界大戦やアフガン戦争などにおいて、アメリカが敵を混乱させるために行った宣伝活動や謀略放送などの経過をたどり、謀略とメディアとの関係について探っていくのである。「国際的に活動する謀略家や戦略家を養成できるかもしれません」と山本教授は語る。

本の出版の他、雑誌編集やデータベースの製作も手がける
山本教授の最近の研究成果は授業やゼミでも取り上げられているが、教授は毎年、授業で話したことや研究内容を本にして出版している。第二次世界大戦中、ラジオを使って行われた日米の謀略の話が書かれている『ブラック・プロパガンダ』もその一つ。このほか、教授が代表をつとめる「20世紀メディア研究所」では、第二次世界大戦中や敗戦後の占領期に、アメリカが日本に対して行った諜報活動の実態などを紹介した雑誌『インテリジェンス』を創刊した。また、連合国軍による日本の占領時代に連合国軍総司令部によって厳しく検閲されていた当時の出版物のうち、特に雑誌の全目次をデータベース化する作業に5年計画で巨額の科学研究費を受けて取り組んでいる。第1年度はCD-ROMを製作したが、今後はインターネットで検索できる方向に進めている。

 

高校生にも読みやすい教授の著書を選んでもらった。左から『マスコミは人を裁けるか』(ポプラ社、1991年)、『ブラック・プロパガンダ―謀略のラジオ』(岩波書店、2002年)、『日本兵捕虜は何をしゃべったか』(文春新書、2001年)

最近の研究成果として、雑誌『インテリジェンス』とCD-ROM『日本占領期雑誌目次データベース』

3年生のゼミで使っている英語の文献。『A Psychological Warfare Casebook』

ゼミ生は一人1冊持っている。約900ページにわたり英語がびっしり書かれている
   

研究・演習のポイント
 

卒論のための資料や文献は各自で購入
ゼミには3・4年生が所属しているが、3年生はテキストとして外国語の文献を訳したり、その内容をまとめたりしている。4年次になると各自の興味のあるテーマについて卒業論文制作に取り組んでいく。山本教授は学生たちに、「卒業論文のために本代30万円を使うこと」と言っているのだそうだ。3年次のゼミで使う外国語の文献や日本ではなかなか入手できない本などは、ゼミ単位で取り寄せたりしている。「図書館で借りてコピーするだけではなく、自分で本を探して買えば必ず身に付くはずです」と山本教授は言う。また、昨年度は、ラジオ・プレスなどに出かけたり、また山本教授の前職だった一橋大のゼミ生とともにゼミ合宿や情報交換を行ったりした。


卒業後の進路
  マスコミ関係だけでなくさまざまな業種へ就職
昨年度は一橋大学の4年生と早稲田大学の3年生が同じゼミに所属していたので、今の4年生が山本ゼミの1期生ということになる。実質的な卒業生というのはまだいないが、昨年度はマスコミ関係に就職した先輩が多かった。今の4年生の中には、放送局や広告などのマスコミ関係のほか、銀行やSE(システムエンジニア)に内定している学生が数人いる。ほかの学生もマスコミ関係だけでなく、あらゆる業種への就職を希望しているのだそうだ。「マスコミ関係に就職しなくても、メディアやコミュニケーションの知識があれば、さまざまな方面で活躍できるはずです」と山本教授は言う。また、大学院に進学を希望する学生は1割程度で、ほとんどの学生は就職を希望している。
先生からのメッセージ
政治や経済、メディア、コミュニケーションなどに関心のある人はもちろんですが、世界を股にかけて謀略したいという野望を持っている人、あるいはインテリジェンスやスパイなどに興味のある人は、ぜひ私のゼミに来てください。私のゼミでは、国際的な視点で物事を考え、背後にある情報やメディアの流れを読み解く能力を身に付けることをめざしていますので、そういうことに興味のある人に来てほしいですね。これからはどんな仕事に就くにしても、世界を視野に入れた知識や情報が必要になってきます。そういった意味でも、もともと戦略や謀略などに興味のある人がいいですね。また、インターネットや携帯電話も情報源として大切なものですが、やはり本や新聞をどんどん読んで欲しいと思います。高校生には勉強のための本代として1か月に2,000円は使ってほしいですね。

先輩に聞く
  近山 知史さん
4年

「シニア世代に通用する広告アプローチ」
シニア世代とは50〜65歳を指しますが、その世代に対する広告がどういう方向に進んでいくのか、ターゲットを絞った広告がどう動いていくのかについて研究しようと思っています。広告についてのいろいろな文献を読んでいた中で、日本における現代広告の課題は高齢社会であるということを知りました。そして、実際に老人介護をしている母が楽しそうにやっているのを見て、広告から受けていた介護に対するイメージがよい方向に変わり、広告というものは前向きなイメージを与えるパワーがあるのではないかと思ったことが、このテーマを選んだ理由といえるでしょう。高校時代は演劇部で芝居をしたり、小説が好きだったので本をよく読んだりしていました。何かのために頑張ることも大切ですが、今楽しいと思うことや好きなことをやっていけば、それがいつかは本当にやりたいことにつながっていくと思います。