がたあつたの社あれかとよ七里の渡し帆を上て艪拍子揃へてヤツシツシ楫取音は鈴虫かいやきり〲す鳴や霜夜と詠たるは小夜ふけてこそくれ迄と限り有舟いそがんと母が走れば娘も走空のあられに笠覆ひ船路の友の跡やさき庄野亀山せきとむる伊勢と吾妻の別れ道駅路の鈴の鈴鹿こへ間の土山雨がふる水口の葉にいひはやす石部石場で大石や小石ひらふて我夫と撫つさすりつ手にすへてやがて大津や三井寺の麓を越て山科へ程なき里へいそきゆく第九風雅でもなくしやれでなくしやう事なしの山科に由良助が侘住居祗園の茶屋にきのふから雪の夜明し朝戻り牽頭中居に送られて酒がほたへる雪こかし雪はこけいで雪こかされ仁体捨し遊び也旦那申旦那お座敷の景ようござりますお庭の藪に雪持てトなつた所とんと絵に書た通りけうといじやないかのふお品サア此景を見て外へはどつちへもいきたうはござりますまいがなヘツ朝夕に見ればこそあれ住吉の岸
がたあつたの社あれかとよ七里の渡し帆を上て艪拍子揃へてヤツシツシ楫取ル音は鈴虫かいやきり〲す鳴や霜夜と詠たるは小夜ふけてこそくれ迄と限り有舟いそがんと母が走れば娘も走リ空のあられに笠覆ひ船路の友の跡やさき庄野亀山せきとむる伊勢と吾妻の別れ道駅路の鈴の鈴鹿こへ間イの土山雨がふる水口の葉にいひはやす石部石場で大石や小石ひらふて我夫と撫つさすりつ手にすへてやがて大津や三井寺の麓を越て山科へ程なき里へいそきゆく第九風雅でもなくしやれでなくしやう事なしの山科に由良助が侘住居祗園の茶屋にきのふから雪の夜明ケし朝戻り牽頭中カ居に送られて酒がほたへる雪こかし雪はこけいで雪こかされ仁体捨し遊び也旦那申シ旦那お座敷の景ようござりますお庭の藪に雪持ツてトなつた所とんと絵に書イた通りけうといじやないかのふお品サア此景を見て外へはどつちへもいきたうはござりますまいがなヘツ朝夕に見ればこそあれ住吉の岸
ウ:あれかとよ,フシ:あれかとよウ/フシ
中:七里の中
ハル:帆をハル
中:艪拍子,キン:艪拍子中/キン
色:ヤツシツシ色
ハルキン:楫ハルキン
中:鈴虫か,ウ:鈴虫か中/ウ
ウ:いやウ
ヒロイ:きり〲すヒロイ
ウ:詠たるはウ
ハル:くれ迄とハル
ウ:限りウ
ウ:いそがんとウ
トル:母がトル
合:娘も,ハル:娘も合/ハル
ヲクリ:空のヲクリ
ウ:あられにウ
ハルフシ:船路のハルフシ
中:跡や中
ハル:せきとむるハル
ウ:別れウ
ウ:鈴鹿ウ
トル:間の,カヽリ:間のトル/カヽリ
ウキン:水ウキン
ハル:いひハル
中:石部,ウ:石部中/ウ
ハル:大石やハル
ウ:小石ウ
ウ:我ウ
ウ:撫つウ
ウ:手にウ
ウ:やがてウ
上:麓を上
ウ:山科へウ
ウ:里へウ
三重:いそき三重
地:風雅でも,中:風雅でも,キン:風雅でも地/中/キン
ウ:しやれでウ
ハル:しやうハル
中:山科に中
ウ:由良助がウ
ハル:侘住居ハル
ウ:祗園のウ
中:朝戻り中
ウ:牽頭ウ
ノル:酒がノル
ウ:雪はウ
フシ:仁体フシ
調:旦那調