婿婿婿便
なされ下さりませとひつたくり逃行先へ立廻りヱヽ聞わけのないむごい料理りやうりするがいやさに手ぬるういへば付上るサア其金爰へまき出せおそいとたつた一と二尺八寸おかみ打なふ悲しやといふ間もなくから竹わりと切付る刀の廻りか手の廻りかはづれるぬき身を両手にしつかとつかみどふでもこなた殺さしやるのヲヽしれた事金の有のを見てするしごとこゞとはかずとくたばれと肝先きもさきさしればマヽヽヽヽまあ待て下さりませハア是非ぜひに及ぬ成程〱是は金でござりますけれ共此金は私がたつた一人の娘がござる其娘が命にもかへぬ大事の男がござりまする其男の為に入金ちとわけ事ゆへ浪人らうにんして居まする娘が申まするはあのお人の浪人ももとはわし故何とぞして元の武士にしてしんぜたい〱とかゝとわしとへ毎夜まいよさ頼みア身貧にはござりまするどうもしがくの仕やうもなくばゞといろ〱談合たんかうして娘にものみこませ婿むこへはかならず沙汰さたなしとしめし合せほんに〱親子三人がの涙の流れる金それをお前にとられて娘はなんとなりませうコレおかみます助下されませお前もおさむらひの果そふなが武士は相身互あひみたがい此金がなければ娘も婿も人様に顔が出されぬたつた一人の娘につれそふ婿じや物ふ便びん

地:ひつたくり,ハル:ひつたくり地/ハル

ウ:逃

色:立廻り

詞:ヱヽ

地:二尺,ハル:二尺地/ハル

ウ:悲しやと

中:なく

ハル:切付るハル

ウ:刀の

色:廻りか

ウ:はづれる

ハル:両手にハル

色:掴付

詞:どふでも

地色:くたばれと,ハル:くたばれと地色/ハル

ウ:肝先へ

詞:マヽヽヽヽ