使婿殿
使婿殿
はどふもお使者にあはれぬアイタヽヽ娘太義ながら御口上も受取御馳走ちさうも申てたもお主と持病ちひやうにかたれぬ〱とそろ〱と立上り娘や随分すいぶん御馳走申しややしたが餘り馳走過大事の口上忘れまいぞわしも婿殿にアイタあいたからうの奥様は氣とほしてぞ奥へ行小浪は御跡伏拝ふしおがみ〱忝い母様日頃恋し床しい力弥様あはゞどふいをかういをと娘心のとき〱と胸に小浪を打よすたゝみざはりも古実こじつを糺し入来る大星力弥まだ十七の角髪つのかみや二つともへ定紋ちやうもんに大小立派りつぱさはやかにさすが大星由良助が子息と見へし其器量きりやうしづ〱と座に直りたそお取次頼奉ると慇懃ゐんぎん相述あひのぶる小浪ははつと手をつかへじつと見かはす顔と顔互の胸に恋人と物も得いはぬ赤面せきめんは梅と桜の花相撲すまふに枕の行司なかりけり小浪やう〱胸押しづめ是は〱御苦労くらう千万にようこそお出只今の御口上受取役は私御口上のおもむきをお前の口からわたしが口へ直におつしやつて下さりませとすりよれば身をひかへハア是は〱ぶ作法さほう千万惣して口上受取渡しは行作法さほうたゝみをさかり手をつかへ主人塩冶判官ゟ若狭助様への御口上明日は官領くはんれい直義公へ未明みめいより相つめはつの所定てお客人も早々にお出あらん然れば判官若狭助両人は正七つ時に急度きつと御前へ相詰よと師直様ゟ御仰万間違まちかひのなき様に今一おう

地色:〱と,ウ:〱と地色/ウ

ハル:そろ〱とハル

色:立上り

詞:娘や

地色:あいたからうの,ウ:あいたからうの,ハル:あいたからうの地色/ウ/ハル

フシ:氣通フシ

地色:小浪は,ウ:小浪は地色/ウ

色:〱

詞:忝い

地:娘心の,ハル:娘心の,キン:娘心の地/ハル/キン

中:胸に,フシ:胸に中/フシ

地:畳ざはり,ウ:畳ざはり地/ウ

ハル:大星ハル

ウ:まだ

ウ:二つ巴の

フシ:大小フシ

地:遉,ウ:遉地/ウ

ハル:其ハル

ウ:しづ〱と

色:座に

詞:たそ

地:慇懃に,ウ:慇懃に地/ウ

ハル:小浪はハル

ウ:顔と

中:互の,キン:互の中/キン

ハル:恋人とハル

ウ:物も

ウ:梅と

ウ:花

フシ:枕のフシ

地:小浪,ハル:小浪地/ハル

色:胸

詞:是は

地:直に,ウ:直に地/ウ

ハル:おつしやつてハル

ウ:すりよれば

色:身を

詞:ハア

地:畳を,ウ:畳を地/ウ

ハル:さかりハル

色:つかへ

詞:主人