河の仕丁亀井の六位官人ならぬ堪忍の二字を守つてひかゆれど布衣なさ余つて鯉口のくつろぐ光り銀魚袋供奉は門前人目有赦させ給へと敬つて頭はさげても顔と顔睨でわかるゝ両大将源九郎義経の義といふ字を読と音源九郎ぎつね附添し大和言葉の第五物語其名は高く聞へける山々は皆白妙に白雪の梢するどき氣色かな佐藤忠信大音上清和天皇の後胤検非違使五位の尉源の義経也兄頼朝が家来の汝等現在我に敵するは主に刃向ふ無道人天狗に習し妙術にて一々に蹴殺して谷のみくずとしてくれん観念せよと呼はつたり右往左往に取巻たる讒者一味の鎌倉勢声々にヤア主従とは事おかし主か主であらざるか討取て見せ付んかゝれやかゝれと一面に打てかゝるを事共せず右へなぎ立左へ払ひ切立〱切立れば一先引と鎌倉勢逃るをやらじと岨道を足に任せて追かくる平家の大将能登守忠信に出合んと約束違ぬ衆徒頭巾形も横川の覚範を人はそれ共白雪を踏ならしてぞ歩くる山端岩角けしとまず追ちらして立帰る佐藤忠信兼て期したる約束の敵は向ふに待かけたり鎌倉勢のかへさぬ中に名乗合して勝負せんと立寄相手をにつこりと笑ふて待たる勇将義士互にまねかれ招き合去年三月八嶋の磯にて大将軍の御馬の先に立塞り忠心に矢を請とめたる佐藤三郎兵衛次信が弟四郎兵衛忠信兄の敵平家の大将能登守教経恨のやいば参らするとぞ名乗
河の仕丁亀井の六位官ン人ならぬ堪忍の二字を守つてひかゆれど布衣なさ余つて鯉口のくつろぐ光り銀魚袋供奉は門ン前人目有リ赦させ給へと敬つて頭はさげても顔と顔睨でわかるゝ両大将源九郎義経の義といふ字を読と音源九郎ぎつね附キ添し大和言葉の第五物語其名は高く聞へける山々は皆白妙に白雪の梢するどき氣色かな佐藤忠信大音ン上清和天皇の後胤検非違使五位の尉源の義経也兄頼朝が家来の汝等現在我に敵するは主に刃向ふ無道人天狗に習し妙術にて一チ々に蹴殺して谷のみくずとしてくれん観念せよと呼はつたり右往左往に取リ巻イたる讒者一チ味の鎌倉勢声々にヤア主従とは事おかし主か主であらざるか討取ツて見せ付んかゝれやかゝれと一チ面に打てかゝるを事共せず右へなぎ立左リへ払ひ切立〱切立れば一先ツ引ケと鎌倉勢逃クるをやらじと岨道を足に任せて追ツかくる平家の大将能登ノ守忠信に出合んと約束違ぬ衆徒頭巾形も横川の覚範を人はそれ共白雪を踏ならしてぞ歩くる山端岩角けしとまず追ツちらして立帰る佐藤忠信兼て期したる約束の敵は向ふに待かけたり鎌倉勢のかへさぬ中チに名乗リ合して勝負せんと立寄ル相手をにつこりと笑ふて待ツたる勇将義士互にまねかれ招き合去年三月八嶋の磯にて大将軍の御ン馬の先キに立塞り忠心に矢を請とめたる佐藤三郎兵衛次信が弟四郎兵衛忠信兄の敵平家の大将能登ノ守教経恨のやいば参らするとぞ名乗リ
ハル:官人ならぬハル
ウ:二字をウ
色:ひかゆれど色
ウ:布衣なさウ
下:くつろぐ下
ウ:銀魚袋ウ
ナヲス:供奉は,ウ:供奉はナヲス/ウ
ハル:人目ハル
ウ:赦させウ
ウ:睨でウ
色:両大将色
ハル:源九郎ハル
ウ:義経ウ
キン:義とキン
ウ:いふウ
色:源九郎ぎつね色
ハル:大和言葉の,ウ:大和言葉のハル/ウ
謡:山々は,一セイ:山々は,ハル:山々は謡/一セイ/ハル
ナヲス:佐藤,地:佐藤,ハル:佐藤ナヲス/地/ハル
色:大音色
詞:清和天皇の,ノリ:清和天皇の詞/ノリ
地色:天狗に,ウ:天狗に地色/ウ
ウ:一々にウ
ウ:蹴殺してウ
ウ:谷のウ
ハル:してハル
フシ:観念フシ
地色:右往左往に,ウ:右往左往に地色/ウ
ハル:讒者ハル
ウ:鎌倉勢ウ
色:声々に色
詞:ヤア詞
地:かゝれと,ハル:かゝれと地/ハル
ウ:打てウ
ウ:右へウ
ウ:切立ウ
ウ:一先ウ
ウ:逃るをウ
ウ:足にウ
フシ:追かくるフシ
江戸:平家の,ハルフシ:平家の江戸/ハルフシ
色:能登守色
ウキン:忠信にウキン
ハル:出合んとハル
ウ:約束ウ
色:衆徒色
中:形も中
色:覚範を色
ハル:人はハル
ウ:踏ならしてぞウ
フシ:歩フシ
ナヲス:山端,地:山端,ウ:山端ナヲス/地/ウ
ウ:追ちらしてウ
ハル:佐藤ハル
ウ:兼てウ
ウ:敵はウ
色:待かけたり色
ウ:鎌倉勢のウ
ハル:名乗ハル
ウ:立寄ウ
色:につこりと色
ウ:笑ふてウ
コハリ:勇将コハリ
ハル:互にハル
ナヲス:まねかれ,色:まねかれナヲス/色
詞:去年,ノリ:去年詞/ノリ