金を那智若衆めにすつての事ひぢり取りよと致したとへらず口其腮をと立寄金吾を内侍はおさへ事ない中と若君引連立出給へば是非もなく跡に引添小金吾も無念をこたへ上市の宿有方へと急ぎ行譬百度にらまれても一度が一歩につきやせまいうまい仕事といがみの権太金懐に押入て盆やへ急ぐ向ふへずつと茶やの女房が立ふさがりコレ権太殿コリヤどこへホ小せんかわりや店明てどこへいたわしや旅人のお頼で坂本へ薬をかいにヲそりやよい手筈われが居たら又邪魔しやうにはづしてゐたでまし〱といふ胸ぐらを取て引すへコレこなたに衒さす氣てはづしては居ぬぞや最前戻りかゝつた所にわつぱさつぱ指出たら衒の正銘顕れどんな事にならふもしれぬとあの松かげから聞て居たヘヱヽこなさんは恐ろしい工する人姿は産共心は産ぬと親御は釣瓶鮓やの弥助の弥左衛門様といふて此村で口も利お方見限られ勘当同前御所の町に居た時こそ道も隔れ跡の月から同し此下市に住でも嫁か孫かとお近付にもならぬはの皆こなさんの心からいがみの権にきぬきせて衒の権といはふぞや此善太郎は可愛ないか博奕のもとでが入ならば此子やわしを売て成と重て止て下さんせ何の因果で其様な恐ろしい氣にならしやつたと取付歎ばつき飛しヤア引さかれめが又してはよまい言おれが盗衒の根元は皆うぬから發つた事ホこりや
金を那智若衆めにすつての事ひぢり取ラりよと致したとへらず口其腮をと立寄ル金吾を内侍はおさへ事ない中チと若君引連立出給へば是非もなく跡に引添小金吾も無念ンをこたへ上市の宿ク有ル方へと急ぎ行譬百度にらまれても一チ度が一チ歩につきやせまいうまい仕事といがみの権太金懐に押シ入て盆やへ急ぐ向ふへずつと茶やの女房が立ふさがりコレ権太殿コリヤどこへホ小せんかわりや店明ケてどこへいたわしや旅人のお頼で坂本へ薬をかいにヲそりやよい手筈われが居たら又邪魔しやうにはづしてゐたでまし〱といふ胸ぐらを取ツて引すへコレこなたに衒さす氣てはづしては居ぬぞや最前ン戻りかゝつた所にわつぱさつぱ指出たら衒の正銘顕れどんな事にならふもしれぬとあの松かげから聞て居たヘヱヽこなさんは恐ろしい工する人姿は産共心は産ぬと親御は釣瓶鮓やの弥助の弥左衛門様といふて此村で口も利お方見限られ勘当同前ン御所の町に居た時こそ道も隔れ跡の月から同し此下市に住でも嫁か孫かとお近付にもならぬはの皆こなさんの心からいがみの権にきぬきせて衒の権といはふぞや此善太郎は可愛ないか博奕のもとでが入ならば此子やわしを売て成リと重て止て下さんせ何ンの因果で其様な恐ろしい氣にならしやつたと取リ付キ歎ケばつき飛しヤア引さかれめが又してはよまい言おれが盗ミ衒リの根元は皆うぬから發つた事ホこりや
地色:ひぢり,ウ:ひぢり地色/ウ
ウ:内侍はウ
中:おさへ中
ウ:事ないウ
ウ:立出給へばウ
ハル:是非もハル
ウ:無念をウ
フシ:宿フシ
地:譬,ハル:譬地/ハル
ウ:一度がウ
ウ:うまいウ
ウ:金ウ
中:押入て中
ウ:盆やへウ
ウ:向ふへウ
ハル:茶やのハル
色:立ふさがり色
詞:コレ詞
地色:いふ,ハル:いふ地色/ハル
色:取て色
詞:コレ詞
地色:博奕の,ウ:博奕の地色/ウ
ハル:此ハル
ウ:重てウ
ウ:何のウ
ウ:恐ろしいウ
キン:歎ばキン
色:つき飛し色
詞:ヤア詞