存はなしとくとそつちを吟味召れといはせも果ずコレ其足よは連たが盗する付目じやよもやと思はせしてやるが当世のはやり物何万両はいらぬたつた廿両スリヤどふしても身が盗だとなハテしれた事ムウして其盗だ證拠はコレ此皮籠の中紐なぜといたあり様の荷物に紛失が有と赦さぬといふたでないか理詰じや出しやいの〱とせり詰られて小金吾ももふ是迄と抜放す内侍はあはていだきとめ尤じや道理じや短氣な事を仕やつてはわしも此子も俱に難義無念に有ふと堪忍してあの者のいふ様に了簡付てやつてたも足弱連たを災難と思ひ胸をしづめてたもいのと涙にくれての給ふにぞ血氣にはやる小金吾も見るに忍びず世が代の時でござらふならづだ〱にためしてもあきたらぬやつなれ共何をいふても茅の穂にもおぢる身の上御意の通りに致しましよヘヱヽ口惜ふござりまするとこなたは大事の二方をお供の身なれば無念をこたへ奥歯噛程付上り廿両といふ金あたゝまつておいて其頬何じやホウこはいは〱此鰯で切か此目でおどすか前髪を一筋づゝ抜ぞよ但もふ金はふけらしたか連のめろからせんさくと弱みへかゝるを首筋つかんで引戻し用意の路金いふ程出して睨付大切なお方をお供した故衒取るゝ廿両持てうせいと打付れば衒のならひ金見ると目に仏なく手ばしかく拾ひ集めて耳よみ揃へテモ恐ろしい此
存はなしとくとそつちを吟味召サれといはせも果ずコレ其足よは連たが盗する付ケ目じやよもやと思はせしてやるが当世のはやり物何ン万両はいらぬたつた廿両スリヤどふしても身が盗ンだとなハテしれた事ムウして其盗ンだ證拠はコレ此皮籠の中紐なぜといたあり様マの荷物に紛失が有ルと赦さぬといふたでないか理詰じや出しやいの〱とせり詰られて小金吾ももふ是迄と抜キ放す内侍はあはていだきとめ尤じや道理じや短氣な事を仕やつてはわしも此子も俱に難義無念ンに有ふと堪忍してあの者のいふ様に了簡付ケてやつてたも足弱連たを災難と思ひ胸をしづめてたもいのと涙にくれての給ふにぞ血氣にはやる小金吾も見るに忍びず世が代の時でござらふならづだ〱にためしてもあきたらぬやつなれ共何をいふても茅の穂にもおぢる身の上御意の通りに致しましよヘヱヽ口惜ふござりまするとこなたは大事の二方をお供の身なれば無念をこたへ奥歯噛程付キ上り廿両といふ金あたゝまつておいて其頬何ンじやホウこはいは〱此鰯で切ルか此目でおどすか前髪を一ト筋づゝ抜ぞよ但シもふ金はふけらしたか連レのめろからせんさくと弱みへかゝるを首筋つかんで引戻し用意の路金いふ程出して睨付ケ大切ツなお方をお供した故衒取ラるゝ廿両持ツてうせいと打付クれば衒のならひ金見ると目に仏ケなく手ばしかく拾ひ集めて耳よみ揃へテモ恐ろしい此
地色:とくと,ウ:とくと地色/ウ
ハル:いはせもハル
色:果ず色
詞:コレ詞
地:せり,ハル:せり地/ハル
ウ:もふウ
ウ:内侍はウ
色:いだき色
詞:尤じや詞
地色:足弱,ウ:足弱地色/ウ
ハル:災難とハル
ウ:胸をウ
ウ:涙にウ
中:の給ふにぞ中
ウ:血氣にウ
ハル:見るにハル
色:忍びず色
詞:世が詞
地:こなたは,ウ:こなたは地/ウ
ハル:二方をハル
ウ:お供のウ
色:付色
詞:廿両と詞
地色:連の,ウ:連の地色/ウ
ウ:弱みへウ
ハル:首筋ハル
中:引戻し中
ウ:用意のウ
色:路色
詞:大切な詞
地色:持て,ハル:持て地色/ハル
中:打付れば中
ウ:衒のウ
ウ:目にウ
色:耳色
詞:テモ詞