の人を女房といひ一天の君を我子と呼時節を待しかひ有て九郎大夫義経を今宵の中に討取年来の本望を達せんはハアヽ悦ばしや嬉しやな典侍の局も悦ばれよといさめる顔色威有て猛平家の大将知盛とは其骨柄に顕はれし扨は常々の御願ひ今夜と思し立給ふなわきて九郎はすゝどき男仕損じばしし給ふなヲヽ夫にこそ術有北条が家来相模五郎といひしは我手下の船頭共討手と偽り狼藉させ某義経に方人の躰を見せ心をゆるさせ今夜の難風を日和と偽り船中にて討取術なれ共知盛こそ生残つて義経を討たん也とさた有ては末々君を御養育もならず重て頼朝に怨も報はれず去によつて某人数を手配艀にて跡よりほつ付義経と海上にて戦はゞ西海にて亡ひたる平家の悪霊知盛が怨霊也と雨風を幸に彼等が眼をくらません為我形も此ごとく怪見する白糸威此白柄の長刀にて九郎が首取立帰らん勝負の相図は大物の沖にあたつて挑燈松明一度に消なば知盛が討死と心得君にも御覚悟させまし御骸見ぐるしなき様にヲヽ跡氣づかはずとよき奏をしらせてたべ知盛早ふと勅こは有がたしと竜顔を拝し申せばおとなしき八つの太鼓も御年の数を象る相図のしらせ早お暇と夕浪に長刀取直し巴波の紋あたりをはらひ砂を蹴立早風につれて眼をくらまし飛が
の人を女房といひ一ツ天の君を我子と呼時節を待チしかひ有ツて九郎大夫義経を今宵の中チに討取リ年ン来の本ン望を達せんはハアヽ悦ばしや嬉しやな典侍の局も悦ばれよといさめる顔色威有ツて猛平家の大将知盛とは其骨柄に顕はれし扨は常々の御ン願ひ今夜と思し立給ふなわきて九郎はすゝどき男仕損じばしし給ふなヲヽ夫レにこそ術有北条が家来相模五郎といひしは我手下の船頭共討手と偽り狼藉させ某義経に方人の躰を見せ心をゆるさせ今ン夜の難ン風を日和と偽り船ン中にて討取術なれ共知盛こそ生キ残つて義経を討たん也とさた有ツては末々君を御養育もならず重て頼朝に怨も報はれず去ルによつて某人数を手配艀にて跡よりほつキ付キ義経と海上にて戦はゞ西海にて亡ひたる平家の悪霊知盛が怨霊也と雨風を幸イに彼等が眼をくらません為我形チも此ごとく怪見する白糸威此白ラ柄の長刀にて九郎が首取立帰らん勝負の相図は大物の沖にあたつて挑燈松明一チ度に消なば知盛が討死と心得君にも御覚悟させまし御骸見ぐるしなき様にヲヽ跡氣づかはずとよき奏をしらせてたべ知盛早ふと勅こは有がたしと竜顔を拝し申せばおとなしき八つの太鼓も御ン年の数を象る相図のしらせ早お暇と夕浪に長刀取リ直し巴波の紋あたりをはらひ砂を蹴立早風につれて眼をくらまし飛が
地色:年来の,ハル:年来の地色/ハル
ウ:悦ばしやウ
ウ:典侍の局ウ
ウ:いさめるウ
ウ:顔色ウ
ウ:平家のウ
ウフシ:顕はれしウフシ
地:扨は,ウ:扨は地/ウ
ハル:今夜とハル
色:思し立給ふな色
色:立給ふな色
詞:わきて詞
地色:さた,ウ:さた地色/ウ
ハル:重てハル
色:報はれず色
詞:去に詞
地色:義経と,ウ:義経と地色/ウ
ハル:海上にてハル
ウ:西海にてウ
ウ:知盛がウ
中:怨霊也と中
ハル:雨風をハル
ウ:彼等がウ
色:くらません色
詞:我詞
地色:挑燈,ウ:挑燈地色/ウ
ハル:知盛がハル
ウ:君にもウ
ウ:御骸ウ
中:様に中
ウ:跡ウ
ハル:しらせてハル
ウ:知盛ウ
ウ:拝しウ
フシ:八つのフシ
ウ:御年のウ
ウ:数をウ
謡:夕浪に謡
ナヲス:眼を,地:眼を,ウ:眼をナヲス/地/ウ
上:,三重1:上/三重1