駿駿
野の太郎を討て次手に土佐坊せしめてくれんと追かけ廻つて正尊がのつる馬の尻辺しりへのりぼつ立白洲しらすにはやかたもゆるぐ鐘声つきがねヤア〱我君やおはする討手に向ひし海野はにして土佐坊めを生捕いけどつたり亀井駿河はいづくに居る武蔵が料理りやうり喰残くひのこ賞翫しやうくはんせぬかとよばゝつてもやかたはひつそとしづまつてこたゆる人もなきふしぎ不思議ふしぎ〱と見廻す内坂東ばんどうの土佐坊がこしのうは帯ひきて馬より飛おり大声上者共来れと下知げちの内兵具ひやうぐのつはもの数百人ソレとれと追まく武蔵も馬より一足飛そくとび太刀も刀もわしづかみ熊鷹くまたかかみの首の骨にぎるときれる数万力すまんりき雨かあられか人つぶて透間すきまを見て土佐坊が武蔵がよはごししつかとだくシヤ小僧めがあぢをやる腰の療治りやうぢでひねるかもむかさすつておけろのぶり〱どさり尻餅しりもちついてもひるまぬ曲者くせもの四尺にあまるだんびら物討てかゝればひらりとはづしてうど切柄先つかさきでしやんと請とめホヽヽヽ出かす〱腰をさすつた其かはり首筋ひねつてくれんずとぱつしとはねて身をかはし大太刀蹴落けおとしそつ首つかみぐつと引よせ腰にぴつ付我君様御臺みだい様亀井やい駿河やいと引ずり廻り呼廻り尋廻れど人々の御行方も見へざれば扨は

ウ:土佐坊

ウ:ぼつ立

ウ:館も

色:鐘声

詞:ヤア,ノリ:ヤア詞/ノリ

地:館は,ウ:館は地/ウ

ハル:答るハル

色:ふしぎ

ウ:不思議

ウフシ:〱ウフシ

地:坂東,ウ:坂東地/ウ

ハル:馬よりハル

色:大声

ウ:者共

ハル:兵具のハル

ウ:数百人

色:追

ウ:武蔵も

ウ:太刀も

ウ:熊鷹づかみの

ハル:首のハル

ウ:握ると

ウ:透間を

ウ:武蔵が

色:だく

詞:シヤ,ノル:シヤ詞/ノル

地色:さすつて,中:さすつて地色/中

フシ:のぶりフシ

地:尻餅,ウ:尻餅地/ウ

ハル:四尺にハル

色:だんびら物

詞:討て,ノル:討て詞/ノル

江戸:てうど,ウキン:てうど江戸/ウキン

ウ:しやんと

詞:出かす

地:すつた其,ハル:すつた其地/ハル

ウ:ぱつし

ウ:大太刀

フシ:ぐつとフシ

地:腰に,ハル:腰に地/ハル

色:ぴつ付

詞:我

地:引ずり,ハル:引ずり地/ハル

ウ:尋

ウ:御行方も

ウ:見へざれば

ウ:扨は