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水分補給のポイント

早稲田大学スポーツ栄養研究所
招聘研究員 青沼小百合

アスリートにとって水分補給は、熱中症予防だけでなく、パフォーマンスやコンディション低下を防ぐためにとても大切です。

運動中の発汗量は1時間に2L以上になることがあります。多量の発汗によって脱水が体重の2%以上になると、パフォーマンス(持久的運動能力や認知機能など)が低下することが分かっています1, 2)。水分補給は発汗量に相当する量を補うことが推奨されていますが、それは個人差があり、そのときの気象条件や運動時間、強度によって異なります。したがって、運動前後での体重減少量が2%以内であることが適切な水分補給の目安となります。また、「のどの渇き」に応じて、自由に水分補給ができる環境を整えておくことも重要です3)

運動時における水分補給が適切かを判断する2つの方法を紹介します。

①運動前後の体重の変化を確認する
 体重減少を2%以内に抑えましょう。
 例)運動前の体重が50 kgの人の場合:50 kgの2%は1 kg
  運動後の体重が49 kg以下である場合には水分補給が不足

②尿の色と量で確認する
 いつもより尿の色が濃い、もしくは量が少ない場合は脱水の可能性があるので注意しましょう。尿の色は以下の図で確認することができます。また、尿の色は食品、医薬品、サプリメントの摂取状況により影響を受ける可能性があること考慮しましょう。

図1. 脱水による尿の色の変化4)

適切な水分補給法とは

発汗によって体水分だけでなくナトリウムなどの電解質も損失します。そのため、1時間以上の長時間の運動を行う場合、食塩を含んだ飲料(0.1~0.2%の食塩水)を補給しましょう。また、エネルギー補給や体内での吸収速度の観点から、糖質濃度は4~8%程度のものがおすすめです3)。一般的なスポーツドリンクがこれに該当します。

上記の飲料を摂取する際の温度は、体内での吸収速度の速い5~15℃が好ましいです。また体内で一度に吸収できる水分量には限りがあるので、水分補給は飲料を少量ずつ、こまめに摂取することを心がけましょう。さらに、運動後も汗や尿からの水分損失が続くため、効果的な水分補給のためには、体重減少した水分よりも多くの量(約125~150%)の摂取が必要になります5)

一方、水をとりすぎることにより低ナトリウム血症(血液中のナトリウム濃度の低下)を引き起こす可能性があります。体重減少量以上の過剰な水分摂取には注意が必要です3, 6)

水分補給のポイント

  • のどの渇きに応じた自由な摂取環境
  • 運動前後の体重減少は2%以内に
  • 少量ずつこまめに摂取
  • 摂取飲料の水温は5~15℃
  • 0.1~0.2%の塩分を含んだもの(ナトリウム量40~80 mg / 100 ml)
  • 4~8%の糖質濃度のもの

参考文献

1) 
Sawka M, Burke L, Eichner R, Maughan R, Montain S, Stachenfeld N. American College of Sports Medicine position stand. Exercise and fluid replacement. Med Sci Sports Exerc 39: 377-390, 2007. doi: 10.1249/mss.0b013e31802ca597.
2) 
Coyle E. Fluid and fuel intake during exercise. J Sports Sci 22: 39-55, 2004. doi:10.1080/0264041031000140545.
3) 
公益財団法人日本スポーツ協会, スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック, p42-45, 2019.
4) 
独立行政法人日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター, 競技者のための暑熱対策ガイドブック, p26, 2017.
5) 
Thomas T, Erdman K, Burke L. American College of Sports Medicine joint position statement. Nutrition and athletic performance. Med Sci Sports Exerc 48: 543-568, 2016. doi: 10.1249/MSS.0000000000000852.
6) 
環境省, 熱中症環境保健マニュアル2018, p47, 2018.

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