革新的絶縁材料を目指して

大木 義路
早稲田大学 大学院先進理工学研究科 電気・情報生命専攻・教授

1973年早稲田大学理工学部電気工学科卒業、1978年同博士課程修了(工学博士)、1976年同大学助手、以降専任講師、助教授を経て、現在教授。1981年〜1983年名大プラズマ研客員研究員、1982年〜1984年米国 MIT Visiting Scientist、2001年〜2006年理化学研究所共同研究員、2006年〜2008年(独)科学技術振興機構研究開発戦略センターシニアフェロー、2008年〜芝浦工業大学客員教授、2010年〜早稲田大学材料技術研究所研究員、2011年〜中国西安交通大学名誉教授、文部科学大臣表彰、電気学会よりフェロー・業績賞・進歩賞・著作賞・論文賞、米国電気電子学会よりフェロー・ホワイトヘッド賞、フォスター賞などを受ける。掲載済査読論文は500を越える。

誘電体は、電気絶縁体であり、優れた電気絶縁性は全ての電子部品や電気機器にとって極めて重要である。同時に、誘電体は、バンド ギャップエネルギーが大きく、短波長領域の光まで透明であるので、 光透過デバイスおよび発光デバイスとして利用出来る。

大木研では、固体誘電体の光学的および電気的特性について、基礎から応用まで研究している。典型的には、次の3つのテーマがある。

①ポリマーとナノフィラーのコンポジットの誘電特性の基礎的理解と電気電子機器のコンパクト化への応用として、ポリマーに1μm 以下の極めて微小な無機フィラーを均一分散させたポリマーナノコンが絶縁特性に優れることを示してきた。国内外のプロジェクト、NEDOや文科省の支援を受けて企業や他大学と共同研究等を行っている。そのような研究の成果の1つが、世界で初めての直流送電ケーブルの実現に繋がった。

②高分子は優れた絶縁材料になり得るが、熱・紫外線・放射線等による劣化が避けられない。大木研は、この方面の研究のCOEとして、たとえば、国より大型の研究費を毎年受け、劣化の予知に役立つ技術を開発している。図1は、その例であり、32mのケーブルのたった2.5cmの部分の温度が5℃上がっていることを明瞭に示している。

③絶縁性以外の応用を目指した研究として、我々はシリカガ ラスにイオンを打ち込むと屈折率が上昇することを見出した(図2)。 我々は、この屈折率上昇を光ファイバグレーティング、光カップラー、ポラライザ/デポラライザなどの光学的機能デバイスとして 応用出来る事を実証した。

Spectra obtained when a 2.5-cm portion of an LDPE coaxial cable of 32 m was heated.

 

Microscopic image of the cross-section of the protonimplanted optical fiber.
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大木 義路

おおき よしみち

早稲田大学 大学院先進理工学研究科 電気・情報生命専攻・教授

プログラム担当者
専門:電気電子材料

KEYWORD
電力用絶縁材料の高性能化
電気電子機器の絶縁劣化~原因・対策・位置標定~
誘電体材料の高機能化
略歴
1973年 早稲田大学理工学部電気工学科卒業
1978年 早稲田大学大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士
早稲田大学理工学部専任講師、助教授を経て、1985年より現職