情報化推進レター

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Course N@vi事例紹介

すぐ使える「標準パッケージ」の導入で学部全体の
Course N@vi利用率が向上

上沼 正明
社会科学総合学術院 教授

社会科学総合学術院では、2011年度よりCourse N@viの「標準パッケージ」を導入した。「標準パッケージ」とはCourse N@viのよく使う機能をプリセットしておくことで、初めて利用する人への敷居を低くしようというものだ。教務主任としてこの導入に関わった上沼教授に、その狙いと、Course N@vi活用のメリットについて伺った。

厳選した機能をプリセットすることにより導入の敷居を低くする

DrOtsuji

2007年のCourse N@viリリース当初から、その利用価値に注目していたという上沼教授。これを学部全体に広めていこうと、さまざまな試みを行ってきた。「非常勤の先生方を集めて講習会を開いたりもしましたが、興味を持って使いこなす教員がいる一方で、抵抗を感じる先生もいて、なかなか利用率は上がりませんでした」。

通常、教員がCourse N@viを利用するには、最初にさまざまな初期設定を行う必要がある。画面上には自分の担当科目名の一覧が表示されるだけで、2007年リリース当初は登録学生の名簿さえも「講義フォルダ」を設定しないことには利用できなかった。たくさんの機能を必要に応じて自由に設定できる一方で、初めて利用する教員にとっては、よく分からなかったり、そもそも設定の手間が面倒に感じられたりする場合が多い。それがネックとなり、利用に踏み切れないという声もあった。

そこで、この状況を打開するために、社会科学総合学術院では独自に「標準パッケージ」を定義し、全ての授業に事務所で事前にパッケージを設定することが検討された。標準パッケージとは、「講義フォルダ」「お知らせ」「レビューシート」「出席管理」「成績管理」などのよく使われる基本機能を、あらかじめパッケージとして設定済みにしたものだ。これまで行ってきた講習会などで「一番シンプルな使い方」として紹介してきた機能を、ログインしただけで誰でもすぐに使えるようにするという簡単なアイディアである。もちろん、さらに利用したい機能があれば、自分で自由に追加することもできる。但し、簡単なアイディアといっても、その実現には多くの人の多大な労力と工夫が必要だった。

標準パッケージ導入後、利用率は全科目の75%に

「Course N@viの存在は知っていても、パソコンの利用に不慣れだったり、忙しくて時間がとれなかったり、非常勤で使用頻度が少なかったりする場合、初期設定を面倒に思うのも無理はありません。そこで、使い始めるまでの手間を軽減することによって、一人でも多くの方に使っていただけるよう配慮しました」。

標準パッケージの導入にあたって、上沼教授はマニュアルの整備についても積極的に関与した。「まったく初めての人が使うことを想定し、間違いやすいポイント一つひとつを、丁寧に解説しました。システムを運用する担当職員の視点では気づかないようなところでも、実際に私自身が教員の立場から手順をチェックしてみると、分かりにくい個所が見つかるものです。少しでも気になる点は担当職員と徹底的に話し合って、利用者目線の説明を加えたつもりです」。

その結果、標準パッケージを導入した2011年度の春学期終了後のアンケート調査では、前年度秋学期には全科目の約50%だったCourse N@vi利用率が、約75%へと大きく伸びた。

アンケートで寄せられたすべての意見や要望にコメントをつけ、教授会で報告すると共に、Course N@vi上でも公開し、非常勤の先生方にも見られるようにした。「いただいた意見を参考に、可能な点は改善して、さっそく秋学期からのパッケージに修正を加えました」。

秋学期の終了直前には学生にもアンケートを採り、次年度はさらにその結果もフィードバックした新しいバージョンに改訂する予定だ。「こういうシステムの長所は、いくらでも修正を加えて改善していける点にあります。今後も、教職員や学生の意見を取り入れつつ、徐々に機能を増やしたり、逆に絞ったりしながら、さらに使いやすいものにしていきたいと思っています」。

動画や音声を使って語学のオリジナル教材を作成

同学部では、来年度から一部語学の教材にもCourse N@viを活用する予定だ。Course N@viなら、テキストだけでなく音声ファイルや動画ファイルもアップロードできる。これを利用して、これまで使用していた市販のCDやDVDに代わる教材として、さまざまなデジタルコンテンツを融合させた学習教材、いわばデジタル教科書をオリジナルで作成するアイディアだ。

「社会科学部の語学担当教員が直接作成するものなので、コンテンツをデジタル配信する際に注意が必要な著作権の問題もクリアできます。学生たちが別途、教材を購入する必要がない点もメリットといえるでしょう。そして、実際に使ってみながら小まめに直ぐ改善していけるという点が、紙の教科書とは違う最大のアドバンテージです」。

さらに、学部全体として標準的な教材を使用することで、成績評価基準を統一したり、クラス編成に反映したりという利用法も考えられる。「伸び悩む学生にどう対応するか、優秀な学生を伸ばすにはどうするかなど、さまざまなニーズに対して、新しいアイディアや利用法のイメージが次々と沸いてきています。Course N@viをツールとして使うことで、よりよい教育のための今までにない可能性が見えてくること、その可能性に教職協働で取り組むことは、素晴らしいことだと思います」。

手作業を軽減した分の時間で新しい価値が生み出せる

これらの試みと並行して、Course N@vi導入への意欲を高めてもらえるよう、上沼教授はそのメリットもアピールするよう努めている。

たとえば、学期始めの履修学生の出席簿については、紙で管理している場合は、二次登録、三次登録に伴う変動があるたびに、追加分の出席簿を印刷し担当教員もそれを名簿に書き足すという手間がかかる。しかし、これをCourse N@vi上で管理するようになれば、名簿データは自動更新されるため、そうした手間はまったく不要になる。

成績をつける際も、Course N@vi上で行えば、教員が入力したその場で確定する。紙を使用したときには不可欠な、提出後に生じる作業工程が省けるため、その分締め切りを延ばすことが可能になる。これにより、教員側にとっても、採点期間を長く確保できるというメリットがあるのだ。採点結果を郵送したり事務所に持参する手間も、採点関連データを持ち歩いて紛失するリスクも無くせる。学生に課題レポートを事務所に持参させる必要もなくなるのだ。

「特に、2011年度は東日本大震災の影響で春学期の開始がひと月遅れたこともあり、成績提出までのスケジュールが非常にタイトになりました。そこで、Course N@viを使えば効率化できることを積極的にお知らせした結果、多くの教員が利用してくれました」。

そのほか、出席管理やレポート提出にしても、従来の方法で紙を使っている限り、職員やTAには、それを印刷、配付、回収、整理、転記などの作業が不可欠だ。「そうした手間がCourse N@viを使うことで不要になれば、業務効率が上がり、その分の労力や時間を他の有益なことに使えるようになるのです。Course N@vi導入をためらう教員には、そういう意味でのコスト削減効果や環境配慮効果、あるいは、その分で研究成果や教育効果を上げるための、より創造的な取り組みができることの諸々の価値を考えてほしいとお願いしています」。

授業ばかりではない。社会科学総合学術院では、担当教員への種々のアンケートも会議資料もCourse N@vi上で既に運用している。

蓄積した学習履歴の活用がさらに学習効果を向上させる可能性も

さらに、学習した内容がCourse N@vi上に残っていて、後からでも閲覧できることには、学生にとっても大きな意味があるのだと、上沼教授は指摘する。「Course N@viなら、これまでに自分が何を学習したかが、きちんと履歴として残ります。そのときはよく理解できなかったことが、後になって、あれはこういう意味だったのかと腑に落ちるかもしれないし、あのときの資料が使えるのではないかなど応用できることもあるでしょう。これは、学生にとっても大きな財産になるはずです。同時に、教員にとっても、Course N@viの履歴を活用することで、以前行った授業内容を修正して利用することも可能です。手間が省けるだけでなく、授業の質向上にもつながる可能性を秘めていると思います」。

2012年度分からは、全学部においてシラバスをCourse N@vi上で入力することになっている。これにより、基本的にはすべての教員がCourse N@viにログインせざるをえない状況になるはずだ。「これがきっかけでCourse N@viを使うことに慣れてくれば、今まで利用していなかった教員が授業でも活用するきっかけになるのではと期待しています」。

Course N@viデビューへの一言!
今まで一度もCourse N@viを使ったことのない方は、とにかく一度ログインしてみてください。標準パッケージがそこに展開されていて、思っているよりずっと簡単に使えますよ。先生が利用すれば、学生はついてきます。
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標準パッケージの導入により、Course N@viを起動し担当科目を選択するだけで、すぐに基本的な機能が使えるようになった。
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