小学校に上がったばかりの娘は、最近、好きな季節の話がお気に入りだ。親との会話に始まり、仲良くなり始めた友人との会話を聞いていても、しばしば好きな季節の話題になるようだ。大学生の頃の筆者は、夏が好きであった。夏の日差しの下で大量の汗をかきながら何かに没頭するのは、それはそれで爽快である。何より、近づいてくる長い夏休みに思いを巡らせるときの何ともいえないワクワク感がたまらない。そうした気持ちが相まって、大学時代の夏には、かけがえのない思い出がたくさんある。
それが今ではどうだろう。夏の日差しの下で何かをしようと思うと、命に関わるような暑さが襲ってくる。熱中症対策として、花火大会の時期をずらして行う動きもある。厳しい暑さは、日本の夏の風物詩を変えてしまった。近年の夏は、暑いだけでなく長い。ある百貨店では、春と秋の存在感の低下から夏と冬を重視する「二季」をキーワードにしているという。確かに昨年2024年の9月や10月はまだまだ真夏の暑さが続いていた。秋はどこに行ってしまったのだろう。
風物詩や季節の移ろいが変わったとしても、大学生に長い夏休みがあることは筆者の学生時代と同じである。1カ月後の夏休みに向けて、皆さんはどのような思いを抱いているだろうか。今年の夏も厳しい暑さが予想されているようだ。しかしながら、大学時代の夏休みのように、時間を惜しみなく使える機会は長い人生においてもそれほど多くない。厳しい暑さに負けることなく、一つでも多くのかけがえのない思い出を作ってほしい。
(HI)
第1178回