フィリピンでの学びを生かして、東南アジアと日本の架け橋になりたい
文化構想学部 3年 日山 拓海(ひやま・たくみ)

フィリピン大学キャンパス内の食堂やサークルの部室がある「Student Union Building」前にて
“Miss na miss ko na ang Pilipinas.”。フィリピノ語で「フィリピンが恋しい」という意味で、日本に帰る飛行機の中でずっと思い続けた言葉です。
フィリピンとの最初の出合いは、高校1年生で国際交流事業に参加した時で、新興国における「貧富の格差」の深刻さを目の当たりにし、「世界から貧困をなくしたい」という強い思いを抱きました。その後、貧困や国際開発に関する勉強を積み重ねる中で、貧困層の自立的かつ持続的な開発援助を学べる「コミュニティ開発学部」のあるフィリピン大学ディリマン校で勉強したいと思い、10カ月間の留学を決意しました。
コミュニティ開発学部の授業は少人数で、学生中心のディスカッションや発表が多く、実践的な学びを得るためにフィールドワークにも行く機会がありました。履修した中で特に好きだったのは、フィリピンの社会問題を幅広く学び、各問題に対するアプローチを考える「CD100: Philippine Society and Community Development」という授業です。貧困地域をグループで訪れてリサーチを行う最終課題では、つたないフィリピノ語でも、背景知識を踏まえた丁寧なインタビューを行え、地域の人々ともクリスマスを一緒に祝う程仲良くなれました。
写真左:フィリピン大学ディリマン校の正門。正面に両手を広げて立つ像は「Oblation(オブレーション)」と呼ばれ、学生の力や思考の自由の象徴として大学のシンボルになっています
写真右:コミュニティ開発学部の授業でディスカッションをしている様子(中央が筆者)
学業以外では、韓国文化に関心のある人が集まる学内サークルに所属したり、日本語授業のTAを担当したりしました。特に、フィリピンで有名なファーストフードチェーン店 「Jollibee」でサークルのメンバーが私の誕生日パーティーを開催してくれたことや、友人とダンスイベントに出場したことが、思い出に残っています。
写真左:サークルの友人たちと休み時間にご飯を食べている時の一枚(左端が筆者)
写真右:「Jollibee」での誕生日パーティーで、友人が記念写真を撮ってくれました
一方で、食事やトイレといった生活様式における日本との違いや、フィリピノ語の理解など苦労したことも多々あり、「日本に帰りたい」と思ったときもありました。しかし、その都度留学を決意したきっかけを思い出し、諦めずに向き合ったことが、自分の成長につながったと思います。さらに、開発援助の在り方や事例を現地で実践的に学べたことで、自分の思いを改めて見つめ直すきっかけにもなりました。将来は、留学で培った学びを生かし、自分の好きな東南アジア地域と日本の架け橋となって、貧困問題の解決に携われるよう努めたいと考えています。

ルソン島スービックにあるビーチにて。海が透き通っていて、とてもきれいでした
最後に、フィリピンと聞くとセブ島を思い浮かべる人が多いと思うのですが、セブ島以外にも、フィリピン大学や歴史的建造物が多いケソン・シティーや、首都マニラ郊外にある街並みがきれいなボニファシオ・グローバル・シティーといった、魅力的な場所が多くあります。フィリピンは日本からも距離が近く行きやすいと思うので、機会があればぜひ訪れてみてください!
~フィリピンに行って驚いたこと~

Lutong Bahayの一皿。フィリピンの家庭料理「Igado(豚肉のレバー煮込み)」と「Lumpia(野菜や肉を包んだフィリピンの春巻き)」とご飯
実は、フィリピンは世界有数の米の輸入大国。日本人と同じくらい白米が主食の食文化で、一枚のお皿に主食のおかずとご飯をのせて、フォークとスプーンを使って食べます。私は、キャンパス内にあるお気に入りの「Lutong Bahay (家庭料理)」という飲食店で、自分が選んだ1~2品のおかずとご飯を毎日のように食べていました。
「ケンタッキー・フライド・チキン」や「Jollibee」でも、フライドチキンとご飯がセットで提供されるという日本との違いに、初めは驚きを隠せませんでした。ですが、すぐにその食文化に慣れていきました。
フィリピン共和国はこんなところ
フィリピン共和国は、東南アジアに位置する立憲共和制国家。7,641の島々から構成され、フィリピン海、南シナ海、セレベス海に囲まれている。首都はルソン島にあるマニラ。人口は約1億1千万人(2023年現在)で、面積は約30万平方キロメートル。公用語はフィリピノ語と英語。時差は日本より-1時間。1年の大半は暑く湿度が高い気候で、セブ島やボラカイ島などのリゾートを中心とした観光業が盛ん。