保健センター学生相談室 心理専門相談員 白水(しろうず)
昨今いろいろな場面で耳にする「オープンマインド」。Webサイトなどでは「自分自身をオープンにして、他者の言葉にも耳を傾けるマインドセット」などと説明されていて、何だか分かるような、分からないような言葉ですよね。そこで今回は、「オープンマインド」という言葉を分析してその効果を考えてみます。
オープンマインドって何なんだ!
言葉の構成にならって
①誰が
②何に対して
③どのような・どのようにマインドを
④オープンにするのか?
で整理してみましょう。
一般的に用いられる“オープンマインド(Open-minded)”とは、以下のように整理することができます。
①私が
②他者の意見に(たとえ自分の考え・感覚と異なる意見や動きだとしても)
③予断や偏見を持たず
④心を閉ざさず耳を傾ける
では、質問にある「自分の意見を全部言うこと」も同様に見てみましょう。
①私が
②自分の意見を
③包み隠さず
④他者に伝える
つまり、「私が自分の考えを他者に対して開示する」、こちらは自己開示のニュアンスに近いかもしれません。
しかし物の本ではしばしば、後者の意味も含んで説明していますね。「オープンマインド」の定義には傾聴することと、自己開示をすることが共存していると言っても良いのかもしれません。
オープンマインドの重要性
あなたが他者に自分の意見や考えを伝える場面を想像してみてください。否定されないか、変に思われないか…少々緊張したり、躊躇(ちゅうちょ)したりしませんか? ましてや自分をさらけ出すともなれば、余程安心感が無いと、恐ろしくてできません。
そんなとき、相手が「ちゃんと聞いてくれる人」であれば、怖がらず本当に伝えたいことを表現できるはずです。これは他者にとっても同様で、あなたが「他者の意見に耳を傾ける人」であると伝われば、相手は少し深い話もしてくれます。言い換えると、自己開示は相手への信頼の証し。つまり、あなたが“相手の言葉によって心を開かれ”、“相手への信頼を示す”ことで、他者もあなたを信頼し、心を開くことができるのです。
お互いが「オープンマインド」で関わることで、無用な緊張を減らし、信頼感を高めて、より本質的な対話につながる好循環を作り出すことができます。なかなか良いコミュニケーションスタイルだと思いませんか?