保健センター保健管理室 保健師 宇野(うの)
勉強やサークル活動、アルバイト、就職活動など忙しい中で生活リズムが不規則になり、食事や睡眠をおろそかにしていませんか。疲労が蓄積すると免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかることがありますが、歯周病の悪化も例外ではありません。
歯周病はさまざまな病気のリスクを高める
永久歯を失う主原因で最も多いのは歯周病で、全体の37%を占めています。歯周病は、プラーク(※)中の歯周病菌の毒素によって歯肉(歯ぐき)に炎症が起こり、進行すると歯を支える骨が溶け、やがて歯が抜け落ちてしまう病気です。治療せずに放置していると、細菌が血中に入り込んだ状態になる菌血症を起こすことがあります。免疫反応によって、細菌が十分に排除されずに体内に定着すると、さまざまな全身疾患(糖尿病、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞など)や、妊娠・出産による低体重児や早産の発生とも関連性があると報告されています。
(※)細菌とその産生物からなる白い付着物。
毎日の口腔ケアが、歯周病予防の基本
歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きでプラークを除去すること。食後や寝る前、起床時の歯磨きだけでなく、歯間ブラシやフロスを使った小まめなケアを習慣化しましょう。
もし、歯肉に痛みや腫れが出る、歯磨きで出血するといった症状があれば、ぜひ歯科検診を受けてください。歯科医や歯科衛生士が歯や歯肉の状態をみて、自分では取れないプラークや歯石を除去・歯面清掃をし、磨き方の方法について助言をくれます。高校卒業までは学校健康診断の一環として歯科健診を受けるため、異常の早期発見と治療につながりやすいですが、高校卒業以降は自発的に歯科検診を受けながらメンテナンスを継続する必要があります。
上記の他にも、食生活を見直したり、ストレスケアや禁煙をしたりするなどの生活習慣の改善が歯周病予防に有効です。
歯科検診を受けて、歯と口の健康を守ろう
歯科検診の受診方法を紹介します。
1. 歯科医院で受ける
歯科医院で、予約を取って受けることができます。(自費あるいは保険診療)
また、お住まいの市区町村から届く「歯科検診受診票」を利用すれば、無料もしくは低費用で受けられる場合があります。自治体ごとに受診券が配布される対象年齢・実施時期・場所・項目・費用が異なりますので、詳細は各自治体のWebサイトを確認してください。
2. 早稲田大学学生健康増進互助会会員を対象として、毎年10月に実施している無料歯科検診を受ける
生活習慣の見直しは、健康づくりの起点になります。症状が出てから対処するのではなく、定期的に歯科検診を受けるように心掛け、予防の段階から取り組みましょう。まずは、歯と口の健康習慣について考えてみませんか。
【参考文献】
・厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
・2019年3月15日第2回妊産婦に対する保健・医療体制の在り方に関する検討会妊産婦における口腔健康管理の重要性
・日本歯科医師会 歯とお口のことなら何でもわかるテーマパーク8020
・公益財団法人 8020推進財団第2回永久歯の抜歯原因調査報告書8020 推進財団 2018.P8