おいしい朝食、アルプスの映る湖、絵画を見ながら食事できるレストラン…あなたにとっての魅力を探してほしい!
政治経済学部 2年 テミー ラトナー
スイスといえば、雪に覆われた山々や精密な時計、とろけるチョコレートやおいしいチーズを連想することが多いでしょう。ほとんどの方が、スイスの本当の魅力は、チューリッヒそのものだと気付いていないのです。一見チューリッヒは、世界有数の金融都市であり、閑静な場所のように思われるかもしれません。でもこれは見せかけに過ぎず、その陰にこそ、チューリッヒが誇る素晴らしい場所や体験があるのです。私はこれまで、スイス・チューリッヒ、ギリシャ・ミコノス島、そして東京で暮らしてきましたが、他の都市よりもチューリッヒは過小評価されていると感じています。そこで今回、チューリッヒで過ごす理想の一日について紹介します。
最初に立ち寄るのは、スイスで最も歴史ある有名な製菓店の一つ、シュプルングリー(Sprüngli)。私はチューリッヒの繁華街にあるパラデ広場(Paradeplatz)の店舗によく赴き、スイスの定番朝食メニューであるビルヒャーミューズリーをいつも頼んだものです。

ビルヒャーミューズリーはシリアルの一種で、押し麦やすりおろしたリンゴ、ベリーが入っています
次に向かうのはチューリッヒ美術館(Kunsthaus Zürich)。チューリッヒの中心部に位置するこの美術館は、スイスにある著名な作品を多く保有していて、13世紀から現在までにつくられた4,000点もの絵画や彫刻が展示されています。
忙しい朝を終え、ボー・オー・ラックホテル(Baur au Lac Hotel)で特製アイスティーを飲んで一息ついたら、シュテルネン・グリル(Sternen Grill)でブラートヴルストの時間です。ブラートヴルストとはソーセージの一種で、ここでは、グリルした子羊のソーセージに、ロールパンとマスタードが添えてあり、必食です。この逸品をテイクアウトし、チューリッヒ湖のほとりに座って食べるのがお勧め。天気が良ければ、湖面がきらきらと輝き、遠くにスイス中央アルプスが浮かんでいるように見えますよ。
写真左:シュテルネン・グリルのブラートヴルスト、”St. Galler Bratwurst”
写真右:ボー・オー・ラックホテルからもチューリッヒ湖を見ることができます

フラウミュンスター教会の美しいステンドグラス
次に探索すべきは旧市街。重要で歴史ある建物で埋め尽くされたエリアです。私は特に、フラウミュンスター教会(Fraumünster Church)にある、シャガールの見事なステンドグラスを、ちらりとのぞくのが大好きなんです。さらに、スイス国旗が掲げられた道沿いには、たくさんの趣あるお店や伝統的なレストランが。この魅力的な旧市街を隅から隅まで回れば、何時間も過ごせることでしょう。
そして、こんな完璧な一日を締めくくるのにぴったりなのが、私の大好きなレストラン、クローネンハレ(Kronenhalle)でのディナー。ミロやロダン、ブラックといった有名芸術家たちの原画に囲まれながら食事を楽しめる、世界でも大変珍しいレストランの一つなんです。広い店内で特にお勧めは、ブラッスリーエリア。ここで食べるシュニッツェル(子牛のウィーン風カツレツ)、若鶏のロースト、そして定番のダブルクリーム添えチョコレートムースは絶品です。
クローネンハレ(Kronenhalle)のシュニッツェル(左)とチョコレートムース(右)
私が心から愛するチューリッヒの魅力のうち、今回紹介したことは氷山の一角に過ぎません。ぜひ皆さんにもその魅力を探してもらい、他の人と共有してもらえればと思います。

リマト川の対岸には、青緑色の屋根が特徴のフラウミュンスター(聖母教会)が。チューリッヒには、他にも多くの教会があります
◎ スイス・チューリッヒはこんなところ ◎
チューリッヒはスイス中央部にある、国内最大の都市。人口は約42万人(2023年)。経済・文化の中心を担いつつ、中世から残る建物も多く立ち並び、多くの教会や美術館を堪能できる。世界の生態系を再現したチューリッヒ動物園も人気スポットの一つ。鉄道や道路、航空など多くの交通網が発達しており、他の都市はもちろん、城や山などの観光地にもアクセスしやすい。公用語はドイツ語。日本との時差はマイナス8時間。