つい最近11月の上旬までは半袖で教壇に立っていたのだが、急激にグッと寒くなり閉口している。そして、また今年もこの季節が巡ってきた。そろそろ年の瀬に向かって忘年会だのクリスマスだの冬休みだのといった話題で世間はいろいろと騒がしくなる。いわゆるクリスマス商戦も盛り上がってくる頃である。
無論、そのような年の瀬のイベントを楽しむのは「自由」であるし、大いに結構なことではあるのだが、この機会に学生諸君にはぜひとも「自由」というものの意味を考え、節度ある振る舞いを心掛けてもらいたいと切に願う。
想像してみてほしい。「自由」であるところの各人がその「自由」を謳歌すべく「自由」という名の両手を思いのままどこまでも果てしなく広げたらどうなるであろうか。いずれ遅かれ早かれ同じく「自由」であるところの他人の手に当たってしまうことであろう。どちらかがその手を引っ込めねばならない。そうならないためには、周囲を観察しつつ他者を阻害しない程度に腕を伸ばす必要がある。つまり、その両手には「自由」という名前が付けられてはいるものの、野放しでやりたい放題ではなく、節度や責任が伴うものである。「自由」を金科玉条とばかりに掲げれば何でもかんでも許される、というわけにはいかない。ぜひそのことを肝に銘じて年の瀬の雰囲気やイベントを楽しんでもらいたい。どんな「自由」にも限度はある。
牛や馬が伸び伸びと思い思いに歩き回り走り回っているように見える牧場にも、最終的には柵がある。
(YY)
第1156回