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日本選手権連覇中! アーティスティックスイミング・和田彩未が世界に挑む

「本番で良いパフォーマンスを発揮すべく、今は基礎作りに励んでいます」

水泳部 アーティスティック部門
スポーツ科学部 2年 和田 彩未(わだ・あみ)

2021年開催の日本選手権にて(写真提供:共同通信社)

音楽や他のメンバーに合わせて演技を行い、技の完成度・同時性の他、演技構成や芸術性、表現力などを競い合う(※1)アーティスティックスイミング(以下、AS)。この競技で日本選手権水泳競技大会を連覇するなど、数々の輝かしい功績を残しているスポーツ科学部2年の和田彩未選手は、7月14日から行われる世界水泳選手権2023福岡大会への出場を控えています。新型コロナウイルス感染症の影響で、出場予定の大会が中止になったり、練習できない時期もありましたが、それを乗り越えてひたむきに競技と向き合ってきたそう。そんな和田選手にASの魅力や印象的だった出来事、そして世界水泳選手権への意気込みを聞きました。

(※1)公益財団法人日本水泳連盟Webサイトより

——ASに興味を持ったきっかけを教えてください。また、その特徴や魅力はどのようなところでしょう。

競技を始めたころ、お母さまとの写真

かつて母がASの選手で、引退後にコーチをしていたんです。母がクラブで指導するときに一緒に付いて行っていたので、自然と競技に触れ合う環境にありました。本格的に習い始めたのは5歳頃から。練習していくうちにその魅力にハマっていったように思います。

ダンスなどとの共通点はあると思いますが、ASは水中で演技するので、水圧や浮力のことまで考える必要があるのが特徴です。また、水中では地面に足をつけられず、常に足で水をかき続ける「立ち泳ぎ」をしなければいけないのが難しいところでもあります。ただ何と言ってもこの競技の一番の魅力は、音楽に合わせて踊る競技ならではの、芸術性があるところですね。

また、種目によって求められる技術も変わってきます。ソロでは表現力が特に重要視されますが、チームやデュエットでは他のメンバーへ意識を向けることも鍵になってきます。なのでチーム種目では、全体の息の合わさり具合や、人数が多いからこそ表現できる迫力も見どころです。

——今までの競技人生で印象的だった出来事はありますか?

クラブチームの内山まゆみコーチと。日本アーティスティックスイミングチャレンジカップ2022での競技後の一枚

高校3年生のときに世界FINAジュニア選手権大会の日本代表選手に選ばれていたのですが、コロナ禍で大会が中止になってしまったことです。大会への出場を目標に練習に励んでいたので、突然目標を失い、つらくて悔しくて…。しかも実はもともと、高校卒業と同時に競技から引退しようとも考えていたんです。そんなとき、クラブのコーチと深く話し合う機会がありました。話す中で、だんだんとASの楽しさを思い出し、大学に入ってからもしっかりと競技と向き合っていこうと気持ちを切り替えることができました。この出来事を経て今の自分がいるので、大きなターニングポイントだったと思います。

——その後、早稲田大学に入学。大学での競技生活はいかがですか。

所沢キャンパスにあるアクアアリーナのプールやトレーニングルームなど、整った環境で平日は練習できています。一方で、大学進学後の今でも週末は地元の長野に帰り、クラブチームのコーチに指導していただいています。ハードなスケジュールではありますが、水泳部にはAS部門の部員が少なく、一人で練習していると技術の習得に限界が来てしまうんです。そういった点で長野でのコーチによる指導はとても有意義ですし、何よりクラブのメンバーに会って一緒に練習すると元気をもらえます。

水泳部の活動拠点・所沢キャンパスのアクアアリーナ(左)とトレーニングルーム(右)(写真提供:いずれも早稲田大学水泳部)

クラブのメンバーたちとの集合写真。日本アーティスティックスイミングチャレンジカップ2022では、チームで3位入賞を果たした(前列左から2人目が和田選手)

——忙しい日々を送る和田選手ですが、学業と競技をどのように両立していますか?

水泳部のアーティスティック部門メンバーとの写真

オフの間にまとめて授業の課題をこなすなどして、学業と競技の両立を図っています。そのコツは、自分のやる気を保つこと。何事も、さぼるのも頑張るのも自分次第だと考えているので、それならばモチベーションを上げて取り組んで、授業内容もASのスキルもしっかり身に付けようと常に意識しています。また、悩んだら自分で抱え込まず、誰かに相談することも大切にしています。

学業面で興味があるのは、スポーツ栄養学。入学前から学びたいと思っていた分野で、早稲田大学を選んだ理由の一つでもあります。ASでは食事の栄養を調整して体重やコンディションを管理することがとても重要なので、来年度以降は田口素子教授(スポーツ科学学術院)のゼミに入ってこの分野の学びを深めたいと考えています。

——早稲田と長野で練習を重ねた結果、2022年9月の第98回日本選手権水泳競技大会では、ソロFRで2連覇、デュエットTR(※2)で3連覇を達成。この大会について教えてください。

第98回日本選手権水泳競技大会の表彰式にて

ソロでもデュエットでも連覇を狙っていたので、それが達成できたのはうれしかったですね。ただ、この大会の初日にはソロTRにも出場していて、そこでメダルを獲得できなかったのがすごく悔しかったんです。その悔しさが、他の種目では必ずメダルを取るという強い思いにつながり、結果的にソロとデュエットの両方でメダルを獲得できたのではないかと感じます。

(※2)FR:フリールーティーン、TR:テクニカルルーティーン。フリールーティーンは振付に制限がなく、テクニカルルーティーンは既定の要素を振付に盛り込む。

——7月14日に開幕する世界水泳選手権2023福岡大会に向けて、今はどんな練習をしていますか。

この大会にはチームTRとチームFRに出場します。今回は、回転しながら足技を行う演技が多いため、体の軸をぶらさずに回るといった高い技術を身に付けなければなりません。また、私は身長が低い分、他の選手の身長に合わせて、水面からより高く飛び出さなければならないという課題もあります。その解決のため、重りを持って立ち泳ぎをして体幹を鍛えたり、競泳をして持久力を付けたりなど、基礎的なトレーニングを強化しています。

——最後に、今後の目標を教えてください。

まずは7月の世界水泳選手権でメダルを獲得できるように頑張ります。その先のことは、この大会が終わった後、自分を見つめ直しながら考えていきたいと思います。学業面では、スポーツ栄養学を学び続け、一般人とアスリートの食事の違いや、アスリートに必要な食事はどのようなものかを深く理解したいです。そしていずれは、自分や後輩たちの競技に生かしていきたいですね。

優勝した2022年の日本選手権でのデュエットFR。ペアを組む小林選手(左)と(写真提供:共同通信社)

第850回

取材・文:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
文化構想学部 2年 浮谷 雛梨

【プロフィール】
長野県出身。上田西高等学校卒業。2022年、第98回日本選手権水泳競技大会でのデュエットTR、デュエットFR、ソロFR優勝や日本学生選手権ソロFR優勝などの成績を残している。生まれつき足の形がきれいなことが、競技の上での自身の強みだと話す。趣味はお菓子作り。パウンドケーキが家族には好評だという。

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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