Waseda Weekly早稲田ウィークリー

News

ニュース

マイナー言語の学びで未知の世界へ! 小国・アイスランドの存在感を知る

アイスランドの文化と言語(入門)【GEC設置科目】

北欧の島国 ・アイスランドの魅力に迫る。マイナー言語から広がる世界

教育学部 3年 中井 海碧(なかい・みなみ)

北大西洋に浮かぶ小さな島国、アイスランド。私がこの国に関心を持ったのは、その雄大な自然を描いた漫画『北北西に曇と往け』(入江亜季著、KADOKAWA)を読んだことがきっかけでした。火山や氷河などのむき出しの自然、空に浮かぶ幻想的なオーロラや太陽の沈まない白夜、そしてその大自然の中で力強く生きる動物たち…。人口36万人ほどの小さな島国は、知れば知るほど「訪れてみたい!」と思わずにはいられない、たくさんの魅力であふれています。この授業は、そんな魅力的なアイスランド共和国の協力に基づいて開講された貴重な授業であり、アイスランド語の入門的知識の習得を通じて、ヨーロッパにおけるアイスランドの価値や歴史、文化を理解することを目標にしています。

アイスランドで有名な、雄大な自然を感じられる入浴施設「ブルーラグーン」(撮影:藤巻基紀・麻衣子氏)

授業は宮城学先生(グローバルエデュケーションセンター(GEC)非常勤講師)による語学演習と、森田彰先生(商学学術院教授)による講義で構成されています。語学演習では、宮城先生がこれまでのアイスランド語指導の経験を基に作成された、オリジナルのプリントを用いて勉強します。発音が難しいアイスランド語ですが、先生が単語を一つ一つ丁寧に発音してくださるので、初めは聞き慣れなかった音も段々と魅力的な響きへと変わっていきます。英語やドイツ語などと類似する単語も多く、単語のルーツや広まり方についての話も聞けるため、他言語を勉強した上で受講するとより一層楽しめると感じました。

宮城先生のオリジナルテキストの一部
写真左:名詞の性と冠詞に関する解説ページ。取り上げられた単語は、先生の発音も書き留めるようにしていました
写真右:練習問題のページ。一問一問、宮城先生の詳細な解説があるので理解度も高まりました

宮城先生の語学演習が多くを占めるこの授業ですが、森田先生の講義では、写真や映像を見ながらアイスランドの文化や歴史を幅広く学ぶことができます。次の一文は、森田先生の授業内で紹介されたデンマークの英語学者、Otto Jespersenの言葉です。

An Englishman cannot thrive or be ill or die without Scandinavian words.
(北欧語なしには、英国人は健康でいることも、病むことも、死ぬこともできないのだ。)

Growth and Structure of the English Language、Otto Jespersen著、1938年、p.74より引用)

「thrive」「ill」「die」はいずれも8世紀末からヨーロッパで武装し活動した北欧の民、ヴァイキングが英語にもたらした単語であり、この一文は北欧語の英語への影響を端的に表しているのです。このような事実を知れば知るほど、アイスランド語の話者数の少なさに対する歴史的な立場の重要性に驚かずにはいられません。

「アイスランド語を勉強している」と伝えると、なぜマイナーなアイスランド語を選んだのかといった疑問を投げかけられることがよくあります。確かに、英語や中国語に比べれば使用する機会も少なく、マイナーな言語であることは間違いありません。しかし、アイスランド語を通じてその文化や歴史に触れると、小さな島国の大きな存在感に圧倒されるはずです。ぜひこの授業を履修して、北大西洋の小国・アイスランドの魅力を味わいませんか?

自分が知らない世界へ通じる「窓」になる授業

文学部 3年 宮﨑 陽菜(みやざき・はるな)

勉強をしていてわくわくしたことはありますか? 勉強ではなくても「オクラは英語でもオクラ」など、何か新しいことを知ってわくわくしたことはありませんか? 私はゲームで隠し通路を見つければ興奮し、深海や宇宙で何かが判明すればロマンを感じてしまう性格なのですが、詰まるところ、それは「世界」、そして「未知」への期待なのだと思います。この記事を読んでいる人の中に私と同じ好奇心を持つ方がいるなら、ぜひこの授業を取ってみてほしいです。

授業で得られるものは、ヴァイキングへの理解やアイスランド語の単語だけではありません。ヴァイキングの集会を例に挙げてみましょう。昔、アイスランドの住民たちの代表は定期的に集会を開いていました。今の日本で言う「国会」のようなものです。しかし、当然その時代にはマイクやスピーカー、音を適切に響かせるホールはありません。そんな中、スピーチや議論をする場として彼らが利用したのが、アイスランドの地形でした。「議会の場所」という意味の地名がついた、岩肌が長く続く谷のような地形の中心で話すことで、遠くまで声を響かせたというのです。実際にその岩場へ行って声を出してみたり、音の反響に耳を澄ませたりしたくなりませんか?

写真左;「議会の場所」、Thingvellirでの一枚。一帯は国立公園で、昔からの風景が残されています
写真右:「議会の場所」に設置された説明板の一部。写真上部の岩壁付近に演説をする人が描かれています
(撮影:藤巻基紀・麻衣子氏)

この授業ではこうしたエピソードを通じ、存在さえ知らなかった場所や領域への興味が続々と湧いてきます。

さまざまな領域、世界への扉が開かれている早稲田には、まだ知らない世界へ通じる「窓」となる授業がたくさん隠れています。ヴァイキングのように世界を股(また)にかける冒険を始めたいと思ったら、その第一歩としてこの授業は最適だといえるでしょう。

2022年度春クォーターの授業最終回に行われた筆記テストの様子

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

Page Top
WASEDA University

早稲田大学オフィシャルサイト(https://www.waseda.jp/inst/weekly/)は、以下のWebブラウザでご覧いただくことを推奨いたします。

推奨環境以外でのご利用や、推奨環境であっても設定によっては、ご利用できない場合や正しく表示されない場合がございます。より快適にご利用いただくため、お使いのブラウザを最新版に更新してご覧ください。

このままご覧いただく方は、「このまま進む」ボタンをクリックし、次ページに進んでください。

このまま進む

対応ブラウザについて

閉じる