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日本とドイツにおける外国人留学生の就職活動を助けたい

留学を通して「移民」への関心が具体的に

大学院社会科学研究科 修士課程 1年
内田 槙一郎(うちだ・しんいちろう)

学部時代の留学先、ドイツ・バイロイトにて

皆さんは「移民」と聞いたらどのような人たちを思い浮かべるでしょうか? ヨーロッパに多く流入したシリア難民、海外からの技能実習生など、「移民」と言っても多義的であり一概に誰とは言えません。私はその中で、「留学生」を対象に、特に彼らの雇用に注目した移民分野の研究をしています。学部時代は他大学の法学部政治学科で学んでいましたが、多岐にわたる学術領域を相対的に捉えられるだけでなく、さまざまなバックグラウンドを持った学生と交流できると考え、この4月に社会科学研究科に入学しました。現在は比較研究として、日本とドイツを挙げ、調査対象者を選定していくとともに、インタビュー調査に向けた質的研究の方法論を中心に学びながら、ドイツ文献の輪読を行ったりしています。

では、なぜ日本とドイツを比較するのか。それは両国に次のような共通点があると考えたからです。一つ目は、両国共に1980年代から留学生受け入れ政策に本腰を入れたこと(※1)。二つ目は、高等教育機関の在籍中にインターンシップ(※2)の経験を経て就職する点で、雇用システムが類似していること。三つ目は、少子高齢化により労働力不足であること。四つ目は、外国人留学生の主要な雇用先は低賃金の中小企業となっており、さらに雇用後、労働力不足がより深刻な分野や職業的にニッチな分野に配属される傾向があることです。

(※1)<日本>1983年:留学生受け入れ10万人計画、<EC(欧州共同体)諸国間>1987年:エラスムス計画。
(※2)ドイツにはプラクティクム(Praktikum)というインターンシップ制度があり、数カ月の職務経験を得ることで就職が優位になる。

そしてそれ以前に、私がドイツに注目するようになったきっかけは、学部時代における3度のドイツ留学にあります。母と姉がドイツで暮らしていたこともあり、大学では第二外国語としてドイツ語を履修し、2年次の夏季・春季休暇に、フライブルクへそれぞれ1カ月間の語学研修に行きました。短期間ではありましたが、ドイツ語を現地で学び、直接ドイツ文化に触れたことが刺激となり、さらに1年間の長期協定留学を目指すことにしました。そのために当時所属していた大学のサッカー部を早期引退し、約12年間継続してきたサッカーを一度辞める決断をし、ドイツ語の勉強に集中しました。その結果、バイエルン州にあるバイロイト大学への長期留学の切符を手にすることができました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で延期を重ね、留学できたのは4年次のことでした。最初は日本でリアルタイムのオンライン授業を受講し、実際に渡航したのは半年ほどたってからでした。それでも留学中には授業の他に、サッカー(クラブチームに所属)や聖書の勉強会、インターナショナルカフェでのイベントといった機会を通して、他国出身の多くの人たちと出会うことができました。

写真左:バイロイト大学はキャンパス内でバスが走るほど広い敷地でした
写真右:クリスマスはルームメートの実家で過ごしました。最初は3日間だけの予定が、楽しさのあまり1週間お世話になってしまいました(中央が筆者)

そんな留学経験により、当初は漠然としていた「移民」への関心が、「留学生」に焦点を当て、彼らの職業への移行の実態を知りたいと、具体的なものになりました。それは、EU(欧州連合)圏内の留学生も含め、ドイツ語を習得してドイツでの就職や大学院進学を希望する留学生が一定数いたことにあります。しかし、日本と就職プロセスが類似しているドイツでは、ドイツ人と同じような言動ができないと企業への就職は難しいという日本と同様の現状もあるようです。

修士課程では、まずは体系的な知識を身に付け、留学生の就職活動が本当に困難であるのかを明らかにしたいと考えています。そして将来的には、研究成果を生かして日本やドイツで就職を希望する外国人留学生を助ける職でキャリアを築き上げていきたいです。

ドイツ語の論文を輪読する課題は、辞書を駆使しながら取り組んでいます

ある日のスケジュール
  • 08:30 起床、朝食(時間の余裕があれば他の日の課題をします)
  • 10:40 オンライン授業
  • 12:30 昼食
  • 14:45 対面授業
  • 18:00 軽食(授業後すぐに大学から飛び出してフットサルをしに行きます)
  • 18:30 フットサルに参加(毎週運動は欠かせません)
  • 20:30 夕食
  • 23:30 帰宅、入浴など
  • 24:30 就寝

フットサルに参加できなかったときは、週末に公園でボールを蹴ることも。このボールは留学時のルームメートからプレゼントでもらいました! ルームメートのサイン入りです

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