保健センター学生相談室 心理専門相談員 加藤(かとう)
生活の中で怒りを感じることは自然なことです。今年、米国で開催された第94回アカデミー賞授賞式で受賞俳優が怒り、司会者を平手打ちしたニュースは記憶に新しいでしょう。“怒り”は上手に付き合うことで生活を豊かにする一方、怒りが原因で信頼関係が崩れてしまうなどネガティブにも作用します。今回は怒りと付き合うコツを大きく3つに分けて紹介します。
(1)湧いた怒りへの対処法を身に付ける
怒りを感じた時に“反射的な行動”は取らないようにしましょう。攻撃的な言動は、相手の怒りや反感を呼ぶことにつながります。湧いた怒りへの対処方法は、ゆっくり6秒数える、深い呼吸を繰り返す、一度その場から離れる、周り(風景や持ち物など)を観察する、自分の怒りレベルを評価する(例:10段階で強さを表す)などがあります。怒りのピークを乗り越える経験を重ね、「怒りに振り回されない自分」を育てましょう。
(2)怒りと付き合いやすくなるよう工夫する
小さなストレスも発散する、事実と思い込みを切り分ける、完璧主義を手放す、現実的な目標を設定する、怒ってしまった自分を受け入れるなどの工夫を心掛けてみてください。日頃からこれらの工夫を意識することで、怒りと付き合いやすくなります。
(3)怒りを上手に伝える
怒りを伝えるポイントは、リクエストを明確にする、「私」を主語にして伝える、ゆっくり話す、原因よりも今後の対策を話し合う、ルールなどには一貫性を持たせるなどがあります。
教員や先輩など、相手によってはさらに伝えにくくなることもあると思います。相手や状況に応じた工夫も重ねましょう。また、“相手を打ち負かすこと”を目標にするのはやめましょう。
怒りは二次感情といわれ、一次感情である不安・悲しみ・つらさ・苦しさ・寂しさなどが怒りにつながるとされています。自分の一次感情に気付き、解消することで怒りにさらに対処しやすくなります。しかし、自分の気持ちと向き合うことは時に難しく、気持ちの整理が思ったように進まないこともよくあること。1人で抱え込まずに、信頼する人との対話を通して対処してみましょう。保健センター学生相談室では、心理の専門家が相談対応をしています。どうぞ気軽にご活用ください。

早稲田キャンパス 25-2号館6階の学生相談室
【参考文献】
『〔図解〕アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング』安藤俊介著(ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年)