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卒業生とのカフェ巡り

文学学術院教授 大久保  孝治(おおくぼ・たかじ)

1977年早稲田大学第一文学部卒業。社会学者。専門は、ライフストーリー研究。座右の銘は「単純な生活(シンプル・ライフ)」

ときどき卒業生とカフェ巡りをします。私の地元(大田区蒲田)に卒業生がやってきて、私の行きつけのカフェを巡るというものです。

この習慣ができたのは10年くらい前からです。社会の時間でいうと東日本大震災の後、大学の時間でいうと文化構想学部の第1期生が卒業した頃、個人の時間でいうと50代の後半あたりからということになります。もちろんそれ以前から卒業生が研究室を訪ねて来るということはあったし、卒業生の結婚式に招かれることもありました。しかしそれは単発的なもので、年に数回という程度のものでした。それに対して卒業生とのカフェ巡りは連鎖的なもので、月に数回に及びます(緊急事態宣言の出ている期間は別ですが)。

この連鎖が生じる下地として2つのことがありました。第一に、私が日常的にカフェを利用していること。ほぼ毎日カフェに行き、なじみのカフェを数えると両手の指では足りません。カフェは私にとって家庭と職場と並ぶ第三の場所(サードプレイス)なのです。第二に、私がブログをやっていること。ほぼ毎日ブログを更新し、そこでカフェのある日常を写真と文章でつづっています。カフェをリアル空間の中でのサードプレイスだとすれば、ブログはネット空間の中でのサードプレイスです。

ある日、研究室を訪ねて来た卒業生が、「次は先生のブログに出て来るカフェに行ってみたいです」と言いました。「いいですよ」と私は答えました。数カ月後、その卒業生を地元のカフェに連れて行ったとき、「ブログに出て来るのと同じですね!」と感激した口調で言いました。まるでTVドラマのスタジオを見学しているみたいに。そして翌日、その卒業生は私のブログの中に登場する自分自身を見ることになるわけです。当然、そのブログは他の卒業生たちも(一文・二文時代の卒業生たちも含めて)見ているわけで、彼らから「私も」というリクエストのメールが届くことになりました。

卒業生とのカフェ巡りの様子は、筆者のブログでもつづられている

カフェ巡りをした卒業生は、たいていの場合、一度で終わることなくリピーターになります。最初、独身だった彼らが、結婚相手を連れて来ることもあれば、お子さんを連れてくることもあります。つまり、カフェ巡りをする卒業生は入れ替わるのではなく、ライフステージを異にして積み重なっていったのです。卒業生の人数は年々増えますから、ずっとこの調子ではやっていけません。しかし、私はあと3年で定年退職するので、何とかなるでしょう。

 

 

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