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子どもが教えてくれたこと

少し個人的な話を。わたしには子どもが二人いるが、上の子はアペール症という、国の難病にも指定されている珍しい疾患を持っている。さまざまな症状のために、これまで複数回にわたり手術を繰り返してきた。手足が不自由なことに加えて、軽度の知的障害もあり、現在は小学校の特別支援学級に入っている。

娘のような、いわゆる「障害児」やその家族の生活について、皆さんはどのようなイメージをお持ちだろうか。「たいへんそうだ」とか、「自分の子は五体満足に生まれてほしい」と思うだろうか。

娘に障害があることが分かった時のわたしはといえば、やはりショックだった。彼女の将来について抱いていたさまざまな期待が、障害のせいで実現されることはないだろうと予感したし、わたしたち家族の生活がどのようなものになるかもまったく想像できず、とても不安になった。

しかし、どうやらわたしは心配し過ぎていたようだ。娘はこの世界で、多くの人のサポートを受けながら、マイペースにゆっくりと、だが着実に成長していった。コミュニケーションの方法を身に付け、お気に入りの遊びや居場所を見つけ、友達をつくっていった。つらい手術を次々と乗り越えていく彼女の強さや、何事にも進んで取り組むその前向きな姿勢に、わたしは尊敬の念すら抱くようになった。

娘は、いまも病院に定期的にかかったり、日常の動作に助けが必要な場面が多かったりと、他の子よりも「手のかかる」子であることは間違いない。しかし、子どもとは多かれ少なかれ、手のかかるものだろう。食物にアレルギーのある子もいれば、学校生活にどうしてもなじめない子もいる。しかし社会からの適切なサポートがあれば、どんな子でものびのびと育つことができるし、家族も前向きになることができる。娘との生活は、わたしにこのことを教えてくれた。

先日、娘は8歳の誕生日を迎えた。わたしは8年前の自分自身に、こう伝えたいと思う。「なにも心配しなくていい。この子の成長を支えるのはとても楽しい経験だし、この社会も、彼女に対してそう冷たいものではないから」、と。

(T)

第1098回

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