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『ブスのマーケティング戦略』著者が実践 自分=商品で幸せをつかむ

「自分を客観視できるのは自分だけです」

大学院経営管理研究科(MBA 20193月修了 田村 麻美(たむら・まみ)

2019年3月に大学院経営管理研究科(ビジネススクール)を修了し、MBAを取得した田村麻美さん。税理士として業務を精力的にこなす傍ら、大学院在学中の2018年12月に『ブスのマーケティング戦略』(文響社)を出版しました。見た目のコンプレックスを抱えながら、起業・結婚して幸せな日々を送る現在までの半生を、自身を商品に見立てたマーケティング論でつづるこの処女作が話題となり、2019年3月に早くも増刷。今春から大学で教壇にも立つ田村さんが、著書に込めた思いは何だったのでしょうか。早稲田大学大学院入学の理由や、将来の夢などを聞きました。

――インパクトのあるタイトルと表紙ですが、『ブスのマーケティング戦略』を出版しようと思ったきっかけを教えてください。

私はずっとブログを書いているのですが、それを見てくださった文響社の編集の方から「面白い。書籍を執筆してほしい」というメールをいただいたことが、本を出すきっかけでした。文響社は200万部以上のベストセラー『夢をかなえるゾウ』(2007年、飛鳥新社)の著者・水野敬也さんが立ち上げた出版社。私は水野さんの大ファンなのですぐに電話をかけ、二つ返事でお引き受けしました。

――帯には早稲田大学ビジネススクール(経営管理研究科)入山章栄准教授(当時)の推薦印も押されています。この本は赤裸々に書かれた田村さんの自叙伝であると同時に、マーケティング理論に基づいた実用書にもなっていますね。

「美男子とは一生付き合えないだろう。だったら優秀な男子と出会いたい」と考え、偏差値の高い共学の高校へ入学するために必死に勉強をしていた中学生のころ。周囲からは優等生で通っていたが、頭の中は男子のことばかりだったという

私は、小学生のときに自分がブスだと認識し、それから自分の容姿にずっとコンプレックスを持ってきました。その中で、中学時代は「自分の評価は成績だけだ」と勉強に没頭し、高校生になると「成績では勝てない、上には上がいる」とショックを受け、立ち位置を変えてお笑い担当となり、大学時代は彼氏が欲しいがために合コンに明け暮れ、就職を考えるようになると、自立のために税理士の資格取得を目指しました。その時々で自分のあるべき姿を考え、自分なりに一生懸命生きてきた結果、起業することもでき、今は仕事も順調で「優しい夫とかわいい子どももいる満たされたブス」となり、とても幸せです。そこで、私と同じように容姿に自信が持てない人たちに向けて、いつか自分の経験を書きたいと思っていました。

一方で、税理士として開業し、自社の営業活動を始めると、おのずとマーケティングを意識するようになりました。また、早稲田で経営全般を勉強する中で「マーケティングや経営戦略という分野を、人はなぜ日常に落とし込まないのだろう?」と、疑問を抱くようになりました。そして自分の半生を振り返ると、これまでやってきた戦略がマーケティング理論に乗っ取っていることに気付いたんです。なので、この本は私が伝えたかったことを全て詰め込んだものと言えます。

――出版から4カ月で増刷されたそうですね。どのような方に読まれているのですか。また、昨今は容姿に言及する表現は避ける風潮がありますが、タイトルに抵抗はなかったのでしょうか。

読者の方からいろいろな感想をいただきますが、意外だったのは男性の読者が多いことでした。この本は書店によって、エッセーのコーナーかビジネス書のコーナーか、どちらか一方に置かれています。ビジネス書のコーナーで購入された方は、マーケティングを意識している男性が多いのだと思います。インパクトのある表紙も功を奏しているのか(笑)、類似本がたくさん並ぶ中で、購入のきっかけに「書店で目が合ったから」と書いてくださった方もいました。また、「自分に自信がなかった」という男性から共感の声もいただき…これは想定外のことでした。

タイトルの「ブス」は私自身のことで、本の中で決して他人をディスってはいません。もちろん、今は「ありのままでいい」「人は見た目じゃない」という風潮ですが、とは言っても、例えば就職活動において学歴、学力、スキルなどのスペックが全く同じで、外見が女優の北川景子さんと私、という二人が応募したら、絶対に北川景子さんを採用しますよね。やはり、見た目で判断されることもあるんだという現実は受け止めなければいけない。その方が絶対に生きやすいと思うんです。

変えられない世間や他人に対して怒り続けても時間がもったいないと私は思います。「私はすごくいい商品です」といくら主張しても、相手が手に取ってくれなければ、それは「市場に合っていない商品」です。一生売れなくていいと考えるなら別ですが、自分の夢があるのなら「買ってもらうためにどうしたらいいか」を考え、売り手から歩み寄らなければ買い手と相通じることはありません。容姿のことに限らず、自己評価と他己評価が一致していない人は心配になります。そのことに早く気付いて、将来に向けて戦略を立ててほしいと思うんです。

――確かに、著書は田村さんの半生があからさまに面白く書かれていますが、同時にこれまで戦略的に努力をされてきたことが分かり、多くの読者が共感されていることも理解できます。では、この本の中で田村さんが一番伝えたかったことは何でしょうか?

「自分を客観視できるのは自分だけ」ということですね。学力は偏差値という客観的な数字で見ることができます。偏差値30から東大を目指す人はあまりいないと思います。しかし、恋愛となると誰でも自分を客観視できなくなり、過大評価してしまいがちです。理想の高い相手に自分を売り込みに行き、大変な思いをしてしまうんです。人には感情があるので仕方がないのですが、人生の時間も有限ですし「自分が一番かわいいけれど、客観的に見て動かないと、最終的に自分で自分を不幸せにしちゃうよね」ということを、私自身の経験を通して伝えたいと思いました。

恋愛だけでなく、人にはちょっと背伸びした目標が必要だと思っています。ブスの私が将来生計を立てるために必要な手が届く目標。それが税理士という資格でした。何かコンプレックスを持っている方、自分には特別なことがないと悩んでいる方、この本は全ての方へのメッセージでもあると思っています。

――ところで、2017年から大学院経営管理研究科に入学し、今年3月に修了してMBAも取得されました。税理士として仕事が軌道に乗っているにもかかわらず、さらに研究を深めようと思ったのはなぜですか。

2019年3月25日の修了式にて

税理士としてクライアントとお話をするとき、最近は「売り上げをどうやって伸ばそうか」「この商品売れると思う?」「今のサービスの売り上げが落ちてきたんだけどどうしたらいいと思う?」など、税金以前の話が増えてきました。社会人になってからビジネス書の類い、ことマーケティングの本はたくさん読みましたが、マーケティングや経営戦略をきちんと勉強したことはありませんでした。そこで、一度経営全般を学んでみたいと思いました。母校の立教大学にもMBAのプログラムはありましたが、せっかくなら大学入試の際に本当は行きたかった早稲田がいいと思い、受験しました。

私は「全日制グローバル」コースで、入山先生のゼミ生でした。入山先生は夜間のコースも担当されていたので、そちらにも参加させてもらいました。仕事との両立は大変でしたが、夫の理解もあり家事と育児はほとんどお任せだったので、何とか乗り切ることができました。

学生は皆さん意識が高い方ばかりでした。そういったさまざまな分野の方たちと出会えたことは、とても刺激になりましたね。

――最後に、田村さんの今後の展望などをお聞かせください。

本を出して、おかげさまで講演の依頼やテレビ出演のオファーをいただいたりしています。この春からは、立教大学経済学部で「キャリア形成と税」をテーマにゼミを担当していますので、私の経験が少しでもお役に立てるよう頑張りたいです。

将来は、やはり容姿に自信がない女性たちに希望を与えたいと思っているので、この本をテーマに大学などで講義をしたいです。特に、企業や業種が限られ、卒業後にキャリア形成しづらい地方の女子大生に向けて、私なりのマーケティング戦略を伝えていきたいと考えています。

『Wの喜悲劇』(Ameba TV)に出演。(2019年3月2日放送)

撮影=小野奈那子

第729回

【プロフィール】

『 足立人図鑑』(J:com足立)出演

埼玉県出身。県立浦和第一女子高等学校卒業。立教大学経済学部卒業後、同大学院で経済学研究科博士前期課程修了。2019年3月早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール/ WBS, Waseda Business School)を修了。MBA取得。税理士。TRYビジネスソリューションズ株式会社代表取締役社長。本人いわく「東京都足立区で一番気さくな税理士」。夫と娘の3人家族。「ブス」という事実に向き合い、逃げず、あきらめず、腐らず、戦略的に努力をしてきた経験から、「頑張るブスたちが輝く日本を作りたい」という骨太のライフワークを実践中。
2018年12月にブスが「幸せな結婚&ビジネスでの成功」をかなえるための戦略論を具体的に記した処女作『ブスのマーケティング戦略』を文響社より出版。2019年3月増刷。装丁はマイケル・サンデルの『これからの「正義」の話をしよう』や、2011年、『ハヤカワ・ポケット・ミステリ』シリーズの装幀で第42回講談社出版文化賞ブックデザイン賞を受賞した三戸部功氏、表紙写真は女優・安達祐実さんの夫でカメラマンの桑島智輝氏が担当。「即増刷になってもおかしくないほど、最高のスタッフを組んでくれたので申し訳ない」と話す。
今春から立教大学で兼任講師として教鞭(きょうべん)も執っている。『そこまで言って委員会NP』(よみうりテレビ系)、『Wの悲喜劇〜日本一過激なオンナのニュース〜』(Ameba TV)などにゲスト出演。

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