
早稲田キャンパス 3号館入口、ICCの看板と。左から、レヴィさん、白石さん
早稲田キャンパス3号館1階にある、早稲田大学ICC(Intercultural Communication Center 、異文化交流センター)(以下、ICC)。ICCでは、学内の留学生と交流して互いの言語を教え合うイベント、各国の文化や知識を得ることができるイベントなど、年間約200の多種多様な企画を開催しています。実は、その多くを学生スタッフリーダーが企画から実行まで担当しているんです! 今回、ICCの学生スタッフにどのようにイベントを企画しているのか、ICCの活用方法など詳しく話を聞きました。また、これから行われるイベントについてもお知らせするので、気になる企画があればぜひ参加してみてください。
INDEX
ICCを知って、活用しよう!
▼世界のことも日本文化も! 楽しみながら学び、体験できるICC
▼参加してみて分かった! 魅力いっぱいのイベント、参加者の声
▼これから参加できる! ICCイベントについてのお知らせ
ICCを知って、活用しよう!
世界のことも日本文化も! 楽しみながら学び、体験できるICC
ICC学生スタッフリーダー
文化構想学部 3年 白石 大誠(しらいし・たいせい)
政治経済学部 2年 レ ヴィチャン
ICCってどんなところ? 何をする? 何ができる?
2人がICCに興味を持ったきっかけを教えてください。
白石:僕は小学生の時にアメリカとカナダに6年ほど住んでいて、特にカナダは移民も多く、多民族国家で毎日が刺激的でした。早稲田大学に入学してすぐ、大学広報誌でICCの存在を知り、「カナダと似たような環境があるのかも。そんな場を自分自身が作る側として携われるのかもしれない」と興味を持って、学生スタッフリーダーに応募しました。
レヴィ:私はベトナム出身で、大学から日本にやって来ました。もともと早稲田大学では多様性と文化について触れたいのと、異文化交流に興味があり、ICCでなら同じビジョンを持つ人とつながれるのかなと考え、学生スタッフリーダーに応募しました。
日々の業務では、ICCラウンジのカウンター対応(左)や、デスク業務(右)も行っている
ICCでは年間約200ものイベントを実施していますが、実際にはどんなイベントがありますか?
白石:人気なのは、学生スタッフリーダーが立案する“個人企画”の「カントリーフェスタ」です。例えば、「スパニッシュナイト」や「カナダ文化ナイト」など、ある国や地域にスポットライトを当て、その文化や言語、音楽、食べ物などを紹介します。各国大使館のサポートや協賛いただける企業も多く、当日用意する食べ物なども充実していることが多いです。

スパニッシュナイトの様子。(左上)学生スタッフが作成したSNS用画像。(右上)当日行われたフラメンコ集団 iVAMOS!(公認サークル)によるパフォーマンス。(左下・右下)イベント当日の様子。サークルや協賛企業への依頼・手配なども立案した学生スタッフが行っている

ベトナム文化ナイトの立て看板を制作しているレヴィさん
レヴィ:実は今月末(2025年6月)、私の出身地であるベトナムの伝統的な衣装や食べ物、音楽、ゲームなどを紹介する「まだ知らないベトナム ― ICC ベトナム文化ナイト」を開催予定です!
白石:ICCで恒例になっている“定番企画”も人気で、学期の始めは日本の文化を紹介する「ジャパニーズ・カルチャーイベント」も数多く開催しています。
和菓子を作る体験会や和太鼓のパフォーマンス体験の他、浴衣を着付けして日本舞踊を踊ったり、定番企画では無いですが、ご祝儀袋などで使われる水引を作るイベントだったりと、日本人でも実際には経験したことが無いような企画も用意しています。世界各国や日本の文化を楽しみながら学び体験できるのが、ICCの魅力です。

個人企画におけるスケジュールの一例。イベントでは、サポーターと呼ばれる学生ボランティアにも都度手伝ってもらうそう
自分で企画したイベントで印象深かったものは何ですか?
レヴィ:2025年1月に「国境を超えたハーモニー 多言語で早稲田の校歌を歌おう!(早稲田アンセム)」というイベントを企画しました。校歌の歌詞を留学生それぞれが母国語に翻訳して、アンサンブルで一緒に歌おう、という企画です。音楽は言語を超えたコミュニケーションで、自然と交流もしやすい。おかげさまで反響も良く、「自分の国の言葉で校歌が歌えたことに興奮した」といった声もいただくことができました。また、イベント後には参加者同士が連絡先やお菓子を交換するなど温かい交流が生まれました。

早稲田アンセムの様子。(左)レヴィさん作成のポスター。(右)イベント当日の様子。それぞれ各国語に歌詞を翻訳して歌った
白石:私は2024年12月に行った、SNSフォロワー50万人超の人気クリエイター、パントビスコ (@pantovisco)さんとのコラボイベントです。パントビスコさんはかわいらしくてちょっと場が和むようなイラストや漫画を描く一方で、ときにバッサリと世間を風刺する投稿もしています。そんな方は「多様性」をどう捉えているのか…という観点から、何かイベントができないかと企画しました。
イベント当日は、“パントビスコさん風”の作品を一緒に作るワークショップと、その作品を元に多様性をテーマにしたディスカッションを実施。イラストも音楽同様、言語の壁を超えてできるコミュニケーションだからか、作品作りを通して参加者同士の交流も生まれていました。

パントビスコさんとのイベント。(左)白石さん作成のポスター。(右上)イベント当日の様子。白石さん(写真左)とパントビスコさん。(右下)グループワークの様子
学びを深めたい人も交流したい人も。ICCの使い方はそれぞれ違ってOK
ICCを留学や語学の習得に生かす、といった使い方もできるのでしょうか?
白石:もちろんです。例えば、留学を計画中の日本人学生が、プチ留学体験のように、他言語に慣れる場としてICCを活用するケースは実際にあります。逆に留学から帰国後、楽しい経験を思い出すためにICCのイベントに参加する人も。留学先と同じような環境が学内にあるのはうれしい、といった声は聞きますね。
レヴィ:より深く他言語を学びたい人に向けたプログラムも充実していますよ。その一つが「ランゲージ&カルチャー・エクスチェンジプログラム」です。ICCが早稲田大学内で希望する学生や教職員をマッチングして2〜3名のグループを作り、互いの言語や文化などを教え合う、相互学習システムです。
他にも、英語力を高めたい人向けの「English Chat Club」、日本語力を高めたい留学生向けの「Japanese Chat Club(にほんごペラペラクラブ)」など、特定の言語に特化したプログラムもあり、それぞれICCオリジナルのゲームやアクティビティーを通じて、異文化交流をしながらスキルアップを目指せます。
「ICCに興味はあるけれど敷居が高そう」という印象を抱く学生も多いようです。英語が苦手な人でも参加しやすいイベントや、こんな使い方ができるというアドバイスはありますか?
白石:授業期間中はお昼の時間を使って、ある特定の言語での会話とランチを楽しむ予約不要の気軽なイベント、「言語ランチ」を実施しています。「ジャパニーズランチ」は定期的に開催しているので、日本人はもちろん、日本語を勉強したい、日本人の友達が欲しい留学生も集まるので、英語が苦手な方でも参加しやすいです。
ICCラウンジは基本平日の10時~16時に開室していて、早大生であれば誰でも使用できるので、普段のランチや友人とのおしゃべりの場として使い、ICCの雰囲気に慣れてみるのはどうでしょうか。ICCラウンジには先生方からご寄付いただいた本や雑誌、留学生との交流目的のボードゲームなども置いてあるので、エンタメ性にも富んでいる場所だと思います。

昼休みの時間に行われている「言語ランチ」。お昼を持参して食べながら、移動の合間の時間に少しだけ、など出入り自由に参加できる。学生証を忘れずに! 実際の様子はこちらから
レヴィ:スポーツイベントも定期的に開催しています。スポーツこそ、言語を介さずにできるコミュニケーションですよね。また、キャンパスの外に出て博物館や工場見学などに行くイベントも過去にありました。私は2024年、所沢キャンパス内でタケノコ掘りのイベントに参加しました。早稲田キャンパス3号館以外でもたくさんのイベントがあるので、ぜひ楽しみながら参加してほしいです。

(左)2024年4月のタケノコ掘りでは、英語で司会を務めたレヴィさん。(右上)ICC学生スタッフリーダー同士での日常。ICCオフィス内外で交流している。(右下)2024年、国際文学館で行ったブックナイトイベントでは司会をしたことも
白石:そもそも人見知りで…という人もいると思いますが、そこはスタッフ一同、最大限のサポートに努めますし、何か不安があれば、事前に言ってもらえれば対応します。
「異文化交流センター」という冠から、何だか難しそう、と思われがちですが、一度「異文化」は横に置いて「交流」目的で参加してほしいです。楽しければいいや、くらいの軽い気持ちの交流こそ、実は本当の意味での異文化交流なのかなと思っています。
レヴィ:ICCの利用を悩む人には、私の好きなアニメ『忍たま乱太郎』のテーマ曲の歌詞にある言葉を伝えたいです。
白石・レヴィ:「やりたいことやったもん勝ち」の感覚で気軽に参加してみてください!

イベントの際に着用するICC学生スタッフ専用のジャケットを着て
取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
撮影:橋本 千尋
参加してみて分かった! 魅力いっぱいのイベント、参加者の声
Youは何しにICCへ? 実際にイベントに参加した学生の声をお届けします。
タケノコ掘りでリフレッシュ! ICC フィールドトリップ
国際コミュニケーション研究科 修士課程 1年 ゼン ダン ジェイン(ルクセンブルク出身)
ICCのWebサイトで情報を見て、一度自分でタケノコを掘ってみたいと思い参加しました。当日は快晴で気持ちよく、さまざまな国や学部の人たちと交流できたので、とても楽しかったです。専門の方のサポートの下、自分の手で掘ったタケノコは思い出がいっぱいで、帰宅後に友人と鍋にして美味しくいただきました。自然と人とのつながりを感じられる、素晴らしい一日でした。
初めての参加で少し不安でしたが、一人でも安心して楽しめる雰囲気で、参加して本当に良かったです。
言語ランチ
特定プログラム履修生 1年生 デジレー ジェッダ(イタリア出身)
言語を身に付けるのがいかに難しいか、みんなが知っていると思います。イタリア出身の私はイタリア語に興味のある人がいるとうれしいので、母語話者としてフレンドリーな環境を作り、イタリア語や日本語で会話しました。
多くの留学生は日本語も話せるので、会話がスッと通じることもありますよ。「この言葉はイタリア語で何て言うの?」「来年、イタリアに留学する予定なので、お勧め教えて!」など、面白い話が出てきます!
言語ランチ
経営管理研究科 修士課程 1年 蔡 松倫(さい・しょうりん)(台湾出身)
友だちを作るため、言語を練習するために何度も参加しています。さまざまな国や趣味を持った人と、いろいろな話ができます。いっぱい友だちができるので、お勧めです!
言語ランチ、にほんごペラペラクラブ
政治経済学部 4年 間庭 万結(まにわ・まゆ)
私が留学した時に現地で心細い思いをした経験があり、日本へ戻ってから同じような思いをしている留学生と交流したいと考えて、4年生になってから初めて参加しました。
イベントではゲームをしたり、日々の大学生活などについて話したりします。言語以外にも文化や慣習の違いなどを知ることができる良い機会です。分からないことがあれば参加者全員でサポートし合っているので、1人でも気兼ねなくICCに立ち寄ってほしいと思います。
これから参加できる! ICCイベントについてのお知らせ
早稲田大学には世界中から学生が集まり、また毎年多くの学生が海外へ行き学んでいます。その多様性豊かな環境を生かし、異文化交流の発信地となっているのがICCです。学生スタッフが主体となり、年間約200回のイベントを開催し、異文化理解を深める取り組みを行っています。
4月・9月には新入生歓迎イベント「ウェルカム・フェスタ」や、事前登録不要で気軽に参加できる「言語ランチ」、秋には言語に自信がなくても楽しめるスポーツイベントなど、1年を通して多彩なプログラムを用意しています。最新のイベント情報や活動の様子は、Instagramでも随時発信しているので、お見逃しなく!
早稲田キャンパス 3号館1階
ラウンジ開室時間:月~金曜日 10:00~16:00、土日・祝日閉室
※イベントによって変更があります。ICCのカレンダーから確認してください。
Webサイト:https://www.waseda.jp/inst/icc/
Instagram:iccwaseda
【まだ知らないベトナム ‐ ICC ベトナム文化ナイト】
日時:2025年6月27日(金)17:15~19:15
場所:早稲田キャンパス内
対象:早大生
言語:日&英
登録締め切り:2025年6月20日(金)9:00まで
【ジャパニーズ・カルチャー・イベント よさこい×和太鼓 パフォーマンス!】
日時:2025年7月2日(水) 17:30~19:00
場所:小野記念講堂(早稲田キャンパス 27号館B2F)
対象:早大生・教職員
言語:日&英
登録締め切り:2025年6月25日(水)9:00まで
【6月 ICC言語ランチ】
日時:2025年6月6日、10日、12日、17日、20日、23日、27日
時間:12:20~13:00 入退室自由 ※事前申し込み不要!
場所:ICCラウンジ (早稲田キャンパス 3号館1階111号室)
対象:早大生・教職員
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