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特集

【ファーストリテイリング】ユニクロを展開する会社の求める人材や入社後のキャリアは?

株式会社ファーストリテイリング有明オフィスにて。左から、ファーストリテイリングの加藤さん、田代さん、唐木さん、学生インタビュアーの田川さん

求めるのは、理想を具現化する「思考力」と信頼関係を築く「人間性」

就職活動において、採用側はどのような人材を求め、学生のどこに注目しているのか? また、実際に入社した人は、会社に対してどのような感想を抱いているのか? 多くの学生が気になるところでしょう。そこで今回は、早稲田大学キャリアセンターの学生キャリアボランティアであるSCV(※)が「株式会社ファーストリテイリング」の新卒採用担当者と若手社員に、就職に関する疑問を伺いました。

誰もが知る「ユニクロ」や「ジーユー」などのファッションブランドを世界中で展開するファーストリテイリング。SCVの田川十和子さん(文学部2年)は、社員一人一人のキャリア形成をサポートし、誰もがやりたいことに挑戦できる企業だと感じたようです。

(※)Student Career Volunteerの略。早稲田大学キャリアセンターでイベント・企画の立案・運営・情報発信などを担う学生ボランティア。

株式会社ファーストリテイリング

人事部 新卒採用チーム 加藤 弘樹(かとう・ひろき)さん
ユニクロ グローバルマーケティング部 グローバルマーケティングチーム
田代 絢子(たしろ・あやこ)さん (2020年文学部卒業)
ジーユー 海外商品計画部 海外商品計画チーム
唐木 瑠偉(からき・るい)さん (2019年商学部卒業)

入社を目標とするのではなく、入社してから何がしたいかを考えていただきたい

田川:学生にも身近な「ユニクロ」や「ジーユー」を展開されている御社の特徴について、改めて教えてください。

加藤さん:弊社のミッションは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。服は誰もが毎日着るものであり、寒い日を暖かく過ごすといった機能的価値だけでなく、大事な場面では気合を入れるなどエモーショナルな価値も提供できます。「ユニクロ」「ジーユー」「プラステ」「セオリー」の4ブランドを軸に、服で世界をより良くしていくことを目指している会社です。

服の企画から製造、流通、販売まで、弊社内で完結できることが強みですが、新卒の皆さんにはまず、店舗からキャリアをスタートしていただくのが特徴です。なぜなら、店舗という場所には経営の全てが詰まっているからです。早い段階で店長を経験することで「経営の全体像」をつかんでもらい、その後の成長速度アップにつなげていただく狙いがあります。

ただ、店舗経験後のステップは千差万別です。日本でエリアマネージャーとして数十店舗をマネジメントする人、海外での経営を担う人、本部で専門性を身に付けていく人など、個々の希望に沿ったキャリアデザインがしやすい会社だと考えています。

なので、採用の場においては、学生の皆さんがそれぞれ打ち込んできたことを大いにアピールしてください。マーケティングを勉強されたならばマーケティング部で活躍することもできますし、ECサイト(ネットショップ)も自社で運営していますので、工学や情報技術を学んできた人が専門性を生かすことも可能です。働きながら好みの領域を探してチャレンジしてもらうこともできます。ぜひ、いろんな個性を持った人と一緒に働きたいと思っています。

田川:全員が店長を目指す、という点で求められる力は何でしょうか? また、入社後の新人研修制度にはどんなものがありますか?

加藤さん:弊社が求めるのは「思考力」と「人間性」ですね。店舗経営をしていく上では理想をどう掲げるかが非常に大切で、自分の頭の中にしかないその理想をいかに具現化できるかという点で思考力はやはり大事です。そして、店舗経営は数十人のスタッフと信頼関係を築けないと物事が進みません。そのためにも人間性が大事になりますし、採用過程においても注意深く見ています。

新卒の皆さんには、入社後1年くらいは店長になるためのカリキュラムを受けていただきます。経営となると、人・物・金・情報…といくつもの要素が必要ですが、弊社の各部署の担当が講師となり、世界のアパレルや服の知識、最先端のトレンド、ITスキルなどについて学ぶ場を用意。どの分野においても、世の中の一流を知るレクチャーを大事にしています。

また、座学で学んでもそれを実際に生かさないといけませんが、弊社の場合は店舗という実践の場があります。学んだことを現場で生かし、どうすれば実際に現場が改善できるかを試してもらう。いわゆるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)とOff-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)を高い水準で行き来できる点が大きな魅力だと考えています。

田川:今後、御社ではどのような事業展開を考えていますか?

加藤さん:今後の方針は明確で、グローバル展開をどれだけスピーディー、かつ確実に進めていけるかに注力しています。2024年8月までの1年間の決算は過去最高で、海外、特に欧米諸国で業績が伸ばせたことがポイントです。ファッションへの意識が高い欧州で結果を出せたことは、大きな自信になっています。

ただ、現在展開している国は26カ国・地域で、売り上げは世界のファッションブランドではまだ3位。世界1位に追い付き追い越すためにも、世界でお客さまをどう増やしていくかが重要です。そのためにも店舗業務で実績を残し、最低限の英語力があるならば、どの社員にも一度は海外を経験してほしい、というのが会社の方針です。

われわれに目指す先があるように、学生の皆さんにも弊社に入ることを目標とするのではなく、入社してから何がしたいかをぜひ考えていただきたいです。それぞれの人生があり、志があって、それを実現するために企業や就職がある。ファーストリテイリングは志を大切にする会社なので、先々を見据える人にこそマッチするのではないかと考えています。

志望動機は「企業理念への共感」「仲間と協力して物事を実現することへのマッチング」

田川:現在の仕事内容を教えてください。

田代さん:入社から3年ほど北海道と秋田県で店舗勤務を経験した後、現在はユニクロのグローバルマーケティング部で商品マーケティングを担当しています。ウィメンズのインナー商材をどのようにグローバルで認知していただくか、市場やお客さまを分析してプランニングをしたり、広く訴求していくためのコンテンツを開発したりしています。

唐木さん:私も店舗勤務を3年経験した後、4年目から本部に異動してジーユーの海外商品計画部で働いています。現在はウィメンズのボトムスを担当していて、商品企画や販売計画から始まり、実際にお客さまはどんな評価をしたのか、そのフィードバックを元にまた次の商品を企画する、というサイクルの日々です。

田川:仕事を通して、やりがいを感じるのはどんなときですか?

田代さん:実際に担当した広告コミュニケーションが効果的に活用されて売り上げにつながるなど、お客さまに商品価値を伝える上で効果的だったという実績やレビューをもらえたときは、すごくやりがいを感じます。

唐木さん:やはり、お客さまの満足を実感できたときが一番やりがいを感じます。私の場合、過去にうまくいかなかった香港事業のキッズ商材の再立ち上げで特に感じました。売上目標を達成できたのはお客さまに満足していただけた結果だと思いますので、達成感がありました。

今季はバレルレッグジーンズ(※)がヒットしており、企画段階から「世界で1番売れる商品にする」という意気込みで取り組み各事業部とも連携した結果、評価を受けたことに大きな手応えを感じています。

(※)バレル(樽)のような曲線が特徴で、ワイドでもすっきりとしたシルエットになるジーンズ

田川:志望動機は何でしたか? また、入社後、学生時代に取り組んできたことで生かせたことがあれば教えてください。

田代さん:ファッションが大好きで、大学時代は早稲田大学繊維研究会(公認サークル)というファッションサークルに所属していました。ただ、服はあくまでも趣味で仕事にするつもりはなく、アパレル企業に入る予定は全くなかったんですが、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というファーストリテイリングの企業理念を知る機会があり、とても共感しました。会社を選ぶ上では「働きやすさ」などさまざまな視点がありますが、私にとっては会社が大切にしている企業理念や価値観に心から共感できる点が大きなポイントでした。

また、大学3年の時のイギリス留学で、多様な人種や社会階級の違いを肌で感じた経験も一つのきっかけです。「LifeWear」というコンセプトのもと、あらゆる人にとって本当に良い服を提供しようとするユニクロで仕事をすることに、非常に魅力を感じました。

唐木さん:私は大学3年の時に、キャリアを探す大学生と社会人とのマッチングを目指すコミュニティースペースの運営に力を入れていました。この経験を通して、人のために何かをすること、仲間と協力してイベントなどを実現させていくことが、自分のやりたいことだと明確になりました。

ジーユーでの店舗運営でも今の部署でも、仲間や他の事業部との協力が求められますので、その点がうまくマッチングできたのかなと思っています。

田川:今後のキャリアプランはどのように考えていますか?

田代さん:入社のきっかけが企業理念に共感し、ユニクロのブランド価値に魅力を感じたからなので、将来的にはユニクロが提供する「LifeWear」という価値を伝えていくブランディングに携わりたいと考えています。ブランドの発信は具体的な商品と比べると抽象度が高く、それだけ難しい上、全部署・全リージョンと共にブランド全体で取り組むべきと考えています。まずは、今担当する商材を通して、各部署・各国チームや社外の方々と協業しながらマーケティングの実践を積み重ねることで、より大きな課題を解決できるスキルや、チームで仕事をやり遂げる力を身に付けていきたいです。

唐木さん:弊社の仕事では、いかに他部署と良い連携ができるかが大切です。ただ、連携する力はもちろんのこと、自分自身の力も引き上げていきたいですね。

現在は商品企画を担当した後、その商品を世の中にどう広めていくかは、マーケティング部が主導しています。でも、より多くのお客さまに満足していただくためには、商品企画を担当する私たち自身も、お客さまにどうアプローチをすればより効率的かを考える力があった方がいい。その部分でもチャレンジしたいです。

弊社には、他業界の方々を招いての研修制度もあります。われわれアパレル業界だけの知識では凝り固まった発想になりがちですので、他業種から見たときにどんなビジネスチャンスがあるのか、自分の柔軟性をもっと鍛えていきたいですね。

取材・文:オグマナオト(2002年第二文学部卒業)
撮影:布川 航太

自分が目指すものを考えて就職活動に臨みたい

文学部 2年 田川 十和子(たがわ・とわこ)

ファーストリテイリングの皆さんが「LifeWear」というコンセプトを共有し、そのもとで自分の志に合わせた働き方をしていると感じました。これは、ファーストリテイリングが社員のやりたいことや掲げた理想を実現できる環境を作っているためだと思います。社内公募制度を利用して別の部署に異動した方は、制度を利用する際に上司の方が一緒に考え、現実的なアドバイスをくれたと話していました。また、若い人材がグローバルに活躍できる場面を提供しようとしたり、自身の専門領域にとらわれず新しい分野に飛び込めるよう積極的に支援していると伺いました。一人一人のキャリア形成についてのサポートが充実し、誰もがやりたいと思ったことに挑戦できる企業だと感じます。

こうした企業風土は、「就職することが目的になっている学生は多いと思うが、入社してから自分が何をやりたいのか、先まで見据えた学生を求めている」という採用担当の方のお話にも沿ったものだといえます。今回の取材を通して、将来のキャリアを考え、自分が挑戦し成長し続けられる環境を見つけたいと思いました。

【次回特集予告】12月16日(月)公開「箱根駅伝特集」

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