
(左から)アンさん、マリアムさん、シンさん
夏休みももうすぐ! 今年は旅に出たいと考えている早大生も多いのでは? 早稲田大学には世界各地からの留学生が多く在籍していますが、彼らは日本国内のどんなところへ旅しているのでしょうか。今回は、ジョージア、韓国、中国出身の留学生3人に登場してもらい、まずは日本国内で経験した旅について聞きました。また、それぞれの母国での旅の事情や最新情報についても教えてもらいました。さらに末尾には、旅に出る前にぜひ読んでほしい学生生活課からのお知らせ、旅で気を付けるべき点もまとめています。彼らの旅をヒントに、この夏はどこかへ出掛けてみませんか?
▼文化を楽しむ箱根、京都・大阪・奈良の旅&ジョージアでの癒やし旅
▼食を楽しむ北海道、秋田の旅&韓国の注目観光新スポット!
▼ハプニングを乗り越え楽しむ新潟、沖縄の旅&絶景と歴史に思いをはせる中国の旅
◎旅に出る前に確認しましょう!【学生生活課より】
文化を楽しむ箱根、京都・大阪・奈良の旅&ジョージアでの癒やし旅
日本語教育研究センター 特定プログラム履修生 ママラゼ マリアム

戸山キャンパス、戸山の丘にて
村上春樹(1975年第一文学部卒)の『ノルウェーの森』やジブリ作品のアニメが好きだったことから日本に興味を持ち、ジョージアの大学で日本語を学んでいました。村上春樹も通ったという早稲田大学に魅力を感じて留学を決め、今は日本語と日本の文化や文学を学んでいます。
週末に出掛ける小旅行は、さまざまな体験をしながらリラックスできる、特別な時間
一番思い出に残っているのは初めての日本国内での旅行で、2022年11月に週末を利用して、友人の勧めで訪れた箱根です。友人と3人で小田急ロマンスカーに乗って行きました。そこで生まれて初めて温泉に入ったのですが、とても気持ちが良く、リラックスすることができました。日本では子どもの頃からこのような経験をすることで、さまざまな人がいることに気付き、年代の違う方と交流も体験できて素晴らしいと思いました。
オープンエアの美術館(箱根彫刻の森美術館)へも行き、自然の中で数々のアートに触れることができて感動しました。東京から電車で約2時間の場所で、非日常の体験ができるのはすてきなことです。
写真左:箱根の芦ノ湖を運航する箱根海賊船に友人と一緒に乗った時の一枚。桃源台港から箱根町港・元箱根港を約25〜40分で結ぶ。「風がとても強かったです」
写真右:仙石原すすき草原にて。「かながわの景勝50選」や「かながわの花の名所100選」にも選ばれている名所。9月下旬~11月下旬頃が見ごろといわれている
また、2023年3月には他の友人と京都・大阪・奈良へ行きました。東京とは全く違う雰囲気で、京都や奈良では古都の雰囲気を感じられました。一番楽しかった体験は、着物を着て八坂神社へ行ったこと! 以前から着物姿に憧れていたので、夢がかないました。着物を着ることで、自分が別人になってタイムスリップしたかのような気持ちになったんです。日本の歴史や文化をより肌で感じられるようになったような、特別な感情が湧いてきました。

京都の八坂神社で(左端がマリアムさん)。「着物は選ぶのもワクワクしました。日本人の観光客がこの写真を撮影してくれるなどの交流も楽しいひとときでした」

大阪城にて(手前がマリアムさん)。「雨で行けなかったところもありますが、弁天町にある空庭温泉でリラックスしたり、お寺や名所も巡りました」
大阪では大阪城や、長居植物園内の「チームラボ ボタニカルガーデン」の展示を見ました。ボタニカルガーデンでは多くの彫刻やランプの作品が展示されていて、夜の闇と光とのコラボレーションを体感できました。自然を感じながら鑑賞できるのが良かったです。
そして、たこ焼きがおいしかったです! 初めて食べましたが、香ばしい風味とソースの香りがたまりません。
また機会があったらどこももう一度行きたいと思っています。1回ではとても時間が足りません!
ジョージアでは「休む」ために「旅」に行く
ジョージアと日本では「旅」の捉え方が違うと感じています。ジョージアでは週末は家でゆっくりと過ごすことが多いですが、日本では子どもから大人までいろいろなところへ出掛け、日帰りや一泊旅行など短い時間でも外出することを楽しんでいるように思います。ジョージアでは「休みたい」から旅に行きます。家族や友人と海辺の街へ行き、そこで1週間くらいゆっくりと過ごすのが一般的です。ビーチで泳いだり、のんびりと日焼けするのを楽しんだりします。どちらの「旅」にも良いところがあるので、帰国したときには日本流にジョージアの観光地を巡るような旅をしてみようと思っています。
ジョージアは小さな国なので2週間もあれば全国を回ることができると思います。首都のトビリシはアジアや西欧、新しいものと古いものがミックスした多様性のある町です。また、実はジョージアはワイン発祥の地。8,000年もの歴史があるジョージアワインをぜひ現地で試してもらいたいです。オレンジワインが有名で、白ブドウの果皮や種も含め全てを3~6カ月ほど漬けて発酵・熟成させるため、赤ワインのような渋みが感じられ、たまらなくおいしいです。
写真左:首都トビリシにて。およそ1,600年の歴史があるナリカラ砦を含む旧市街と、町並みがきれいでショッピングなどを楽しめる新市街では趣が違う
写真右:トビリシ市内を流れるクラ川にかかるドライ・ブリッジでは、骨董市が毎日開催されている
写真提供:ママラゼ マリアム
◎ ジョージア・トビリシはこんなところ ◎
ジョージアは南コーカサスにある共和制国家。首都はトビリシ。面積は約7万平方キロメートル、人口はおよそ398万人。公用語はジョージア語。東ヨーロッパ、または西アジアに区分される。北はロシア連邦、南東はアゼルバイジャン、南はアルメニアとトルコに接し、西は黒海に面する。時差は日本より-5時間。日本からの直行便は無く、飛行機で中東経由で14~15時間ほどかかる。首都トビリシは面積約720平方キロメートル、人口はおよそ110万人。夏は暑く冬は比較的寒い。
食を楽しむ北海道、秋田の旅&韓国の注目観光新スポット!
大学院政治学研究科 修士課程 1年 シン ヒョウォン

戸山の丘にて
高校のとき副専攻で日本語を学び、日本語の記者や特派員になりたいと思っていました。さまざまな国籍の人がいて幅広い分野を学べ、1年の留学ができることに興味を持ち国際教養学部に入学。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で留学はできませんでしたが、いろいろと学んでいく中でデータ科学が楽しくなり、分析をしながらジャーナリズムを学べる今の研究科へ進みました。
地域特有の食文化は日本を知る一つの方法
私は食文化に興味があり、食べることが大好きです。日本にはいろいろな地域がありますが、地域ごとに特色のある「食」を求めて旅をしています。
一番良かったのは、北海道! 2022年8月に友人と4人、札幌、旭川と小樽へ行きました。中でも小樽で訪れた小樽境町通り商店街は狭い道の左右にたくさんのお店が並び、にぎわっていて、歩くだけでも楽しかったです。小樽運河では船に乗って観光もしました。普段できない経験ができるのも旅ならではですね。

海岸の沖合いを埋め立てて造られた小樽運河は全長約1,140メートル。夕暮れ時には散策路に設置されたガス灯がともり、さらに建物がライトアップされる。「運河沿いの石造りの倉庫や歴史的な建造物など街の景色はとても素晴らしく、あらためて別の時間帯にもまた乗ってみたいと思いました」
食ではジンギスカンがとてもおいしかったです! 韓国でも羊肉は食べますが、スパイスの入ったタレを加えて食べるので、そのまま焼いて食べるというのは初めてでした。臭みも無く、柔らかくてうまみがあったので、実は旅行中にもう一度食べに行ってしまいました。
写真左:JR旭川駅から徒歩5分ほどの「大雪地ビール館」で食べたジンギスカンの羊肉。お店の建物は明治から倉庫として使われていて、文化財登録に指定されているという
写真右:小樽堺町通り商店街で食べた新鮮な海鮮丼。「韓国にも海鮮丼はありますが、別物です!」。小樽堺町通りはJR小樽駅から徒歩で約11分、およそ900メートルの商店街には歴史的建造物もあり、名産のガラス雑貨や飲食店など多くの店が立ち並ぶ
大学入学前、高校3年のときに滞在した秋田も思い出深いです。10日間の訪日研修旅行があり、秋田でホームステイをしました。出身地の大邱(テグ)は韓国の中で一番暖かい地域で雪はあまり降らないので、雪が積もっていたのも印象に残っています。餅つきをしたり、かさをかぶって踊る踊りを教えてもらったりしました。
写真左:ホームステイ先の家の周辺
写真右:秋田名物ゆべし。スライスして食べる。地域によっても味や形状が異なる。「白ごまと黒ごまを混ぜた甘いお餅(ゆべし)を作って食べたのがおいしかったです」
私の旅のこだわりは、旅行の際に行き先を決めたら、どこが有名なスポットで何がおいしいのかなどの詳細を、行ってから調べたり現地の人に聞いたりすることです。下調べしたのに体験できなかったらショックが大きいからです。ただ、電車の切符は往復で購入すると割引になる制度があるのも後になって知ったので、その点では損をしていたかもしれません(笑)。
韓国には新しい観光スポットが増えている
韓国は国土面積が日本の4分の1ほどと狭く、3~4時間もあればどこでも行ける距離のため、車で旅行することも多いです。私も毎週末のようにいろいろなところへ旅行していました。公共交通機関の交通費も日本と比べて安いので、その点はとても便利です。
地方へ旅行をするなら港町、釜山(プサン)がお勧めです。海雲台(ヘウンデ)ブルーラインパークという観光列車が2020年にできて、新たな観光スポットになっています。海沿いを走るので、とても眺めがいいです。韓国の料理では、クッパや海鮮丼がお勧め。クッパはご飯の入ったスープで、肉または魚貝ベースのスープが楽しめ、お店や地域によって味もいろいろあります。韓国でも刺し身を食べるのですが、海鮮丼は専用のコチュジャンであえていて、日本の海鮮丼とは違うのでぜひ食べてみてほしいです。
写真左:夏は海水浴客でにぎわう釜山の海。向こうに見えるのは釜山のランドマーク、廣安大橋。夜にはライトアップされるので、ロマンチックな雰囲気が味わえる
写真右:海雲台にある人気のスカイカプセル。観光列車の線路の上に設置された1~4人乗り用のモノレール
写真提供:シン ヒョウォン
◎ 大韓民国(韓国)・釜山はこんなところ ◎
韓国の首都はソウル特別市。面積は約10万平方キロメートル、人口はおよそ5,100万人。公用語は韓国語。対馬海峡を隔てて釜山と対馬とは約50キロメートル。日本との時差はない。日本から釜山へは飛行機で約2時間半。ソウル特別市以外に6つの広域市があり、釜山もその一つで、韓国第2の都市でもある。釜山広域市の面積は約760平方キロメートル、人口はおよそ340万人。韓国の主要都市の中で最も日本の近くに位置する。
ハプニングを乗り越え楽しむ新潟、沖縄の旅&絶景と歴史に思いをはせる中国の旅
文学部 4年 安 婕妤(あん・しょうよ)

戸山キャンパス 33号館の近くにて
大学進学を考えていた頃は脚本家になりたいと思っていました。是枝裕和監督(理工学術院教授)や笑いと感動をうまく表現している宮藤官九郎さんの作品が好きでよく見ていて、日本で学びたいと思い早稲田に進学しました。2年生以降で専攻するコースを決める頃に出合ったのが、肥田路美教授(文学学術院)の仏教美術の歴史(文学部設置科目)。この授業では私の出身地である中国についても学び、自分の知らない世界が広がっていくのを感じて興味が湧き、今では東洋美術史について勉強を進めています。
行きたいところは行ってみる! 旅先でのチャレンジも楽しむ

会場出口のゲート。「水曜日のカンパネラ」「Never Young Beach」「杭蓋」「HYUKOH」「KOHH」「平沢進」など、日本や内モンゴル、韓国のバンドなどを見たそう
日本での初めての旅行は、2019年に新潟県湯沢町の苗場スキー場で行われたFUJI ROCK FESTIVAL。でも、行こうと決めたときには周りのホテルは既にいっぱいで予約できなかったんです。会場ではテント泊する人も多いと聞き、どうしても行きたかったので、思い切って初めてテントと寝袋を購入。荷物を持って、新幹線とバスに乗って1人で行ったんです。1日で6~7つくらいのバンドを見ましたが、それぞれの会場が離れた場所にあるので1日4万歩くらい歩き、すごく楽しかったのですがそれ以上に疲れました(笑)。
実は、いざ組み立てようと思ったらテントの支柱に必要な部品が無くて。行きのバスの中に忘れてしまったんです! 会場のボランティアや屋台の方に助けを求め、同じような部品を探してもらい、長さを調整してようやく組み立てられたんです。そのときは、これも挑戦だからなんとか乗り越えなくては、と夢中でした。なんとか無事に夜を過ごすことができて、ホッとしました。
写真左:「たくさんのテントの中で自分のものを見つけられるように、好きなバンドや曲名を油彩で描くなど工夫しました」
写真右:山奥の会場の様子。朝から晩まで好きな音楽が聴けるという
もう一つ思い出に残っているのは2022年3月、友人と2人で行った沖縄です。泳ぎたかったのですがまだ時期ではなく、美術館などを巡りました。県立博物館・美術館では旧首里城正殿鐘など、大きさや歴史がさまざまある鐘の展示があり、今学んでいる東洋美術にもつながるので興味深かったです。
そして、沖縄本島の西の端の方にある残波岬を目指しましたが、バスの本数が少なくて1時間も待ったり、降りてからもほとんど人がいない道をひたすら2時間歩いたりと予想外の展開に。本当にたどり着けるのかと不安になりましたが、友人と一緒だったので心強かったですし、残波岬は絶景で、行って良かったです。さすがに帰りは近くにあったホテルでタクシーを呼んでもらいました。沖縄では車があると便利ですね。
写真左:2時間歩いた残波岬への道
写真右:絶景の残波岬。高さ30メートルほどの断崖が約2キロメートル続く。沖縄本島で夕日が最後に沈む場所として知られる絶景スポット。「ここから実家のある浙江省(杭州)へは地図で見るととても近いことに驚きました」
世界遺産の西湖や自然と歴史を満喫できる杭州
中国では今、若者の間で「特殊兵旅行」や「軍隊旅行」と呼ばれる旅行がはやっています。これは宿泊費や移動交通費を削って見どころをたくさん回る旅行のこと。私が行ったフジロックフェスティバルもこの旅行のようだったかもしれません(笑)。
私は上海の南にある浙江省杭州市出身ですが、2011年に世界遺産に登録された西湖が人気です。『白蛇伝』という西湖を舞台とした蛇と人間の恋愛物語でも有名な場所です。また、西湖のほとりにある飛来峰には岩肌に掘られた仏像が数多く残されており、ふもとに茶園が広がっている景色をぜひ見に行ってほしいです。
写真左:飛来峰にある茶園。1,600年以上もの歴史がある霊隠寺の斜面に飛来峰がある。いくつかの洞窟があり、川沿いの崖に340体以上の仏像が彫り込まれている
写真右:2019年1月に撮影した西湖。見る場所や時間によってさまざまな景色を見ることができる。昔からこの湖を題材にした物語や水墨画が多く描かれているという
日本はどこへ行ってもおいしいお菓子や特産物がお土産として売られていますが、中国にはあまりありません。中国の交通費はとても安く、タクシーで1日回ってもあまり料金もかからないので、いろんなところを回ってみてほしいです。
写真提供:安 婕妤
◎ 中華人民共和国(中国)・浙江省はこんなところ ◎
中国の首都は北京。面積は約963万平方キロメートル、人口はおよそ14億人。公用語は中国語(普通話)。22の省と五つの自治区、四つの直轄市、二つの特別行政区がある。浙江省は中国の省の一つで、面積は約10万平方キロメートル、人口はおよそ6,400万人。華東地区中部に位置し、東シナ海に面している。省都は杭州市。時差は日本より-1時間。日本からは直行便で約3~4時間。
旅に出る前に確認しましょう!【学生生活課より】
長期休暇では旅行はもちろん、さまざまな活動を計画していると思います。活動は自らの責任において行うことが原則ですが、以下の点に十分留意してください。
飲酒をする際には、十分な注意と配慮を!
20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。イッキ飲みや飲酒の強要はもちろんのこと、自ら進んで過度に飲酒することも絶対にしないでください。なお、飲酒が原因の場合、いかなる事故も早稲田大学学生補償制度(傷害補償)の補償の対象とはなりません。
車両(二輪・四輪)の運転には気を付けて
車両(二輪・四輪)の運転には気を付けてください。特に、日頃運転していない人が運転する場合は、事故が発生しやすいため、十分に注意が必要です。
活動状況に応じた任意保険に加入を
旅行中のけがや疾病などの医療費をカバーする保険へ加入しましょう。特に海外においては日本と医療制度が異なるため、医療費が高額となる場合があります(参考:株式会社早稲田大学キャンパス保険センター、株式会社大学生協保険サービス)。
海外に渡航する際には確認を!
外務省の海外安全ホームページで最新の危険情報を確認しましょう。また、渡航先の感染症発生状況とその地域で必要とされる対策については、厚生労働省検疫所Webサイトなどで確認してください。また、滞在先の緊急情報などを受信する「たびレジ」の登録も有効です。
サークルは「合宿・遠征届」の提出を忘れずに!
サークルで合宿や遠征などを行う際は、必ず出発の1週間前(海外遠征は1カ月前)までに「合宿・遠征届」を学生部学生生活課に提出してください。夏休み期間中の開室時間は、7月21日(金)に学生生活課Webサイトにてお知らせします。
【次回フォーカス予告】7月18日(火)公開「サークル座談会特集」