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公務員のリアルな声をお届け! 仕事の魅力や民間との違いなどを教えます

「安定していそう」という良いイメージがある一方で、「残業が多いのでは?」「単純な業務や作業ばかり」「融通が利かなそう」など、何かと先入観を持たれがちな公務員の仕事。実際に公務員として働いている人は、仕事のやりがいや職場環境をどう感じているのでしょうか? 今回、地方公務員、国家公務員総合職、そして国家公務員特別職として働く、社会人3~6年目の先輩3名に本音を語ってもらう覆面座談会を開催しました。先輩たちが語る公務員の魅力とその裏側、就活生へのアドバイスは必見です!

INDEX
▼営利を求めないことで生まれるやりがいも。公務員として働く魅力とは
▼民間企業との違いを感じる瞬間は? 公務員の先輩たちのリアルな声
▼こんな人が公務員に向いている!? 公務員を目指す就活生へのメッセージ
▼キャリアセンターで行う、公務員志望者向けの講座をご紹介

私たち若手職員が覆面座談会でぶっちゃけます!

Aさん 地方公務員 先進理工学部卒業
Nさん 国家公務員総合職 政治経済学部卒業
Iさん 国家公務員特別職 先進理工学部卒業

営利を求めないことで生まれるやりがいも。公務員として働く魅力とは

まずは、現在の仕事内容について教えてください。

Aさん私は市役所の技術職として6年目を迎え、現在は中小企業の技術支援を行う部署にいます。具体的には、製品不良の原因調査、品質管理のための製品チェックといった依頼を受けて、製品の分析調査を行い、改良に向けた提案をしています。

Nさん僕は地域振興関係の部署で働いています。入省して2年がたちましたが、今の仕事は、自治体に関するさまざまな資料作成の依頼を受けて取りまとめ、部局内や他省庁に展開するのがメイン。資料作成のために、離島振興や、官民連携の公共施設の整備、その他個別事業の推進…と幅広い分野を勉強し、把握する必要があります。

Iさん今は、裁判所の書記官になるための研修期間(※1)中です。昨年その養成課程試験に合格するまでは、3年ほど事務官を勤めてきました。事務官は、主に電話や窓口対応、開廷期日の準備など、裁判官や書記官を支える仕事をします。

(※1)卒業した学部が法学部の場合は1年、その他の場合には2年の研修期間が必要になる。

「学生時代はアルバイトで塾講師をしていました。その経験から人々の人生に関わる仕事をしたいと思ったのが、裁判所を希望する理由の一つでした」(Iさん)

働き始めて感じたギャップはありますか?

Iさん私は特にありませんでした。就活中に先輩方のお話を聞く中で感じた「良い職場なんだろうな」というイメージそのままで、すごく働きやすい環境です。

Nさん僕も大きなギャップはありませんでしたが、想像以上に自治体と直接やりとりする機会が多いなと感じました。省庁は制度を考える人たちというイメージが強かったのですが、現場のことをしっかり知ることができるのはうれしいギャップでした。

Aさん部署次第かもしれませんが、実際に働いてみるとルーティンワークは想像以上に少なく、地方公務員の印象が変わりました。時代に合わせた新しい施策もどんどん出てくるし、庁内全体で募集されるプロジェクトに手を挙げることもできるので、飽きずに柔軟に働けると思います。

皆さんが考える「公務員として働く魅力」はなんでしょう。

Nさん:利益にとらわれないからこそのメリットはありますよね。

Aさん言われてみれば、売上目標やノルマ達成とは異なる軸で企業の方と向き合えているのは、民間企業と異なるポイントかも。今の仕事でも、自分たちの利益よりも相手企業を第一に考え、できるだけコストを掛けずに良い分析手法を提案できるのはやりがいにもつながっています。

Nさん現在取り組んでいる地方活性化にしても、多様な地域を存続させていきたいという理念の下、収益性を軸にするのではなく、多面的で公平な視点で地方や住民の方々を見て、施策を打ち出すことが可能です。

Iさんそれとあくまでイメージですが、民間企業だと社員同士が競い合っている印象があって。一方で、営利を目的としない裁判所にはライバル関係というよりも、仲間同士で助け合う風土を強く感じます。何か問題が起きたときにはすぐに誰かが駆け寄ってきて一緒に解決していく雰囲気が、個人的にすごく好きです。

民間企業との違いを感じる瞬間は? 公務員の先輩たちのリアルな声

先ほども出ましたが、公務員と民間企業との違いを感じる場面が他にもあればお聞かせください。

Aさんないものねだりで、「民間っていいな」と思う場面は多々あります(笑)。例えば、公務員は事務用品一つ買うのにも手続きが大変だったりと、お金の使い方に厳しく、動きにくさは感じますね。

「立替払いなんて、絶対にできないです!」(Aさん)

Iさん私のところもそう! 物品請求の際の決裁基準が厳しく、調停を担当する先生に「裁判所内のウェットティッシュが無いですよ」と指摘されてしまったこともあります…。建物の老朽化が気になる箇所があっても、ずっとそのままだったりもします。

Nさん改修にもコストが掛かるので慎重になりますよね。民間に就職した同期が、SNSでおしゃれなオフィスの写真をアップしていると「すごいきれいじゃん!」とびっくりします。このあたり、公務員として働く中で感じる「今までできていたのだから無理に変えなくていい」という発想も反映されている気がしますね。

給与面や福利厚生の充実度についてはどうでしょう。

Nさん公務員だからといって、福利厚生が特別良いこともないですよね。家賃手当も上限が2〜3万円だったりとか…。

Aさんえ、うちはもっと低いですよ(笑)。お給料も民間の方がいいんじゃないかと思うこともあります(※2)。

Iさんでも、休暇は取りやすいと思います。若手が有休を取りにくい企業もあると聞きますが、私はしっかり使い切ってます(笑)。それに今いる裁判所だと部署に一人は産休・育休を取っている方がいて、それが当たり前に認められている風潮があります。

Aさん確かに! 私の部署でも、育休後に復帰して働くロールモデルとなる先輩方がたくさんいます。出産、育児、介護とライフステージが変わっても、私生活と仕事を両立して続けやすい職場環境ですね。それは省庁も同じですか?

Nさんそうですね。抱えている仕事の調整は必要になってきますが、省庁も同様に休みは取得しやすい方だと思います。

(※2)国家公務員と民間の給与の実態を調査・比較する人事院の勧告に基づき、国家公務員の給与は定まっている。地方公務員も、自治体により民間を踏まえて給与が調整される場合が多い。

公務員の仕事について「特にここは変わっていってほしい!」と思う部分はありますか?

Aさん働いていて思うのが、何かと現状維持になりがちということ。既存の何かをやめたり改善したりすることに腰が重いんですよね。

Nさん分かります!

Aさん既存の物事を変えるには、多方面に納得のいく理由説明をして承諾を得る必要があります。それを恐れるあまり現状維持を選んでしまう傾向は、変えていけたらと思っています。

Nさんそれと思い切って言うと、働き方の面はもっと変わっていってほしい。昨日、僕は終電で帰ったんですが、23時45分に退勤した時点でも同期や先輩はオンライン状態になっていて…。

「政治家の影響は強いですね。突然依頼が入ってくることもあり、その週はすごく忙しくなります…」(Nさん)

IさんAさんええっ!

Nさん実態は隠さずに伝えていきたいなと(笑)。僕の力不足もありますが、この激務な環境を改善してほしいと願っている若手は多いので。もし家庭を持つなどして両立が厳しくなれば、転職する可能性も出てくるかもしれません。Iさんが思う、変わってほしい点はなんですか?

Iさん:アナログな側面が強いのは気になります。特に、勤怠管理に使う登庁簿が用紙への記入式だったのには驚きました…。ただ、徐々に変わり始めてもいて、チャットツールを業務に導入し始めたり、民事裁判手続きのIT化を進めたりと頑張っているところです。

こんな人が公務員に向いている!? 公務員を目指す就活生へのメッセージ

公務員に向いているのはどんな人だと思いますか?

Iさん私はこれまで、複雑な事情を抱えた方とお話する機会がたくさんありました。そういう意味で、国民の方に思いやりを持って接することができるかが大事だと感じました。裁判所の事務官に限らず、相手の立場に寄り添って考えられる方が向いているのかなと思います。

Nさんそう考えると、公務員は共通してコミュニケーション能力が求められますよね。例えば、突発的な業務が発生したときは金銭で解決するのではなく、「お願いベース」で関係各所に丁重に依頼するんですが、そういった場面では本当にコミュニケーションの重要性を実感します。それと、広くアンテナを張って何事も楽しめる人も適しているかもしれません。社会情勢の影響を受けたり、担当業務に関連して専門外の仕事が生じたりすることもあるので、新しいことに積極的に挑戦できる人に来てもらえたらうれしいですね。

Aさん確かに。公務員は異動が多く、業務も多岐にわたるので、何事もやってみる精神で取り組めると良いですよね。

最後に、公務員を目指す就活生に向けてアドバイスをお願いします!

Aさん公務員試験では、筆記試験対策だけでなく面接対策も重要だと考えています。特に地元ではない自治体の面接では、必ずと言っていいほど「どうしてここを選んだの?」と聞かれるもの。私はその対策も兼ねて、自治体の施策と関連付けた志望動機を練るようにしていました。地方公務員を目指す方は、Webサイトや役所に置いてあるパンフレットで、自治体の取り組みをしっかり調べておくといいと思います。

Iさん私は大学3年生の5月頃からキャリアセンターで公務員試験対策講座を受講して、秋からは専門予備校に通っていました。勉強法や官庁訪問など情報の量を考えると、専門予備校を検討するのもありだと思います。そして裁判所は、周りの先輩方が優しく教えてくれる環境が整っていて、卒業学部を問わず専門性を高めることができる職場です。裁判所に就職して本当に良かったなと心から思っているので、皆さんにも全力でおすすめしたいです!

Nさん僕は今いる省が第一志望で、就活では民間企業をほとんど見ていなかったのですが、「もう少し民間の就活にも力を入れておけば良かった」と思う場面があります。というのも、公務員の仕事は、民間企業、NPO法人、地域住民など、さまざまな方々と深く関わるのに、就活時に企業研究などをほとんどしておらず、それぞれの事情があまり分からないことに気が付いたんです。なので、多くの要素によって地域や国全体がつくられているのだと捉える姿勢が、公務員になってからきっと役立つはずですよ。

取材・文:市川 茜(2017年文化構想学部卒)
撮影:小野 奈那子

キャリアセンターで行う、公務員志望者向けの講座をご紹介

キャリアセンターでは、公務員を目指す学生たちを対象とした講座を実施しています。他にも、公務員志望の学生同士で情報交換ができるLINEオープンチャットの設置や公務員試験の過去問の公開など、さまざまなサービスを提供しています。詳細はこちらから。

【次回フォーカス予告】6月19日(月)公開「アトム通貨特集」

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