
石田眞教授とゼミ生
法学学術院・石田眞教授のゼミ生らが協力して制作した『ブラックバイト対処マニュアル』は、2017年度に入学してくる新1年生に配布されます。座談会に参加してもらった学生3名に工夫した点などを聞きました。
法学部4年 石川智章(いしかわ・ともあき)さん
法学部以外の学生が読むということで、法的な表現をどのようにかみ砕くかという点で苦労しました。「アルバイトをする学生にとって、大切な問題なんだぞ」というところを、いかにしっかりと伝えられるか工夫しています。例えば、法律の話ばかりが並んでいると、結局何が大事なのか分からないという学生もいると思うので、体験談を基にしたコラムも書かせてもらいました。たとえ現場の責任者に言いたい事があっても、『ブラックバイト対処マニュアル』に書いてあることを知らないと、交渉もできません。「自分の身は自分で守らなければいけない。そのためには労働法のルールを知らなければならない」ということを、伝えたいです。
法学部4 年 吉安孝介(よしやす・こうすけ)さん
ブラックバイトについての法的問題を考えるにあたって、まず、労働法がアルバイトにも全面的に適用されるということが、学生たちに認知されていません。学生が普通に大学生活を送っていても、知る機会が少ないという状況があります。石田教授が説明したように、アルバイトが基幹労働力化しているという実態があるのに、学生側としては「しょせんアルバイトだからそんな法律は知らなくてもよいのでは」という認識もある。僕たちが『ブラックバイト対処マニュアル』を発信することで、分かりやすく労働法を伝え、「一人の労働者としてアルバイト先と契約を結んでいる」という認識を持つ学生を増やしていきたい、と感じました。
法学部4年 山下聖司(やました・さとし)さん
アンケートの回答では、アルバイト先に苦情を言えず、制度としての問題点を伝えられなかったりすることの理由として、人間関係が壊れる事を気にしている回答がありました。また、たかだかアルバイトの身分で職場の制度に関与するのはおこがましいのではないか、という意見が散見されました。しかし、人間関係といっても、アルバイト先以外にもさまざまなコミュニティーがあるはずで、ストレスを抱え精神的に追い込まれてもなお、アルバイト先というコミュニティーにこだわるのか、それとも大学生としての自分の身を守っていくべきか。正社員であっても長時間労働などで精神的に追い込まれることが社会問題化している今、僕は自分の身を守ることが一番大事だと思います。そのためには、アルバイト先に問題が生じたとき、『ブラックバイト対処マニュアル』で知識を身に付けて理解した上で、正しいことを伝えるべきだと思います。
※『ブラックバイト対処マニュアル』は、早稲田大学の学生の場合、早稲田大学生協で学生証を提示すれば、通常価格500円(消費税別)のところ、300円(消費税別)で購入することができます。
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