Waseda Weekly早稲田ウィークリー

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第589回 「将来は学校をつくりたい!」 G20やAPECでも活躍した努力家

政治経済学部4年 吉永 恵 (よしなが めぐみ)
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よしなが・めぐみ 中国・黒龍江省出身。国際基督教大学高等学校卒業。精神面を鍛えるために毎週15kmのジョギングを行う努力家。休みの日は自然豊かな土地にドライブに行くことが好き。これまでに25カ国100都市以上を旅行した。

「東京五輪での抱負を教えてください」。環太平洋の主要国が集まるAPEC(アジア太平洋経済協力)2013年度首脳会議で、ユースサミットに参加していた吉永さんはこのように質問をした。相手は、内閣総理大臣・安倍晋三。総理は質問に答えた後、こう付け加えた。「7年後には、ぜひ恵さんのような方に活躍してほしいですね」。

日本から参加していたのは、選考を通過した2名のみ。その狭き門をくぐり抜けた一人が吉永さんだ。博学多才という言葉がぴったりだが、自身では「ずっと逆境だったんです」とこれまでを振り返る。

生まれは中国。初めて来日した12歳から日本で暮らすことになるが、言葉は通じず、文化にもなじめなかった。中学では入学早々からいじめられ、不登校にもなった。数少ない友人から「日本では勉強ができると人気者になれる」と聞き、自分の居場所をつくるために毎日深夜まで机に向かった。すると、最初のテストで国語以外はいきなりトップ。以降、いじめはピタリとなくなった。それでも吉永さんの心には、常に危機感が募っていたという。「12歳で日本に来たから、周りの友達より10年以上勉強が遅れている。不利な分、さらに頑張らないと」。その思いが背中を押し続け、早稲田大学に入ってからも成績は優秀。ビジネスコンテストで優勝する一方、中国やイギリスへの留学や国際交流にも積極的に参加した。社会貢献への意欲を抱き始めたころ、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)ユースサミットの募集を偶然見掛け興味を持つ。条件は大学院生か博士号取得者だったが、熱意が伝わり史上最年少で合格した。

しかし、これが大きな挫折となる。他国の参加者は全員年上で、政府の援助も得て万全の準備で臨んでいた。吉永さんは会議の進め方も分からず、討論したい議題も持っていなかった。世界規模のサミットという貴重な経験を得たが、吉永さんの胸は悔しさでいっぱいだった。

それから1年後の2013年、今度はAPECのユースサミットに応募し、またも最年少で選考を通過。次こそは成果を挙げると誓い、「世界に東京五輪をアピールする」という目標を持って準備を整え、開催国へ渡った。ユースサミットのメンバーや各国から集まった企業CEOへの取材・討論を重ね、首脳のスピーチでは安倍首相に冒頭の質問を投げ掛け、世界中から注目を受けることに成功した。「G20での悔しさを晴らせて、すごくほっとしましたね」。

現在の吉永さんは「まずは大学院に進み、50歳までには学校をつくりたい。国際社会で活躍する人材を育てたいんです」と、すでに次世代の若手育成を見据えている。文化になじめずいじめられた経験もあるのに、なぜ日本のために働きたいのだろう?

「嫌な思い出もあるけど、そのたびに助けてくれる人がいた。日本は本当に素晴らしい国だから、恩返しがしたいんです。私自身も第8代国連難民高等弁務官などを務めた緒方貞子さんのような世界で活躍できる人材になり、日本の良さを世界中に伝えていきたい」。

第589回

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