繁華街から外れた、古き良き浪速の姿
大阪学生稲門会 幹事長
人間科学部 2年 中川 辰信(なかがわ・たつのぶ)
大阪といえば、皆さんはどんなことを思い浮かべるでしょうか。たこ焼きなどの食文化を思い浮かべる人が多いかもしれません。また、大阪は「商人の街」と言われ、せかせかしたイメージを持たれがちですが、ひっそりとしていてゆったりと過ごせる場所もあります。今回は、古き良き大阪と、隠れた名所の魅力溢(あふ)れる部分を紹介します。
まず、大阪市・難波(なんば)の繁華街から少し外れた横丁にある、「法善寺」という400年近い伝統のあるお寺を紹介します。この法善寺の周りには老舗の割烹(かっぽう)や甘味どころなどが展開しています。風情満載の石畳が敷き詰められ、落ち着いた浪速情緒を感じることができる場所です。

コケに覆われている水掛不動尊(西向不動明王)

新型コロナウイルス感染症の消滅を願う掲示
そして法善寺で特徴的なのが、何といっても水掛不動尊(西向不動明王)です。法善寺を訪ねる人の参拝理由は、病気平癒や商売繁盛、縁結びなどさまざまです。願掛けのためにたくさんの人が訪れ、不動明王に水を掛けてきたことで、その姿はすっかりコケに覆われています。不動明王に対して自分の体の悪い部分に願掛けの水を掛ける人も多いそうで、私も昔は不動明王の頭によく掛けたものです…。また、出会いを求める人は、両脇の矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制吒迦童子(せいたかどうじ)に水を掛けると良いそうです。不動明王はこの願いだけ、と決まっているものではなく、それぞれの人の願いを何でも聞いてくれるようです。

不動明王同様、制吒迦童子(左)も矜羯羅童子(右)もコケで覆われて顔が見えません
夜になるとちょうちんに明かりがともり、より古風な浪速を感じることができます。魅力は語り尽くせないですが、大阪に行くことがあれば、コケに覆われた浪速の風情をぜひ感じてみてください。
写真左:不動明王前で記念撮影する筆者
写真右:不動明王の南側に隣接する「二河白道堂(にがびゃくどうどう)」
二つ目は「摂津峡(せっつきょう)」です。高槻市内にある、知る人ぞ知るハイキングスポットで、大阪市内からは電車とバスを乗り継いで1時間ほどで行くことができます。自然豊かな山の上には、遊具が盛りだくさんの公園や、こぢんまりとした洋食レストランがあります。展望台などもあり、春は桜、夏は蛍、秋は紅葉、冬は雪と、四季の変化を楽しむことができます。
写真左:摂津峡周辺には、三好山や芥川など自然が多いです
写真右:レストランでは屋外でバーベキューもできるのだそう

高槻出身の大阪学生稲門会会員の愛犬ハウルも川遊びが好きだそうです
さらには家族連れでのピクニックやウォーキング、犬の散歩にも最適な場所です。山の深くに入っていくととてもきれいな川が流れており、夏は浅瀬で遊ぶこともできますし、川辺で涼んでゆっくりとした時間を過ごすことができるのでお勧めです。山の麓には温泉もあり、地元の人々にも愛されています。その近くにある小屋では、ヤギのモカちゃんが飼われていて、みんな通る時にあいさつをしたりするなど、温泉と同じくらい温かい憩いの場所になっています。
大阪は素晴らしい魅力に満ちています。機会があれば、ぜひ出掛けてみてはいかがでしょうか。
◎大阪府はこんなところ◎
人口は約880万人で、府内には43の市町村がある。西日本の中心的都市として発展し、高層ビルや商業施設が立ち並ぶ一方で、歴史的建造物や景観も残っている。大阪市は府の中部に位置し、人口は約275万人。府庁所在地で西日本及び近畿地方の首位都市。高槻市は北摂三島地域に位置し、人口は約35万人。大阪市と京都市の中間地点にあり、二大都市のベッドタウンとして発展している(人口は全て2021年12月1日現在)。