600円台でおなかも心も満たされる香ばしい一皿
「プネウマカレー」
【取材・文・撮影】
早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)
法学部 2年 金井 秀鴻(かない・すほん)
東京メトロ東西線高田馬場駅の7番出口から出て、路地に入って30秒。早稲田通りの騒がしさがほんの少し遠のくと、左手に見える素朴なカレー屋さんが「プネウマカレー」。630円という破格の値段で、香ばしいスパイスの効いたカレーを味わえます。昼時は近隣の会社員などでとても賑わい、ランチタイムが終わる頃には売り切れてしまうことも多い名店です。
以前からお店を出したいと考えていた店主の長谷さんは、2016年の瀬戸内国際芸術祭の秋期間に、会場の伊吹島(香川県観音寺市)で空き家を借りてカレーを提供したそうです。そこで手応えを感じ、2017年に開店しました。

黄色い看板が目印
「プネウマ」、聞き慣れない不思議な響きのこの言葉は、古典ギリシャ語で「呼吸」「風」という意味。つまり、店名は“伊吹”島からとっているのです! 実は長谷さんは早稲田大学第一文学部(当時)の卒業生で、大学では西洋古代史を学んでいたそうで、このネーミングにも納得です。
店内には早稲田大学のさまざまなサークルのビラが貼られており、学生街らしい雰囲気です。内装は黄色を基調とし、カウンター席からはキッチンに並ぶ色とりどりのスパイスが見え、これからいただくカレーへのワクワク感がそそられます。
写真左:店内の様子。元々バーだったお店を改装したそう。席はカウンターのみの8席
写真右:キッチンに積まれたカラフルなスパイス
メニューは至ってシンプル。「チキンカレー」と、木・金曜日に1日15食限定で提供している「特製辛口チキンカレー」の2つです。トッピングは、フライドオニオン(50円)、ゆでたまご(60円)、ひよこ豆のピクルス(70円)、チーズ(100円)の4種類が別添えで注文可能。今回はチキンカレーと特製辛口チキンカレーの両方をいただきました。

「チキンカレー」普通盛630円
まずは「チキンカレー」。口に運ぶとすぐに、喉から鼻にかけて突き抜けるようなスパイスの香ばしさ! 家庭では味わえない何とも独特な香りが口いっぱいに広がります。辛さはほどほどで、辛味が少し苦手な方でもおいしくいただけます。おいしさの秘訣はスパイスだけではありません。カレーのだしには、お店のルーツである伊吹島名産のイワシで作られたアンチョビを使っているので、旨味と塩気がよく効いています。遠く離れた東京の地でも、瀬戸内の恵みがカレーの味をずっと支え続けています。

「特製辛口チキンカレー」普通盛680円
続いて、「特製辛口チキンカレー」。こちらはより刺激的な辛味を味わうことができます。といっても、単に辛味調味料を増やしただけの辛さではありません。香りの良いスパイスをいくつも組み合わせているので、爽快感のある後味が残ります。お勧めのトッピングはひよこ豆のピクルス。その独特な酸味が味に変化をもたらし、カレーを最後まで飽きずに楽しめます。トッピングとしての仕事を完璧にこなす一品です。

ご飯少なめは30円引き、中盛は50円増し、大盛は100円増し
そして、何よりも伝えたいのが価格への情熱。長谷さんにお聞きしたメニューへのこだわりは、ズバリ「安く出せること」でした。
「わせだの弁当屋」「キッチンオトボケ」「三品食堂」といったワセメシの名店に今でも通っている長谷さん。良心的な値段でおなかを満たしてくれるワセメシに長らくお世話になったことで、「昼食に出してもいいと思う金額は700円くらい」という感覚が身に付いたそうです。そして、その思いをお店の価格設定に反映させたので、「プネウマカレー」のメニューは600~700円前後に収まっています。
「おいしいから高くても仕方がない」という発想に甘えず、価格と味の両立をストイックに追求する長谷さん。その情熱を支えるのが、安くてうまいワセメシの精神と、長谷さんの確かな腕前です。
今も昔も変わらないワセメシの魂を、伊吹島の恵みと共に受け継いだ「プネウマカレー」。とにかく安くおなかを満たしたい人、こだわりのカレーを食べたい人、よく高田馬場駅を利用する人…もっとたくさんの早大生に知ってほしい、イチオシグルメです。
店舗情報
【店名】プネウマカレー
【住所】東京都新宿区高田馬場1-17-10
【営業時間】月~土曜日 10:45~15:30、17:00~20:00
※売り切れ次第閉店。
※支払いは現金のみ。
【定休日】日曜日・祝日
【X】 @pneumacurry2016
※記事中の価格は全て税込み。
店主の長谷さんから早大生へ一言
「12時~13時は非常に混むので、ランチタイムの前に遅めの朝ごはんとしてどうぞ。完売状況はXをチェックしてください!」