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飲酒、薬物、闇バイト… 学生生活に潜む落とし穴から身を守るには?

大学生になると自分の判断で物事を決める場面が多くなり自由に選択できる一方、さまざまなトラブルに巻き込まれやすくなります。特に注意が必要なのが、飲酒に関するトラブルです。サークル活動などの飲み会では、20歳未満の飲酒やアルコールハラスメントなどの問題に直面することがあります。また、薬物やカルト宗教からの勧誘、最近増加傾向にある闇バイトも、身近な問題として警戒心を持って日常生活を送ることが大切です。早稲田大学では、こうしたトラブルを撲滅するため、学生部が積極的に情報提供や指導を行い、学生の安全を確保する体制を整えています。今回、学生生活課の職員に加え、戸塚警察署職員に、トラブルを回避するための知識や具体的な対策について詳しく話を伺いました。

INDEX
▼1.飲酒や薬物、カルト宗教に要注意! トラブル回避の知識とコツ
▼2.まずは「知る」ことから 闇バイト・特殊詐欺に巻き込まれないために
▼3.困ったときの相談先

1.飲酒や薬物、カルト宗教に要注意! トラブル回避の知識とコツ

早大生が学生生活で気を付けるべきことについて、学生生活課学生スタッフの山崎真治さんと早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ)の西村凪紗さんが、学生生活課職員のAさんにインタビューしました。

政治経済学部 4年 山崎 真治(やまざき・しんじ)
文化構想学部 3年 西村 凪紗 (にしむら・なぎさ)
学生部 学生生活課 Aさん

左から山崎さん、西村さん、職員Aさん。戸山キャンパス33号館前にて

20歳未満飲酒は違法です。発覚した場合はペナルティーが課されます!

山崎:早大生による飲酒トラブルには、どのようなものが多いのでしょうか?

職員:最も多いのは、20歳未満の飲酒です。毎年学生生活課では、Webサイトやサークル講習会などで、各学術院では新入生ガイダンスで注意喚起を行ってはいるものの、特に新歓活動の時期やサークルの合宿などで多発しています。

その理由として、アルコールを摂取した際の身体的影響だけでなく、20歳未満の飲酒は法律で禁止されていることへの理解不足が挙げられます。2022年4月から、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、「飲酒は18歳から認められる」と誤った認識をしている学生もいるようです。そして、適切な飲み方や適量が分からないまま飲みすぎてしまい、救急搬送されるなどの事案も起きています。

西村:軽率な行動によって、ときには命に関わる重大事故につながることもあるのですね。20歳未満の飲酒を防ぐポイントを教えてください。

職員:サークル員全員が「20歳未満の飲酒は絶対禁止」と正しく理解した上で、20歳未満の飲酒を防止する対策を講じることが重要です。例えば、20歳を線引きに席を分け、特定の卓にはソフトドリンクのみを提供したり、20歳未満が多いサークルの懇親会・コンパではソフトドリンクのみにしたりするなど、物理的に環境を整える方法を勧めています。

また、飲み会の席では、20歳未満を判別しやすい仕組みも重要です。リストバンドや年齢を記載した名札を着用することで、20歳未満の人を一目で分かるように工夫しているサークルもありますよ。

西村:私が所属するサークルの飲み会でも、20歳未満の人は胸元に青色のリボンを着用して、その人たちにお酒を飲ませないように幹部メンバーが指導しています。ただ、サークルによってはそうした対策を取らずに、20歳未満の人が飲酒を勧められてしまうこともあるかもしれません。その場合、勧められた側はどうすれば良いのでしょうか?

職員:自分の健康を守ることが何よりも大切ですから、強い意識を持って「飲めない」とはっきり意思表示しましょう。また、言われた側もその意思をきちんと受け入れて、お酒の強要をしないことです。

山崎:20歳未満の飲酒を目撃した場合、匿名で学生生活課に通報できますか?

職員:はい。多くの場合、大学側は匿名通報を通じて20歳未満飲酒を認識しています。事実確認の結果、20歳未満の飲酒行為が発覚した場合、学生個人には厳重注意だけでなく、停学などの懲戒処分を下すこともあります。奨学金を受給している場合は、奨学生としてふさわしくないと判断して支給停止や廃止、返金義務が生じるなど、家庭の事情によっては非常に重い処分になるのです。

西村:では、サークルに対してはどのような処分がありますか?

職員:活動停止などのペナルティーを課す場合があります。過去には、学生会館内で禁止している飲酒行為を行ったサークルに対して、無期限のサークル活動停止と部室利用を2年間認めない処分を下しました。また、20歳未満の飲酒を繰り返したことで、無期限の活動停止処分に加え、次年度のサークル公認資格継続を取り消したサークルもあります。

留学中に渡航先で巻き込まれるケースも 違法薬物に対する心構え

山崎:学生を取り巻くトラブルには、飲酒以外にも薬物がありますが、どのように対策すれば良いのでしょうか?

職員軽はずみな気持ちで、薬物の所持・譲渡や使用に一切関わらないことが重要です。2023年、早稲田大学において体育各部の学生が大麻取締法違反で逮捕された事案が発生しました。このような事態を決して繰り返さないよう、薬物の誘いを受けてもきっぱりと断ってください。

西村:危険ドラッグには「合法ドラッグ」「脱法ハーブ」などと称して売られているものもあり、安全だと思わせる言葉に安心して手を出してしまう学生もいそうです。

職員危険ドラッグは、覚醒剤や大麻と同等かそれ以上の強い作用を持つ、非常に危険な薬物です。名前に惑わされることなく、絶対に手を出さないでください。また、海外への留学や旅行に行く早大生も多くいますが、海外に滞在中、気付かないうちに薬物を飲まされるなどのトラブルに巻き込まれることもあり得ます。渡航先でも警戒心を強めておき、少しでも危険を感じたら絶対に手を出さないことが大切です。

カルト勧誘に遭遇してしまったら?  「公認サークルガイド」を活用し、怪しい団体には要注意

山崎:大学生は薬物だけでなく、カルト勧誘のターゲットにもなりやすいと聞いたことがあります。カルト団体による勧誘が特に多いのは、いつ頃なのでしょうか?

職員学内に多くの人が出入りする、新歓活動や早稲田祭などの時期です。カルト団体は早大生に混ざって近づいてきて、アンケートを装った勧誘などで連絡先を執拗に聞いてくることがあります。1人でラウンジで勉強や読書しているときに声を掛けられた学生もいました。よくあるのが、勉強会や食事会、ボランティアなどと称する活動で勧誘され、連絡先を交換した後にカルト団体だと気付くパターンです。勧誘を受けたら、軽はずみな気持ちですぐに連絡先を交換せず、団体名や提示された身元が正しいかどうか確認しましょう。

山崎:“大学に届け出がある団体だ”と学生に思い込ませるため、団体名に「早稲田」を付けるカルト団体もいそうです。新入生にとって、より安全度が高いのは公認サークル(設立要件に従い、大学が認めたサークル)だと思いますが、どこで公認サークルの情報を確認すれば良いのでしょうか?

職員:学生生活課では公認サークルの最新情報を定期的に収集し、リスト化してWebサイト上で公開しています。『早稲田ウィークリー』の「公認サークルガイド 」では、ジャンルごとに公認サークルが掲載されているので探しやすいです。活動内容や活動場所、所属人数などの情報もまとめて確認できるので、ぜひ活用してください。なお、以下のサークルは早稲田大学が公認していないサークルなどの団体に該当するので、注意してください。

・早大友羽会
・早稲田大学Angels
・Jumping Point

西村:もし、カルト団体から勧誘されたら、どうやって断れば良いのでしょうか?

職員:付け込まれる隙を与えないよう、淡々と端的に「全く興味がないので、失礼します」と、きっぱり断ることが大切です。大人数に囲まれても、同様にして振り切りましょう。それでも付いて来る場合は、近くの事務所や警備員に声を掛けてください。

万が一、カルト団体だと気付かずに連絡先を教えてしまった場合、ブロックするなどして連絡手段を速やかに断ち切ることが重要です。自宅に押しかけて来るなどの非常識な勧誘にあったら、学生生活課や警察、法テラスの霊感商法等対応ダイヤルなどに相談してください。

2.まずは「知る」ことから 闇バイト・特殊詐欺に巻き込まれないために

ここまで紹介した学生生活上でよくあるトラブルにとどまらず、SNSを利用した闇バイトなど、身近なところにも犯罪に巻き込まれるリスクが潜んでいます。意図せず被害に遭うことを防ぐために、戸塚警察署生活安全課長で少年犯罪などに向き合う麻生さんに、詳しくお話を伺いました。

警視庁戸塚警察署 生活安全課長 麻生 典彦(あそお・のりひこ)

――学生に気を付けてほしいトラブルとして、飲酒や薬物などの代表的なトラブルの他に、どんなものがありますか?

いわゆる「闇バイト」や特殊詐欺です。特に「闇バイト」は、学生の皆さんが毎日使っているSNS上などで募集情報が出回っているので注意してください。「闇バイト」と聞くと強盗をイメージする方も多いと思いますが、実際には荷物を運ぶだけ、口座やスマートフォンの売買、譲り渡しなどの簡単な内容を入口に、気付いたら犯罪組織に加担していたケースが多くなっています。

しっかり認識してほしいのは「闇バイト」は犯罪だということです。一度でもやってしまうと、犯罪組織の手先として使われるうえに、やめたくても「家に行く」、「家族に危害を加える」などと脅かされて逮捕されるまでやめられず、大切な将来を台無しにしてしまいます。

――では、どんなことに気を付ければ良いですか。もし巻き込まれた場合はどうしたら良いのでしょうか?

具体的な仕事の内容が分からないにも関わらず、高額な報酬であったり、即日入金などを謳っていたりする場合は警戒して、簡単にお金を稼ぐことができる仕事は「闇バイト」では? とまずは疑うようにしてください。少しでも違和感を覚えたら、絶対に手を出さないことです。

万が一、巻き込まれてしまった場合は、すぐに警察に相談してください。犯罪組織に脅かされて被害が及ぶ可能性があるようなら、警察は親族の方も含めて必ず保護します。警察に相談するのはハードルが高いと感じる場合、家族や大学の事務所など誰でもいいので、とにかく周りにいる人に一度話してみることです。身近な人と一緒に警察に相談してもらえればと思います。

警視庁が制作している闇バイト防止のためのポスター(※クリックして拡大)

――特殊詐欺は、あまり学生にはなじみがないようにも感じます。具体的には、どのような内容ですか?

一つはサポート詐欺といって、パソコンやスマートフォンでインターネットを閲覧中に、警告音を発生させるなどしてユーザーの不安をあおり、画面に表示されたサポート窓口に電話をかけさせ、サポートの名目で金銭をだまし取る手口です。実際には端末を再起動すれば問題ないのですが、突然の事象に慌ててしまい、20代の方も被害に遭うケースが増えています。

他には、警察官をかたったオレオレ詐欺も増えています。突然、携帯電話に国際電話番号などで警察を名乗る相手から、「あなたに犯人の疑いがかかっているので確認させてほしい」などの電話がかかってきて、取り調べの名目でSNSやメッセージアプリを使って接近するケースです。架空の逮捕状や警察手帳を見せてターゲットをだまし、「口座のお金を調べる」という理由で、自分の口座からインターネットバンキングを使って犯人の口座などに送金させる手口となっています。

警察署の代表電話番号を偽装して、発信番号として表示させる手口も確認されていますので、注意してください。警察がLINEなどのメッセージアプリを使って取り調べをすることは絶対にないので、このような電話がかかってきたら、相手の話には応じずに警察に通報してください。

――意図せずトラブルに巻き込まれてしまうケースもあると思います。被害に遭わないためにできることは何でしょうか?

過去にどのような実例があったのか、まず知ることが大切です。警察では「闇バイト」や特殊詐欺などの犯罪を注意喚起するWebサイトや薬物乱用防止の啓発動画の他、防犯アプリ「デジポリス」も提供しています。アプリには、特殊詐欺や女性に対する声掛けといった身近に起こりうる事件の発生状況が確認できるマップや、痴漢撃退機能、防犯ブザーなどの防犯ツールも装備しているので、ぜひインストールしてください。

警察は、あなたの味方です。皆さんが思っているほど敷居は高くないので、何か困ったことがあったら、いつでも相談してください。

取材・文:流石 香織
撮影:布川 航太

3.困ったときの相談先

一番身近な相談窓口は所属学部・研究科の事務所ですが、その他のさまざまな窓口を紹介します。なお、開室時間などの最新情報は、各Webサイトを確認してください。

各種学生相談について

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