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サステナブルな経営方針を企業に提案する早大生 将来世代から社会を変える

「会社の利益を維持しながら環境問題に取り組むには、持続可能性が大事」

社会科学部 2025年3月卒業 小澤 杏子(おざわ・きょうこ)

高校2年生の時に株式会社ユーグレナ(以下、ユーグレナ)の初代CFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)(※)に就任したことをきっかけに、環境に配慮した経営方針を企業に提言してきた小澤杏子さん。大学1年生からは丸井グループアドバイザーを務め、数多くのメディアに出演。2021年にはForbes JAPAN 30 Under 30(世界を変える30歳未満30人)の1人に選出されるなど、活躍の場を広げてきました。そんな小澤さんが環境問題に興味を持ち始めたきっかけやこれまでの活動、今後の目標について聞きました。

※18歳以下を対象に、2019年から公募を行っている株式会社ユーグレナの役職。

――環境問題に興味を持ち始めたのはいつですか?

中学2年生の時にSDGsを学校で学んで、「果たしてこんなにたくさんの目標を達成できるのだろうか」と疑問に感じて自分で勉強し始めたのがきっかけです。初めはどの分野に関わればいいのか分かりませんでしたが、中学1年生の頃から習慣化していた新聞を読むことで、さまざまな分野でたくさんの知識を吸収しました。勉強を進める中で、エネルギーや環境問題だったらこれから先も興味を持って自分が関われるのではないかと思ったんです。

――500名以上の応募の中からユーグレナ初代CFOに就任した経緯と活動内容を教えてください。

高校2年生の時、新聞の一面にカラー広告でユーグレナのCFOを募集していたのを見つけました。ネットの時代に、あえてお金をかけて新聞に若者向けの広告を載せるということは「この会社、本気なんだな」と興味を持ち、応募したんです。

活動内容としては二つあって、一つ目は18歳以下の8~9人のチームで、1年間を通してユーグレナに経営方針を提案することで、私はそのチームのリーダーを務めました。実際にチームで考えた売れ筋商品のペットボトルをサステナブルな素材にするという提案は、取締役会の決議を通してすぐに実現されました。

二つ目はユーグレナCFOとしてメディアなどの取材を受けること。後日私がCFOに選ばれた理由を聞くと、たくさんの大人たちに質問されても物怖(お)じしない性格や対応力、柔軟性を評価していただいたみたいです。小学生の時、海外に住んでいた経験や運動部でタフに活動してきたこともあって、どんな状況でも対応できる力が付いたんだと思います。

写真左:高校2年生の時に出席した取締役会にて、ユーグレナCFOとして当時の経営陣に経営改革の提案をしている様子
写真右:2021年大学1年生の時、Forbes JAPAN 30 Under 30の1人に選ばれた

――早稲田大学に進学した理由や4年間で学んだことは何ですか?

自分と異なるバックグラウンドを持った多様な人たちと関わって視野を広げたいと思ったのと、早稲田大学では環境に関する授業がたくさん開設されていることも魅力でした。実際に受講した「資源エネルギーと地球環境問題を考える」(GEC設置科目)、「世界的潮流と日本の展望」(政治経済学部設置科目)、「グローバルビジネス論」(社会科学部設置科目)はとても面白かったです。自分がこれまでやってきたことを専門用語に落とし込むことができて、勉強になりました。

ゼミはあえて環境に関するテーマではなく、長谷川信次先生(社会科学総合学術院教授)の「多国籍企業研究」をテーマとしているゼミに入りました。高校生の時から環境に配慮した経営方針の提言を企業に行ってきましたが、その中で「大事なのは持続可能性」ということに気付いたんです。会社の利益を維持しながら環境問題に取り組むには会社のことをよく知らなければならないので、ゼミで企業の仕組みや在り方を深く学んだことは、普段の活動に生きていますね。

大学では友人とバスケットボール部の早慶戦も楽しんだ(左が小澤さん)

――大学入学後は丸井グループアドバイザーとして活動しています。就任した経緯や活動内容を教えてください。

ユーグレナCFOの活動を見てくださっていた丸井グループ社長の青井浩さんが本を出版した時に、インタビュー対象として私を選んでくださったんです。その取材後に青井社長から「うちでアドバイザーをやらないか」と声を掛けていただきました。それまで企業経営の中でサステナブルな経営方針を提言してきたので、現実的なところに落とし込む力や将来世代の視点を評価していただいて、気付いたら4年間アドバイザーを続けていました。

丸井グループアドバイザーとして活動する様子

主な活動は、サステナビリティ委員会の一員として諮問委員会の意思決定の場に参加したり、投資家の方向けの丸井グループの社会的な取り組みや成果をまとめた「IMPACT BOOK」を作成したりすることです。

また、2カ月に1回のペースで青井社長に私が考えた企画の提案もしていました。これまで私の監修の下で実現した企画では、中学生向けのSDGsワークショップを行ったり、就職活動の早期化が進んでいる中で長期インターンを採用する大手企業が少ないことから、丸井グループでの長期インターンを提案したりしました。

――今後の目標や、早大生に向けてメッセージをお願いします。

日本の本質的な課題をどこから解決すべきなのか、自分の中で明らかにしたいです。いろいろな社会問題に対して意見を言うのは簡単ですが、実際に実現させるのはすごく難しいと思うので、世の中を自分の目で見て、現場に行ってきちんと手を動かして活動することを大事にしていきたいです。

また、世の中の流れを知ることはとても重要なので、自分の興味のある分野を追い続けると、いろいろなことにつながってくると思います。あとは、網羅的に情報を得られるので、ぜひ新聞を読むのをお勧めします!

インタビューを受ける小澤さん

第893回

取材・文・撮影:早稲田ウィークリーレポーター(SJC学生スタッフ
教育学部 4年 渡辺 詩乃

【プロフィール】

旅行先のイタリアで

東京都出身。東京学芸大学附属国際中等教育学校卒業。高校時代はバスケットボール部に所属。趣味は旅行で、行った先でその地域や文化、歴史を学ぶことを意識しているそう。これまで行った国は米国(ハワイ、ニューヨーク)、カナダ、韓国、オーストリア、イタリア、シンガポール、タイ、スペイン、フランス。

小澤さんのX:@kyokozwa

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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