所属する学会が企画した視察で、子どもの遊び場を訪問した。そこは、障がいの有無や国籍、家庭環境の違いに関わらず、全ての子どもたちに開かれた遊び場として構想された施設であった。児童遊戯施設などの遊び場は、建物、外構、遊戯が別々に計画されることが多いと聞く。しかしながら、その訪問先では、関係者がコンセプトを共有する機会を設けるなどの取り組みを通じ、全てが一体となった計画が実現していた。
大人も利用する体育館と遊戯場や共用部が緩やかにつながっていること、移動のための段差やスロープが遊びになるような要素を持っていること、中からも外からもアクセスできるカフェの存在。興味深いデザインを挙げるとキリがないのだが、施設内をそぞろ歩きしながら頭に浮かんだ言葉があった。
オープン、シェア、そしてごちゃ混ぜ。
これは私が専門とする福祉の領域において、施設運営のコンセプトに掲げられることもあるキーワードである。福祉施設に限らず、年齢も特性も多様な人々が、同じことをしていなくても時間や空間を共有する場がもっとあっても良いし、そういう場があちこちにあることで各人の居場所の選択肢が広がる。大学内にあっても良いのではないか。
視察の同行者たち(もちろん皆、成人した大人)がぎこちなくも歓声をあげて遊戯場の滑り台を滑っている姿を見て、そのようなことを思った。
(C.O.)
第1166回