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戦争中も文化は続く

ロシアによるウクライナ侵攻が始まるまで、友人に召集令状が届くかどうかを心配する日が来るとは思ってもみなかった。戦争に反対するロシアの友人の多くは、家も仕事も捨てて国を離れ、海外で困窮した生活を送る一方で、ウクライナでは徴兵に備えて18歳から60歳の男性の出国は原則として禁止されている。

私は新潟県で2024年7月13日〜11月10日に開催される「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」でキュレーターを務め、ウクライナの作家ニキータ・カダンらの作品を担当する。カダンは短期出国許可を得て7月に来日予定だが、その前に徴兵されるケースも考えて準備を進めてきた。

カダンが「大地の芸術祭」で展示する『ホストメリの彫刻』は、ミサイルで破壊された住宅の屋根の金属を用いた彫刻で、妻有の石と組み合わせることにより、戦地と平和な地のつながりを表現する。一方、『別の場所から来た物』という作品は、誰も入ることができない児童公園であり、失われた幸福を象徴している。代官山のアートフロントギャラリーでも7月に、戦争、ウクライナ文化の受容の歴史を主題とするカダンの作品を展示する予定だ。

カダンは「この戦争は人類最初の戦争ではありません。そして歴史を振り返れば、戦争中に美術がいかに大きな役割を果たしてきたかは明らかです」と語り、創作を続けている。カダンの作品は、戦争中も文化は続いていくこと、世界における自分の位置を見失わないために歴史に学ぶ重要性など、さまざまなことを語っている。ぜひ多くの人にカダンの作品を見てほしいと願っている。

(W.K.)

第1162回

早大生のための学生部公式Webマガジン『早稲田ウィークリー』。授業期間中の平日は毎日更新!活躍している早大生・卒業生の紹介やサークル・ワセメシ情報などを発信しています。

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