2013年9月商学部卒業 櫻井 健 (さくらい けん)

新潟県出身。新潟県立長岡高等学校卒業。中学時代は生徒会役員、高校時代は体育祭の応援団長や文化祭の企画を担当。大学では所属する「早稲田雪合戦の会」で試合および練習を統括する役割を担う。
そのアプリケーションは、仲間で集まりたい時間を入力すると個々のスケジュールの穴を見つけ、最も多くの人が集まれる候補日を案内してくれる。さらに、 コミュニケーション機能や画像共有機能も備え、SNSとしても使用できる」。株式会社リクルートライフスタイルが今春リリースしたスケジューラアプリ 「DAYMORE」の概要だ。このサービスは、リクルートライフスタイルが2012年に実施した企画体験型インターンシップにて骨子が固まり、参加者の中 からプロジェクトメンバーに選ばれた学生4人が開発に携わるという、同社にとって異例の形で事業化が進められた。
メンバーの一人、櫻井さんにとっても初めてづくしの経験だったという。「メンバー間の意見の擦り合わせが本当に大変でした。例えばボタンを一つ決めるにしても、デザインの世界観を統一すべきか、操作性を重要視すべきか、意見が対立するわけです」。
メンバー同士が丁々発止とやり合う中で企画は磨かれていく。特に物怖じしない性格だという櫻井さんの存在が議論の活性化に大きく貢献した。「常に頭にあっ たのは論理的に正しいかどうかの判断。だから、たとえ社員の方が相手でも、なぜその結論になるのか分からないときはとことん話し合うようにしていまし た」。
もっぱらの理論派である。聞けば、共に教師である両親から「何事も考え抜くこと」を徹底的にたたき込まれたのだという。その姿勢は櫻井さんの進路選びからも見て取れる。
「10代前半までは両親と同じ道を歩むことも考えていましたが、高校以降はビジネスの現場を知りたいと思うようになりました。人を教える立場の人間こそ、より多くの社会を知っておくべきではないでしょうか」。
目指したのはビジネスシーンで必要な力を磨ける商学部。オープンキャンパスで目にした何事も積極的に楽しむ学生の姿に惹かれ、早稲田に進学した。
商学部では、ビジネスを扱うオープン科目を加えた時間割を組んだが、最も刺激を受けたのは、社会で活躍する校友をゲストスピーカーに招く寄付講座だったという。
「例えば製菓メーカーのロッテのケース。『オフィスでガムを食べる』という新たなシーンを提案し、従来の商品をボトルタイプにして売り出したという話は非常に興味深かったですね」。
企業の事例研究を進めるほどに高まるビジネスへの関心。そして4年次、リクルートライフスタイルへ進んだ先輩からインターンシップに誘われ、迷わず応募した。
「学生最後の夏に図らずも重責を担ってしまいましたが(笑)、『DAYMORE』のプロジェクトを通じて、制作者がサービスの魅力を感じながら開発に取り組む姿勢が重要だと分かりました」。
来年4月から、櫻井さんはリクルートライフスタイルの社員として働く。5年後にどうなっていたいかを尋ねると、「過去を振り返ったとき、自分の人生に自ら 驚くような道を歩みたい」。あらゆる局面で思考を続けた先に、どんなゴールが待っているのか。櫻井さんの新たな一歩に期待したい。
第577回