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「スマートさ」から「泥臭い実践知」へ

早稲田大学に異動してきて感心したことは、早大生の「スマートさ」だ。特にプレゼンテーションのうまさが目を引く。ただ、プレゼンテーションの内容が、万人受けの当たり障りのない内容になっていることが気になる。例えば「地域の活性化のために必要な実践は?」という問いに対して、多くの学生は「SNSで発信して、資金はクラウドファンディングで集める」と回答する。一昔前の学生だったら、「ゆるキャラとB級グルメで集客する」と回答していた。確かに有名なゆるキャラもB級グルメも地域の活性化に成果をもたらした。だが、それらの事例を上位3つ以上すぐに思い出せないように、一部の成功事例の汎用(はんよう)性は意外に低い。SNSもクラウドファンディングも単なる手段に過ぎず、重要な点はその手段によって何をするかだろう。つまりスマートな回答は、より具体的な実践では意味がない場合が多い。

無意識的に当たり障りのないスマートな回答を行ってしまっていることに気を付けたい。なぜならば、まちづくりのコンサルタントが、カタカナを巧みに使って派手だが中身のないプレゼンテーションをし、現場で失笑を買っているのと同じだからだ。もっとも、自治体職員が自ら考えずコンサルの提案を安易に受容し、結果的につまらない街になっていく場合も別の意味で頭が痛いのだが…。

スマートな思考を打破するためには、徹底した現場感覚を磨くしかない。幸い、早大生はフットワーク軽く、多様なフィールドに赴く者も多い。フィールドにおいて「泥臭い実践知」を得てほしい。

(MN)

第1148回

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